いまや万国博覧会とのコラボレーションまで行うほどの国民的な支持を集めるゲーム会社のカプコン。その代表作と言えばやはり『モンハン』や『バイオハザード』といったシリーズ作品の名が挙がるところですが、今回レビューするのはそんな作品達に勝るとも劣らない歴史と根強い人気を誇る名シリーズ鬼武者第2作品のリマスター版です。

オリジナル版『鬼武者2』は2002年3月にPS2向けソフトとして発売され、全世界累計210万本というシリーズ最高の売上本数を誇る作品でもあります。そんな令和の時代に復活する20年来のヒット作であり、シリーズ作品としても2019年の前作『鬼武者』リマスター版の発売から6年半と満を持しての登場となる『鬼武者2』リマスター版ですが、本稿ではシリーズ全体を通して今回が初めてのプレイとなる筆者による、新規参入プレイヤー目線でのレビューをお届けしていきたいと思います。

なお、シナリオについての詳述は致しませんが、些細なネタバレも避けたい場合は、閲覧にご注意ください。

また、本レビューはカプコンから提供された4月10日時点のPC向けリリース前ビルドをもとに執筆しており、製品版の発売時にはゲーム内容に変更が行われる可能性があります。

「バッサリ感」ある爽快剣戟アクションが令和に合わせた姿で帰ってくる

レビューに入る前に本作の大まかな内容についてご紹介しましょう。『鬼武者』シリーズは「バッサリ感」をキーワードに爽快な剣戟アクションを楽しめる作品で、戦国時代を舞台としたリアリティあるビジュアルや特徴的なカウンターシステム「一閃」といった様々な魅力を有しています。『鬼武者2』は先述の通りシリーズでも最高の売上本数を誇る人気作であり、主人公「柳生十兵衛」役に往年の名優、松田優作氏を起用したことでも話題を呼びました。

そんな本作では初代『鬼武者』から13年後の世が描かれ、討ち取られた初代幻魔王に代わり幻魔王となった織田信長により故郷の村を滅ぼされた柳生十兵衛として、自身に流れる鬼の血の力を駆使し、道中出会う個性的な仲間たち「同志」と共に信長の打倒を目指します。「一閃」や各武器ごとに設定された固有のモーション、ゲージ技など初代の爽快なアクションはそのままに、ここぞという場面で役立つ強化形態「鬼武者変身」や溜め技の追加、同志との交流と共闘といった初代にはない要素で遊びの幅をさらに広げています。

初見プレイヤー目線でも十分楽しめる迫力ある戦闘体験

では端的に、そんな本作の面白さは令和の時代にも通用するのか。筆者の主観ではありますが、今回のプレイ体験を経た上で自信をもってイエスと言えます。

まずはやはりPS2版から大幅に向上しているであろうグラフィック。前述の通り筆者はオリジナルのプレイ経験はありませんが、起動した段階で「え、全然綺麗じゃん。」と言葉が口をついて出てしまったほどで、解像度の向上はもちろん発色やフレームレートも十分満足できる物でした。特に顕著だったのは冒頭のムービーで、十兵衛の故郷が辿った悲惨な展開に視覚的にも強い衝撃を感じさせられました。

もちろんプレイ中も、高解像度故に敵の動きの視認性が良好であることや迫力ある大技のエフェクトなどグラフィックの向上の恩恵は多々あったように思えます。先述のフレームレートについても、開発者インタビューで江城ディレクターがその向上がプレイ感を良好にするかもしれないとおっしゃられていたように、モーションに違和感を感じず気持ちよくプレイできました。

現代に合わせて変わる便利さ、作品らしさ残す変わらない不便さ

ゲームシステム面では「バッサリ感」が示す通りの敵を切り倒す心地よさが十分に体験できました。今回の機会に初代のHD版についてもあらかじめプレイさせていただきましたが、アクションの基本はそちらと大きく変わらないシリーズらしいものでした。特にゲージ技や一閃発動時の小気味よいヒット音には、そこにあまりメリットが無くとも雑魚敵を一掃したくさせられました。

