たとえゲームとして気になるところがあっても、とある一点の良さだけで高い評価を与えたり、不満点を許してしまいたくなるような作品、ありませんか? 今回レビューをお届けする作品は決してゲームとして優れているとは言えませんが、魅力的すぎるキャラデザという一点のみで全体を引っ張るような、力強さを感じる作品です。

本記事では、2025年4月11日にCombat Cat Studioが発売した対戦シューター『Wild Assault』のGame*Sparkレビューをお届けします。記事執筆にあたっては、同スタジオからSteamキーの提供を受けています。

もふもふ!ケモノたちの大戦争

本作は、ケモノキャラクターたちが大戦場で争う20対20の対戦TPSです。さまざまな能力や武器を持ったキャラクターを選択し、目標を取り合う激しい争いを繰り広げます。

ルールは拠点を取り合うオブジェクトルールとなっており、攻撃側はすべての拠点を奪う、防衛側は相手のリソースを0にすることを目指す「アサルトレイド」、相手のポイントが0になるまで3つの拠点を奪い合う「コンクエスト」の2つが用意されています。

『バトルフィールド』や『コール オブ デューティ』のように何度もリスポーンでき、1人の責任が薄めなデザインなので、カジュアルにプレイできます。一方で、『オーバーウォッチ』や『VALORANT』のようなヒーローシューターの要素も備わっています。

本作の操作キャラは「ヴァリアント」と呼ばれ、それぞれ持っている武器・装備や能力が異なります。スモークを焚ける突撃特化のショットガン持ちもいれば、遠くの敵をスポットできるスナイパーもいるといった具合に、それぞれ役割が与えられています。

体格による性能差もあり、大きければ耐久力はあるけど足が遅い、小さければすばしっこいけど撃たれ弱いといった感じで、どのヴァリアントを使うかがしっかりと戦略に組み込まれています。

ケモノへのこだわり抜群

本作に注目している方の9割は、美麗なケモノキャラクターたちに魅力を感じているのではないでしょうか。Unreal Engine 5で描かれるもふもふの毛並みに、ディズニー「ズートピア」のように体型は人間、顔はケモノというデザインです。

追撃者
勇敢な心

屈強な雄牛の突撃役「鉄壁警官」、可愛らしいウサギのヒーラー「勇敢な心」、孤高の狼スナイパー「追撃者」など、どのヴァリアントにも可愛さ・かっこよさを感じられ、なんとなく想像する動物ごとのイメージにもぴったりなので、キャラクターとして非常に魅力的です。

中でも、キーアートなどで強調されているセクシーなキツネの遊撃手「紅姫」は極上の仕上がり。露出が多く、胸部が強調されたトップスに、短くラインがくっきり出たパンツと、思わず見とれてしまうセクシーぶり。彼女は5試合ほどプレイしないとアンロックできませんが、それをモチベーションにプレイできます。魅力的なキャラクターを使いたい!という気持ちがゲームを遊ばせる工夫になっているのは、正統で的確な方法だと感じました。

また、ケモノを活かしたシステムも特徴です。本作は広いフィールドを舞台としていますが、Shiftキーを2回押すと発動できる四足歩行ダッシュを使うことでスタミナが続く限り素早く移動できます。

普段は二足歩行のヴァリアントたちが、本来の姿を思い出したかのように四足歩行で走り出す姿は大きなインパクトがあります。それぞれ走り方も異なるため、ケモノをキャラクターにした必然性やこだわりが見て取れます。

人不足で対戦シューターの体験としては厳しめ

その一方で、対戦シューターの体験としてはいくつかの見逃せない欠点があり、万人にはおすすめできません。『BF』や『CoD』はいまだ有料ですが、対戦シューターのシーン全体を見ると基本無料がスタンダードになった今、人を集めるのに苦労している印象です。

SteamDBによれば、記事執筆時点のピーク時同時接続プレイヤー数は約2,300人で、ここ最近は1,000人前後しか集まっていません。そのためか、BOTと見られる明らかに弱いプレイヤーも存在しており、手応えのない試合になりがちです。

しっかりした試合になったとしても、やけに開けていてスナイパー有利なマップだったり、道が多く裏取りがしやすすぎたりと、戦略的でない不意打ちが多発するデザインになっています。もちろん不意打ち自体は戦略のひとつですが、それが試合を進める主な要因になってしまうのは筆者としてはあまり良いとは思えません。

また、コンテンツ不足も大きな問題として挙げられます。本作のメインモードは先述したアサルトレイドとコンクエストの2通りで、あとはチュートリアルと訓練場といった練習用コンテンツしかありません。

デイリーチャレンジや、キャラクターを成長させて性能を底上げさせる要素も備わっていますが、それを存分に楽しむためのモチベーションは保ちづらいのが現状です。試合展開も同じ流れになりがちなので、さらなるモードやコンテンツの追加は急務と言えるでしょう。記事執筆時点では後日ロードマップを公開予定としているので、今後に期待したいところです。

とはいえ、TPSとしての基本的なシステムに破綻はなく、まったく楽しめないゲームではありません。対戦シューターを求めて購入するのはおすすめできません。プレイに大きな支障はないものの、“ー”(伸ばし棒)が欠落していたり、ヴァリアントの名前がキャラ名としては違和感があったりと、多く目に付くローカライズ品質の低さはプレイ時に気が散ります。

しかし、ケモノ鑑賞を目的に楽しめるのであれば、造形からモーションまで強いこだわりをもって描かれたヴァリアントの中に、きっとあなたの心を掴むものがあるはずです。

Game*Spark レビュー 『Wild Assault』 PC(Steam/Epic Gamesストア) 発売日:2025年4月11日

「ケモノ」の魅力、その一点で全力を出した対戦シューター

GOOD

  • 力強いフェチを感じるケモノ描写
  • 『BF』の気楽さと『OW』のキャラ選択の楽しさを組み合わせている

BAD

  • コンテンツ不足
  • 不意打ちの多いマップデザイン
  • モチベーションの持たないコンテンツ不足
  • ローカライズ品質の低さ



フラッグシティパートナーズ海外不動産投資セミナー 【DMM FX】入金

Source link