パブリッシャーForklift Interactiveは、オランダを拠点とするデベロッパーMind Control Gamesの手がける資金洗浄シミュレーター『Cash Cleaner Simulator』を、PC(Steam)向けに2025年5月9日リリースします。
本作は、プレイヤーが裏社会から依頼を受けて汚れたお金を綺麗にして再び社会へと送り出す作品。お金は泥だらけだったり、濡れていたり、ペンキが付いたりと、さまざまな汚れのパターンがあります。洗濯機や乾燥機、高度な作業を駆使してお金を綺麗にして、再び世の中へ送り出しましょう。
そう、本作の「資金洗浄」は、いわゆる「マネー・ロンダリング」ではなく、本当にお金を綺麗にするのが大きな目的。仕事で得た報酬で器具を新調したり、家具を買ったりといったアップグレード要素も用意されています。そして、仕事の裏には主人公の素性や組織の思惑なども隠されています。

本稿では『Cash Cleaner Simulator』のプレイレビューをお届けします。なお、ゲームプレイおよびスクリーンショット撮影はForklift Interactiveより提供されたSteam版で行っています。
お金をパッケージングして配達せよ!
本作の物語は、記憶喪失状態の主人公がとある工場内で目を覚ますシーンからスタートします。最初にベティと名乗る謎の女性からの電話の指示に従いながら、基本的な移動方法やスマートフォン操作、クライアントからの依頼を受ける「ダークネット」の使い方などを学んでいきます。
基本的なゲームの流れは、クライアントの依頼に応じた現金を用意して工場内のベルトコンベアで出荷して名声と報酬を稼いでいくというもの。最初の依頼では、ベティのためにいくつかのドル札をまとめて出荷することになります。




クエストに必要な現金は、開始時に天井の穴から段ボール箱やカバンに入った状態で自動的に運ばれます。プレイヤーは荷物を確認して、10ドル/20ドル/50ドル/100ドル札から必要な額面を揃えてきます。出荷時には「札束にする」「特定の箱やバッグに入れる」といったリクエストもあります。
序盤のクエストは「お札を〇〇枚」くらいの簡単なものですが、徐々に「1万5,000ドルを箱に入れて」といった要求も増えていきます。そこで重要なのが【紙幣計算機】です。これは、セットしたお金を自動的に選り分ける便利な器具で、例えば1万ドル必要なら100ドル札を100枚簡単にまとめてくれるのです。




こうして訳もわからないままに、新しい仕事に就くことになった主人公。ちなみに工場は完全に封鎖されている様子で、主人公は出ることもできないようです。




汚れたお金を綺麗にしよう!
(いわゆる犯罪の痕跡を消す意味とは異なる)「資金洗浄」がテーマの本作では、実際に汚れたお金をいかに綺麗にするかというのが大きな問題としてプレイヤーに立ちはだかります。序盤ではまず、ずぶ濡れになった現金を乾いたお金にしてほしい、という依頼を受けることになります。
濡れたお金は、工場内に「乾燥機」を導入することで乾いたお金に変換可能。最初のクエストでは乾燥機がありませんが、まず工場内の資金を使用することで報酬として獲得可能。このあたりから“他の依頼で受け取った/余ったお金”を他に流用するパターンが増えるので、本来のお金を回さないような仕組みができていますね。




注意するべきは、汚れたお札が他のお札に混じってしまうこと。本作ではマウスクリックで1枚ずつお札を取ることもできますが、数百枚単位のお金を扱う中では非効率極まりない行動なので、まとめて取ることが基本です。お金の山の中に汚れた札が入ると、取り出すための作業も必要になってしまいます。
資金洗浄作業は、どうしても手間かかってしまいます。報酬で設備を増やしたり、動線を考えたりしながら、効率良くクエストをこなしていきましょう。名声を上げるとダークウェブのレベルも上がり、より良い仕事も受けられるようになりますよ。




ゲーム内ではやがてユーロや日本円が登場したり、花瓶や銅像といった物品も対象となっていきます。さらに、出どころの怪しいお金の対処も必要になっていきます。


偽札やマークされたお金に注意!
最初は洗ったり乾かしたりする作業が中心ですが、名声が高まることで主人公の元には偽札や、さまざまな組織にマークされたお金といったいわくつきのモノも届くようになります。
これらのお札はUVライトで照らすことで判別できます。クエスト完了時にこれらのお札を入れないことで報酬ボーナスがあったり、逆に偽札のみを必要とするような依頼もあるので、いかに分別して効率よくクライアントの要求に答えていくかというのも本作の重要な要素のひとつです。