また「鬼武者変身」やコマンド技、チャージ攻撃といった新たな要素についても、それぞれ場面ごとにうまく使えば高い効果を発揮する戦略的要素として十分に機能していました。折角初見であるからとほとんど情報を入れずにプレイをしましたが、その鬼武者変身はオリジナルでは必要アイテムを取得し次第自動発動であったのが、リマスターに当たり任意発動できるよう変更されていたとのことで先ほど述べた「場面ごとに効果的な攻撃」という観点での評価を強く後押しする変更点であったと言えそうです。

オリジナル版から変更があったという観点で言えば初代のリマスター版同様スティック操作にも対応しており、より直感的なプレイが可能となっています。さらに初代リマスターにもなかったオートセーブやムービースキップ機能が実装されており、特にムービースキップはボス戦でのリプレイ性を大きく向上してくれる大変ありがたい機能でした。

奴の「そんな真似」も1度で十分

一方で変わらない部分として、特徴的なカット切り替え式の固定カメラ視点には何度も泣かされる場面がありました。当然この点は本作らしさに欠かせない要素であり、筆者もまた泣かされたことそのものに面白さを感じることができたと言えます。同様にボスには一癖も二癖もある攻撃で翻弄されたり、ストーリー攻略で次に行くべき場所がはっきりと示されないが故の手探り感なども据え置きとなっているようです。

好感度システムの作り込みに感動!敵まで魅力的なストーリーに引き込まれる

また、本作を語るうえでキャラクター達の魅力は欠かせないものでしょう。ぶっきらぼうながら人間味のある、松田優作氏がモデリングに抜擢されたのも納得の主人公に、それぞれ際立つ個性を様々な形で表現される同志達。特に同志とのアイテム交換による好感度イベントは、意外なものが好意的に受け取られたり、拒否ボイスまでいくつかのパターンではあるもののアイテムごとに合わせたものが用意されていたりと、かなり丁寧に作り込まれているように感じました。

さらに、本作では公式サイトでも紹介されている「ゴーガンダンテス」をはじめとする敵キャラクターにもインパクトのある特徴が与えられており、初見の「なんだこいつ」感や戦闘におけるセリフの憎たらしさたるや、原作プレイヤーの方にならわかっていただけるのではないでしょうか。先に述べたようにボスとして十分な実力を持っているのも相まって大変印象に残るキャラクターとして今後の展開への期待を募らせてくれました。

令和の時代に堂々復活!追加チャレンジモードへの挑戦者求む

総じてゲームとしての完成度も遜色なく、たとえシリーズ未経験のプレイヤーであっても本作は十分に楽しめると評価します。一方で、本作らしさとは言えゲームシステムに古臭さを感じさせる点が無いとは言えないため、万人受けするとは言い切れないのもまた事実。プレイして損をするなんてことはまずありませんが、ミドル帯の価格であることを踏まえてもマストプレイとまでおすすめできない点に注意が必要です。

なお、追加要素として雨宮慶太氏のデザイン原画やデジタルサウンドトラック機能、そして一撃でゲームオーバーとなる高難度モード「修羅」が実装されているなど、本作は原作プレイヤーの方にも当然おすすめできる内容となっています。特に「修羅」モードは筆者では全く歯が立たない大変チャレンジングなモードとなっているため、腕に覚えのあるプレイヤーはぜひ挑戦してみていただきたいです。

最序盤でもあっけなく「終」
雨宮慶太による設定画
雨宮慶太による設定画
雨宮慶太による設定画
カプコンコンセプトアート
カプコンコンセプトアート

Game*Spark レビュー 『鬼武者2』リマスター版PC(Steam)/PS4/Xbox One/Nintendo Switch 2025年5月23日リリース

令和の時代でも遜色ない爽快アクションは新規プレイヤーにも十分おすすめ!

GOOD

  • リマスターで見た目、アクション性共に楽しく迫力あるものに
  • 味方キャラ際立たせる好感度システムと個性豊かな敵キャラがストーリーを盛り上げる
  • 遊びやすさと『鬼武者』らしさの両立を図った見事なゲームシステム

BAD

  • マストプレイというには万人受けしきれない部分が残り、価格帯としても選択肢の一つから抜け出せないように思える

【PS5】モンスターハンターワイルズ
¥7,988
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

【Steam】モンスターハンターワイルズ
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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)



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