Excelの手作業、もう終わりにしませんか？AIで自動化する定型業務荒川 明夫 (AKI) ┃ DX推進アドバイザー │ 毎日更新

日々の業務で、Excelファイルとにらめっこする時間は多いですか？ データの入力、コピペ、計算、集計、グラフ作成…。こうした手作業、「正直、もううんざりだな…」「もっと他にやるべきことがあるのに」と感じている方も多いのではないでしょうか？

特に月末月初や、週次・月次のレポート作成時期など、単純な繰り返し作業に追われて、膨大な時間を費やしてしまう。しかも、人間が手作業で行う以上、どうしても入力ミスやコピペ漏れといった「ヒューマンエラー」のリスクがつきまといます。これが後々のトラブルの原因になったり、チェック作業にさらに時間をかけたり…。

貴重なあなたの時間と労力を、こうした単純作業に奪われてしまっているのは、本当にもったいないことです。

でも、ご安心ください。その繰り返し作業、AIの力を使えば、もう終わりにできる時代が来ています！今回は、AIを活用してExcelの定型業務を自動化する方法についてお話しします。

なぜExcelの手作業は辛いのか？

Excelはビジネスの強力な味方ですが、同時に多くの手作業を生み出す温床でもあります。その辛さは、主に以下の点にあります。

1. 時間泥棒
   データの収集、整形、入力、集計…。これらの作業は積み重なると膨大な時間になります。

2. 退屈で集中力が削がれる
   同じ作業の繰り返しは単調で、モチベーションを維持するのが難しい。

3. エラーの温床
   人間はどんなに注意してもミスをします。特に疲れている時は、単純な入力ミスや数式の参照間違いなどが起こりやすい。

4. 本来やるべきことに集中できない
   定型作業に追われていると、分析や戦略立案、顧客とのコミュニケーションといった、より創造的で価値の高い業務に時間を割けなくなります。

AI（と自動化ツール）がExcel作業をどう変えるのか？

ここで注目されているのが、AIやRPA（Robotic Process Automation）といった技術を使った業務自動化です。

AIと聞くと難しく感じるかもしれませんが、簡単に言えば「これまで人間がPC画面を見て行っていた、キーボード入力やマウス操作、画面情報の読み取りといった『定型的な作業』を、コンピューターが代わりに学習して実行する」イメージです。

特にExcelで行われる「手順が決まっている繰り返し作業」は、この自動化の非常に得意とする分野です。AIは、単にルール通りに動くだけでなく、非定型的なデータの読み取り（請求書のスキャン画像から文字を認識するなど）や、複雑な条件判断なども組み合わせることで、より高度な自動化を実現可能にしています。

AIで自動化できるExcel作業の具体例

あなたの日常業務で「これ、自動化できないかな？」と思う作業はありませんか？以下のようなExcel作業は、AIや自動化ツールで効率化・自動化できる代表的な例です。

• データ入力・収集

  • メールで届くExcel添付ファイルを開き、特定のシートからデータをコピーして、別のマスターファイルに貼り付ける。

  • Webサイトから特定の情報を定期的に取得し、Excelシートにまとめる。

  • 紙やPDFの請求書から必要な情報を読み取り、Excelに入力する。（AIの画像認識/文字認識技術を活用）

• データ加工・整形

  • 複数のExcelファイルに散らばったデータを一つのファイルに集約・統合する。

  • データの全角/半角、表記ゆれなどを統一するデータクレンジング。

  • 不要な行や列を削除したり、データの並び替えを行ったりする。

• 計算・関数適用・集計

  • 新しいデータが追加されたら、自動で特定の計算式（合計、平均など）を適用する。

  • 別シートや別のExcelファイルから、キーとなる情報を元に関連データを自動で引っ張ってくる（VLOOKUP的な作業）。

  • 特定の条件でデータをフィルタリングし、自動で集計表を作成する。

• レポート生成・出力

  • 集計済みのデータから、指定されたテンプレートに従って自動でグラフを作成する。

  • 作成した集計表やグラフを含むレポートファイルを自動でPDFや指定のExcel形式で保存する。

  • 作成したレポートファイルを、指定の宛先に自動でメール添付して送信する。

いかがでしょうか？あなたが普段「手間がかかる」と感じている作業の多くが、リストの中にあるのではないでしょうか。

Excel作業をAIで自動化するメリット

Excelの手作業を自動化することで、単に楽になるだけでなく、ビジネスに多くのメリットをもたらします。

• 時間の大幅な削減
  手動で数時間かかっていた作業が、数分で完了することも珍しくありません。この時間を、より戦略的な思考や顧客対応に充てられます。

• ヒューマンエラーの撲滅
  設定さえ正しければ、コンピューターは疲れませんし、ミスもしません。データ精度が向上し、手戻りやトラブルが激減します。

• コスト削減
  残業代の削減や、単純作業に割いていた人件費を、より生産性の高い業務に振り向けられます。

• 生産性・創造性の向上
  退屈な繰り返し作業から解放されることで、従業員のモチベーションが向上し、本来のスキルや創造性を発揮できるようになります。

• リアルタイム性の向上
  手作業では難しかった、データのリアルタイム集計やレポート作成が可能になり、より迅速な意思決定をサポートします。

どうやってExcel自動化を始めるか？

「AIで自動化って難しそう…」と思った方もいるかもしれません。しかし、最近はプログラミングの専門知識がなくても直感的に操作できるRPAツールや、AI機能を搭載したExcel関連ツール、あるいは既存のExcelマクロにAIを連携させる方法など、様々な選択肢があります。

まずは、以下のステップで小さな一歩を踏み出してみましょう。

1. 「手間」をリストアップ
   日々の業務で、「頻繁に繰り返している」「時間がかかっている」「単純作業なのにミスしやすい」Excel作業を洗い出します。

2. 自動化可能性を検討
   リストアップした作業の中から、手順が明確に決まっているもの、例外パターンが少ないものを選びます。

3. ツールを調査・試行
   選んだ作業を自動化できそうなツール（RPA、AI連携ツールなど）について情報収集し、無料トライアルなどを活用して試してみます。

4. 小さく始める
   まずは一つの簡単な作業から自動化に挑戦し、成功体験を積むことが重要です。

社内のIT部門や、自動化ツールのベンダーに相談してみるのも良い方法です。

単純作業はAIに任せて、賢く働こう

Excelの手作業は、多くのビジネスパーソンにとって避けられないもの、いわば「宿命」のように思われてきました。しかし、AIと自動化技術の進化により、その状況は確実に変わりつつあります。

単純なデータ入力や集計作業はAIに任せて、私たちはそのデータから何を読み取るか、どのように活用するか、といった「人間ならでは」の考える仕事、創造的な仕事に集中しましょう。