大量のお金を扱う本作で、偽札チェックを一枚一枚行うのは大変です。汚れたお金同様に、他のお金と混じると厄介なので、依頼時に明らかに怪しいお金などもあるので、受け入れ時に確認できたら別の場所に保管するなどの措置をとりましょう。
また、ときに「内容は問わないのでたくさんのお金を用意してくれ」といった救済措置のような依頼もあるので、処理が面倒くさいお金をそこで一気に使ってしまうのもひとつの手です。筆者はここでペンキが付いた札をすべて投入するという暴挙を敢行しました。



本作はゲームが進むと、目的のために大量の現金が必要になります。依頼受諾時に運ばれてくるお金で余った分はそこで流用することになるので、しっかりと洗浄しながら「使えるお金」を増やしていくのも大切ですね。ちなみに、買い物は仮想通貨払いなので、どれだけ貯め込んでも現金は使えません。



「不便」や「無駄」をどれだけ楽しめるか
やや異色ながら職業シミュレーターに近い本作は、ジャンルらしい「不便」さをゲーム要素として楽しめるようになっています。UVライトによる偽札/マーク札チャックなどはその最たるもので、作業机に並べてライトを当てながら跳ね除けたり、並び替えたりするのは不思議と楽しいものです。
次々とやってくる依頼や荷物の処理の負担はどんどん大きくなっていきます。例えば1万5千ドル必要なら最低でも100ドル札が150枚必要となり、理想としては一応真札であるか、汚れていないかなどを逐一チェックする必要があります。もし汚れていたら洗濯・乾燥・梱包の時間も必要です。


ゲーム内には時間制限のあるメイン依頼と、お金と名声を稼ぎやすいサブ依頼があります。時間切れなどを除けば、お金の扱いでそこまで大きなペナルティはないので、クリアしやすいサブ依頼を受けながら、設備やお札の整理などを行っていっても問題ありません。
ゲームが進めば新しい設備やエリアもアンロックされていくので、やれることは大きく増えていきます。高級な【紙幣計算機】を導入すれば、札の種類だけでなく枚数も変更できますよ。ドルとユーロごとに計算機も異なるので、こちらも必須と言えますね。



なお、ゲーム内にはいくつかの謎解き要素も用意されています。夜間にUVライトで照らせば隠された模様が見えたり、依頼時に写真を見せられたりとヒントはさまざまです。メインはお金稼ぎですが、こういったちょっとした遊び要素もぜひとも楽しみたいですね。マネーガンで札束をばらまきたい。




『Cash Cleaner Simulator』は、いわゆる「マネー・ロンダリング」ではない、物理的に汚れたお金を綺麗にするという意味での「資金洗浄」がテーマという、ちょっと一捻り加えられた作品として話題になりました。職業シミュレーター系の作品として、それぞれの作業を行いながら設備投資を進めていく要素もしっかり楽しめます。日本語で遊べるので、全体的な雰囲気やチャットのやり取りなども掴みやすいのが嬉しい部分です。
一方で「偽札やマークされたお金の取り扱い」などのダーティーな世界の内容もあり、“汚れた”という意味を文字通りだけでなく活かしているのも好印象です。プレイ自体はそこまで難易度が高くなく、もし依頼より多く納品してもこちらが損をするだけで喜ばれたりもするので、細かくも豪快にもプレイできる場面も多めです。


まとめてオブジェクトを取る際にゴミや器具も取ってしまう、まとまった札から特定の物を取る術がないなど、操作自体に少し癖があるのは改善してほしい部分。まとめて取ることのデメリットを「プレイの不便さ」として組み込んでいる様子もあるのですが、ゲーム内で解決方法が少なく、ストレスになってしまいかねないのが少しもったいないと感じました。

Game*Spark レビュー 『Cash Cleaner Simulator』 PC(Steam) 2025年5月9日リリース
その名の通りの「資金洗浄」ゲー!?汚れたお金を綺麗にして依頼人に届けよう!
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GOOD
- ひとつひとつの作業に職業シミュレーターらしさをたっぷり楽しめる。少し変わったシミュレーターを遊びたいならオススメ!
- 絶妙な世界観とNPCのキャラクターが楽しい。日本語対応も。
- 良い意味で大雑把にもプレイできる難易度。もちろん細かくこだわることもできるし楽しい!
BAD
- 「不便」「手間」を楽しむシミュレーターなのは理解できるが一部の操作に難点あり。
- ゲーム中盤以降はオブジェクトが増えすぎて少しゲームが重くなる
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