Googleは2020年に検索および検索広告市場で独占禁止法に違反しているとしてアメリカ司法省(DOJ)から訴えられています。この訴訟において、DOJはGoogleに対してChromeの売却などを要求しているのですが、DOJの是正策案は「アメリカの経済および技術的リーダーシップに悪影響を及ぼす」として、改めて反論しました。

Why DOJ’s proposed remedies harm America
https://blog.google/outreach-initiatives/public-policy/doj-search-remedies-apr-2025/


DOJは2020年10月に、「Googleが検索及び検索広告市場において、反競争的で排他的な慣行を通じた独占状態を違法に維持している」として、Googleを訴えました。この訴訟の担当判事であるコロンビア特別区連邦地方裁判所のアミット・P・メータ判事は、2024年8月に「Googleの行為は一般検索サービスおよび一般検索テキスト広告の独占にあたる」として、Googleが独占禁止法に違反しているという判決を下しました。

Googleが金銭を支払ってスマートフォン検索の地位を維持しているのは独占禁止法違反と連邦判事が判断 – GIGAZINE


この判決を受け、DOJはGoogleに対して是正策案を出しており、Googleに対してChrome事業の売却などを迫っています。一方でGoogleはDOJの是正策案に反対しており、「裁判所の判断をはるかに越えるもの」や「Chromeを売却すると国家安全保障に影響を及ぼす」などと主張してきました。

2025年4月20日、Googleの規制業務担当ヴァイスプレジデントを務めるリー・アン・マルホランド氏は、改めてDOJによるGoogleの検索事業に対する独占禁止法違反訴訟について、「時代遅れの訴訟」と批判しました。マルホランド氏は「ChatGPTやDeepSeekのような新しいサービスが隆盛を極める中で、DOJによる包括的な是正策案は不必要なものというよりも、もはや有害です」と言及しています。

Googleは独占禁止法に違反しているという最高裁判所の判決に異議を唱えており、控訴する意向を示しています。マルホランド氏は「しかし、まずは最高裁判所が賠償責任に関する判決に最も適した是正策案を決める必要があります。裁判では、DOJの前例のない提案が最高裁判所の判決をはるかに超え、アメリカの消費者、経済、テクノロジーのリーダーシップに大きな悪影響を及ぼします」と述べました。


DOJの是正策案がどのような悪影響を及ぼすかについて、Googleが挙げた具体例が以下です。

・DOJの提案は、ユーザーが好みのサービスにアクセスすることを困難にするでしょう。ユーザーはGoogleを「必要だから」ではなく「使いたいから」利用しています。しかし、DOJの提案はブラウザやスマートフォンのデフォルト設定をMicrosoftのBingなどの検索サービスに強制し、Googleへのアクセスを困難にするものです。

・DOJが提案した検索配信権をめぐる競争を阻止する措置は、価格上昇とイノベーションの鈍化につながるでしょう。デバイスメーカーFireFoxなどのウェブブラウザは検索配信による収益(Google検索を採用する代わりにGoogleから得る収益)に依存しています。この収益がなくなると、携帯電話の価格が上昇し、一般消費者が毎日使っているウェブブラウザに支障をきたすことになります。

これについては、Firefoxの開発元であるMozillaも「是正策案が施行されるとMozillaの収益源が危険にさらされ、Mozillaの将来が危うくなる」と訴えています。

Firefoxを開発するMozillaがGoogleの独禁法訴訟でGoogleの各種事業が破壊されると運営資金がピンチになると訴える – GIGAZINE


・DOJの提案は、Googleに対してユーザーの最も機密性の高いプライベートな検索クエリを、おそらく聞いたこともないような企業と共有することを強制し、ユーザーのプライバシーとセキュリティを危険にさらすものです。ユーザーの個人情報は、Googleのような世界水準のセキュリティ保護を備えていない企業に、ユーザーの許可なく公開され、悪意のある人物に悪用される可能性があります。

・DOJの提案は、AIの開発方法を阻害し、政府が任命した委員会が製品の設計と開発を規制することにつながります。これは重要な局面でアメリカのイノベーションを阻害することになります。私たちは、次世代のテクノロジーリーダーシップをめぐって中国と熾烈なグローバル競争を繰り広げており、Googleは科学技術の飛躍的進歩を遂げるアメリカ企業の最前線に立っています。

・DOJによる「ChromeとAndroidを分割する」という提案は、Googleが長年に渡って多大な費用をかけて構築し、無料で提供してきたものを破壊し、それらに基づいて構築されたビジネスに悪影響を及ぼし、セキュリティを脅かすことにつながります。Googleは世界中のどの企業よりも多くの人々をオンラインで安全に守っており、ChromeとAndroidを我々の技術、セキュリティ、運用インフラから切り離すことは、サイバーセキュリティ、さらには国家安全保障上のリスクをもたらすだけでなく、デバイスの価格上昇にもつながります。

なお、Googleは過去にもChromeおよびAndroidの事業売却に懸念を表明していました。

Googleが司法省による「ChromeやAndroidの事業分割」検討に懸念を表明 – GIGAZINE


マルホランド氏は「より良い道があります。それは、消費者、アメリカの経済、テクノロジーリーダーシップ、そして国家安全保障を損なうことなく、最高裁判所の判決に対応する道です。私たちが提案する是正策案は、本件の争点である検索配信契約の争訟性に焦点を当てることで、これらの目標を達成するものです」と語りました。

なお、Googleの提案する是正策案については以下の記事を読めばわかります。

Googleが独禁法違反でChrome事業の売却を求められている件で自ら是正策を提案 – GIGAZINE

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