
GoogleのAI研究チームであるGoogle DeepMindがコーディングエージェント「AlphaEvolve」を2025年5月14日(水)に発表しました。AlphaEvolveはGeminiと進化的アルゴリズムを組み合わせたAIエージェントで、未知のアルゴリズムを発見したり未解決数学問題の新解法を発見したりできるほどの能力を備えています。
AlphaEvolve: A Gemini-powered coding agent for designing advanced algorithms – Google DeepMind
https://deepmind.google/discover/blog/alphaevolve-a-gemini-powered-coding-agent-for-designing-advanced-algorithms/
DeepMind unveils ‘spectacular’ general-purpose science AI
https://www.nature.com/articles/d41586-025-01523-z
AlphaEvolveは高速かつ効率的なAIモデル「Gemini Flash」や高性能なAIモデル「Gemini Pro」の問題解決能力に進化的アルゴリズムを組み合わせたAIエージェントです。人間によるAlphaEvolveへの指示は最初にAIモデル用のプロンプトに変換され、そのプロンプトの生成結果の「検証」「実行」「採点」を繰り返し実行することで最適な回答を導き出すことができます。
AlphaEvolveに行列乗算アルゴリズムの改善を依頼した結果、4×4複素数行列の乗算を48回のスカラー乗算で実行できるアルゴリズムが生成されました。この結果は2022年に発表された「AlphaTensor」を超える成果です。また、「解析学」「幾何学」「組み合わせ論」「数論」の50以上の未解決問題をAlphaEvolveに解かせた結果、約75%の問題では「最先端の解法の再発見」に成功。さらに、約20%の問題では「それまで最良とされていた解法を改良し、未解決問題の解決を一歩進める」という成果をあげています。
GoogleはAlphaEvolveを「データセンター」「チップ設計」「AI開発」の分野で実戦投入しています。データセンターではGoogle製クラスターマネージャー「Borg」のシステム改善策を提案し、Googleの全世界のコンピューティングリソースの平均0.7%を継続的に回復させることに成功。また、GoogleのAI処理用チップ「TPU」の設計変更も提案しており、提案内容は実際にTPUに取り込まれています。
AlphaEvolveはGeiminiの開発でも活用されている行列乗算カーネル言語「Pallas」を23%高速化し、Geiminiのトレーニング時間を1%短縮することにも成功。さらに、低レベルGPU命令の最適化も可能で、「FlashAttention」を最大32.5%高速化することもできました。
AlphaEvolveは「選抜された学術機関」を対象にした早期アクセスプログラムの実施が計画されており、より広く利用可能にすることも検討されています。GoogleはAlphaEvolveを利用したい人向けの登録フォームを用意しています。
AlphaEvolve: Explore AI-Driven Algorithm Discovery & Optimization
https://forms.gle/WyqAoh1ixdfq6tgN8
また、AlphaEvolveの研究論文は以下のリンク先で公開されています。
AlphaEvolve: A coding agent for scientific and algorithmic discovery
(PDFファイル)https://storage.googleapis.com/deepmind-media/DeepMind.com/Blog/alphaevolve-a-gemini-powered-coding-agent-for-designing-advanced-algorithms/AlphaEvolve.pdf
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🧠 編集部の感想:
Googleの新しいAI「AlphaEvolve」は、未知のアルゴリズムや未解決の数学問題を解決できる革新的な技術です。特に、すでに実践的な応用が進んでおり、チップ設計の改善にも寄与しているのは驚きです。この技術が科学や技術の進展にどれほど影響を与えるか、今後の展開が楽しみです。
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