Googleが2025年4月22日付けで発表した「プライバシーサンドボックスに関する方針」で、「ChromeでユーザーにサードパーティーCookieの選択肢を提供するという今のアプローチを維持することを決定した」と明らかにし、サードパーティーCookieを段階的に廃止する方針を見送ることを改めて示しました。

Next steps for Privacy Sandbox and tracking protections in Chrome
https://privacysandbox.com/news/privacy-sandbox-next-steps/

Google won’t ditch third-party cookies in Chrome after all – Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2025/04/google-wont-ditch-third-party-cookies-in-chrome-after-all/

Google is scrapping its planned changes for third-party cookies in Chrome | The Verge
https://www.theverge.com/news/653964/google-privacy-sandbox-plans-scrapped-third-party-cookies

サードパーティーCookieとは、閲覧しているウェブサイトとは違うところが発行するCookieのこと。サードパーティーCookieを使うことで、企業はユーザーがどのサイトを訪れたのかを追跡したり、行動パターンや興味を把握して適切な広告を表示したりすることが可能になります。

サードパーティーCookieはウェブ広告業界において重要な役割を果たしてきましたが、このサードパーティーCookieはユーザーのプライバシーを侵害していると批判され、さまざまな国で規制対象になっているほか、AppleのSafariやMozillaのFirefoxをはじめとするウェブブラウザもサードパーティーCookieを制限しています。

広告業が中心事業となっているGoogleは、「サードパーティーCookieを使用しないとパブリッシャーの収益が52%も失われる」という調査報告を発表していましたが、一方で2020年には「よりプライベートなウェブを構築するために、Chromeでは将来的にサードパーティーCookieを廃止する予定」であることを明かしています。

Chromeは2年以内にサードパーティーCookieのサポートを廃止する方針 – GIGAZINE

by Glenn Carstens-Peters

「行動を勝手に追跡するのはプライバシーの侵害だ」というユーザー側の意見と、「サードパーティーCookieを廃止すると収益が減少する」というパブリッシャー側の意見の板挟みになったGoogleが2019年に提案したのが、「プライバシーサンドボックス」です。このプライバシーサンドボックスはサードパーティーCookieの代わりになる技術を提供し、個人を特定せずに広告の効果を測定できる仕組みを導入するというアイデアです。

GoogleがCookieレスな「プライバシー・サンドボックス」を実現させると何が起こるのか? – GIGAZINE


しかし、プライバシーサンドボックスでサードパーティーCookieに取って代わる技術として期待された「Federated Learning of Cohorts(FLoC)」は、プライバシー侵害の懸念がぬぐいきれていないとして多くの反発を受け、AmazonWordPressGitHubもFLoCを無効化すると発表。こうした動きを受けて、Googleは2022年に予定していたChromeでのサードパーティーCookie廃止を延期すると発表しました。

Google ChromeでのサードパーティーCookie廃止が延期に – GIGAZINE


その後、Googleは不評だったFLoCではなく「Topic API」という新しい技術を採用しましたが、サードパーティーCookie廃止を2024年まで再延期します。そして2024年7月、Googleは「サードパーティーCookieを廃止するのではなく、ユーザーの選択肢を高める新しいアプローチを提案します」と述べ、サードパーティーCookieの廃止計画の撤回を宣言しました。

GoogleがChromeからサードパーティーCookieを廃止する計画を撤回 – GIGAZINE


2024年の撤回発表で、Googleは「ユーザーの選択を重視する新たな体験」をChromeに導入する方針を提案しています。これはサードパーティーCookieを一律で廃止するのではなく、「サードパーティーCookieを許可するか、拒否するかという選択を一度提示し、一括で設定する」という方針に舵を切るという内容でした。ただし、規制当局と協議中という問題から、実装の詳細は確定していませんでした。

しかし、今回の発表では、改めてサードパーティーCookieの廃止計画の撤回を宣言すると同時に、この「一括設定の選択肢」の導入も取りやめることが明言されました。つまり、従来のように「サードパーティーCookieの使用を許可するか拒否するかを、ウェブサイトごとにユーザーが手動で選択する」という方法をひとまず維持することが決まったというわけです。このような判断に至った理由として、Googleは「2024年以降もパブリッシャーや広告業界、開発者、規制当局の間で、サードパーティーCookieの取扱いについての意見が一致しなかったこと」「プライバシー強化技術の普及が進み、Cookieに頼らない広告や測定が現実味を帯びてきたこと」「各国の法規制が複雑化かつ多様化し、合法性の判断が難しくなったこと」を挙げています。

ただし、Chromeのシークレットモードでは引き続きサードパーティーCookieがデフォルトでブロックされるほか、2025年第3四半期(7~9月)にはIPアドレス保護機能やAIによるセキュリティ保護機能などの導入も予定されているとGoogleは述べました。

オープンなインターネットを求める業界団体・The Movement for an Open Web(MOW)の共同創業者であるジェームズ・ローズウェル氏はIT系ニュースサイトのThe Vergeに対し、「Googleの意図は、オープンで相互運用可能な通信規格を排除し、デジタル広告トラフィックを自分たちが独占的に管理することでした。しかし、今回の発表により、その狙いは終わりました。Googleは、独占的なプロジェクトに対する障害を克服できないと認識し、あきらめたのです」と語りました。

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