Google提唱のRAILモデルとは?Webパフォーマンス最適化の4原則を解説 #性能 - Qiita

WebサイトやWebアプリのユーザー体験(UX)に大きな影響を与える要素の一つがパフォーマンスです。Googleはユーザーファーストな設計を実現するために、「RAILモデル」というフレームワークを提唱しています。

この記事では、RAILモデルの4つの原則について分かりやすく解説し、Webパフォーマンスを改善するための具体的な指針をご紹介します。

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出典 : Web Fundamentals

RAILモデルは、「Google I/O 2015」で提唱された、Webサイトやアプリのパフォーマンスをユーザー視点で最適化するための考え方です。
「タップ」「スクロール」「読み込み」などのユーザーの操作ごとに体験を分類し、それぞれに対して「どれくらい速く動作すべきか」という時間目標を設定することで、快適で直感的なWeb体験を実現します。

  • R:Response(応答)
  • A:Animation(アニメーション)
  • I:Idle(アイドル)
  • L:Load(読み込み)

RAILモデルの最大の特徴は、ユーザー視点で目標時間を定量化している点にあります。すべてのアクションに対して「どの程度の速さで応えるべきか」という明確な基準が示されており、UX改善の指針となります。

0 ~ 16 ms 人は動き(モーション)を追うのが得意なので、アニメーションがカクついているとすぐに気づき、違和感を覚えます。1s間に60フレームのアニメーションが表示されていれば、滑らかに見えます。
0 ~ 100 ms この時間内に操作に反応できれば、ユーザーは「即座に反応した」と感じます。
これを超えると、操作と結果の間に“ズレ”を感じ始め、自然な操作感が失われます。
100 ~ 1,000 ms 遅延は感じるものの、ユーザーはまだ集中力を保てる範囲です。
1,000 ms以上 1sを超えると、ユーザーの注意がそれ始め、今している操作から意識がそれてしまう可能性が出てきます。
10,000 ms以上 10s以上かかると、ユーザーは「遅すぎる」と感じてイライラし、ページを離れたり操作をやめたりする可能性が高まります。
最悪の場合、「後でまた見よう」とそのまま離脱されてしまいます。

例:ボタンのクリック、タップ

  • 目標
    ユーザー操作に対して 100ms 以内 に視覚的な反応を開始し、即時性を感じさせる。
  • ガイドライン

    • 入力イベントは50ms以内に処理する。
    • アクションが50msを超える場合は、ローディングインジケーターなどでユーザーにフィードバックを返す。
    • バックグラウンド処理やアイドル時間を活用して、ユーザー操作をブロックしない設計を心がける。

例:スクロール、ドラッグ、トランジション

  • 目標
    アニメーションの各フレームを 10ms 以内 に生成する。各フレームの最大バジェットは16ms(60フレーム)となっているが、ブラウザでの各フレームのレンダリングに約6msかかるため、1フレームあたり10msのガイドラインとなっている。
  • ガイドライン
    • 各フレームの処理時間は16ms以内。(ブラウザの描画に6msかかるため、実質10ms以内に処理することが望ましい)
    • スクロール、ドラッグ、トランジションなどのアニメーションは、一貫したフレームレートを維持しないと、カクつきやラグが発生する。

アニメーション最適化戦略については、レンダリングパフォーマンス参照

例:キャッシュ登録、ログ送信など

  • 目標

    • ユーザーが操作していない時間を活用して、1回あたり最大 50ms 以内で小さなタスクを処理する。
  • ガイドライン

    • アイドル時間を使用して遅延処理を完了させる。たとえば、最初のページ読み込みでは、読み込むデータをできるだけ少なくし、アイドル時間を使用して残りの読み込みを行う。
    • 50ms以下のアイドル時間中に処理を実行する。それを超えると、50ms以内にアプリのユーザー入力に応答できなくなる。
    • ユーザーがアイドル時間中にページを操作した場合、ユーザー操作は常に最も高い優先度で、アイドル時間中の作業を中断する必要がある。

(例:ページ表示開始)

  • 目標

    • ユーザーがコンテンツにすばやくアクセスできるように、初期ロードは 1s以内 を目指す。
  • ガイドライン
    • 重要なコンテンツの先読み、遅延読み込み(Lazy loading)、圧縮、キャッシュ戦略の活用などが有効。
    • ユーザーが必要とする「操作可能」な状態を、最速で提供することを優先する。

RAILの原則を守るためには、実際の計測・可視化が重要ですが、そのためにはChrome DevToolsLighthouseのようなツールの活用が推奨されています。

また、サーバーサイドの性能可視化にはELKスタックなどが有効です。詳細は以下の記事をご参照ください。

RAILモデルは、単なる技術指標ではなく 「ユーザー中心」のWeb設計のための考え方 です。
「100msで応答し、60fpsで動き、アイドル時間も有効活用、そして1秒以内に表示完了」
この4つの原則を意識することで、ユーザーにとって快適で再訪したくなるWeb体験を提供できます。パフォーマンス設計に迷ったときは、ぜひRAILモデルを活用してみてください。



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