裁判に際して第三者が有用な意見を提供する「アミカスブリーフ」制度で提出された資料から、Epic GamesとAppleの訴訟の影響で、iOSアプリの外部決済システムが手数料なしで使えるようになり、Spotifyはこの外部決済システムを利用してプレミアムプランのユーザーが大幅に増加したことが明らかになりました。
Spotify says support for external payments on iOS has already boosted subscriptions | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/05/21/spotify-says-support-for-external-payments-on-ios-has-already-boosted-subscriptions/
「フォートナイト」開発運営元のEpic Gamesは2020年、新たな決済システムとして「EPICディレクトペイメント」を発表しました。アプリストア経由だと、ユーザーがアイテムを購入した際に手数料として30%を徴収されていましたが、EPICディレクトペイメントは手数料がないので、売り上げの最大20%をユーザーに還元できるということを売りにしていました。ところが、Appleは「App Store外の決済システムの利用は認めていない」として、規約違反でApp Storeからフォートナイトを削除。Epic Gamesは「公平な競争」を求めて、訴訟を起こしました。
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裁判は地方裁判所、控訴裁判所ともにApple有利の判決となり、最高裁判所が審理を拒否したことで、Apple側の主張がほとんど認められた控訴審判決が確定しました。しかしEpic Games側が主張していた「外部決済システムへのリンクを認めること」という点は、第一審判決、控訴審判決ともに認められました。
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判決の確定を受けて、AppleはApp Storeのガイドラインを更新し、「アプリ内課金以外の外部決済システムへのリンク」を認めました。しかし、最大27%の手数料を課したのは裁判所命令を無視するものだとしてEpic Gamesが異議申し立てを行い、2025年に裁判所はAppleに対し、外部決済システム利用時の手数料徴収禁止を命じました。
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外部決済システムへ手数料を課すことについてはEpic Gamesだけではなく、MetaやMicrosoft、X、Match Group、Spotifyといった大手企業も「『アプリ開発者が独自の決済システムにユーザーを誘導できるようにする』と義務づけた2021年の判決の文言にも精神にも合致しない」と、異議を唱える「アミカスブリーフ」資料を裁判所に提出していました。
このうち、Spotifyは「Appleは『2025年の裁判所命令で損害を受けるのは自社だけで、一般市民には何の利益もない』と主張していますが、これは間違いです」と主張しています。
Spotifyの内部データによると、裁判所命令に基づいてiOS版アプリをアップデートし、外部決済システム利用時の手数料を無料にしたところ、Android版では一定だった無料版からプレミアム版への移行率が、iOS版では大幅に増加したとのことです。
Spotifyは「このデータは、Appleが2025年の裁判所命令を受けて手数料の差し止めを行ったことによるユーザー移行数の増加であることを強く示しています」「Appleが法令を順守することが、新たな製品イノベーションをもたらしました」と説明しています。
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🧠 編集部の感想:
Epic対Apple訴訟の影響で、iOSアプリでの外部課金が手数料なしで可能になったのは大きな進展です。これによりSpotifyがプレミアムプランのユーザーを大幅に増加させたのは、企業同士の競争がユーザーにとっての利点を改善した好例です。新たな課金システムが普及すれば、他のアプリケーションにも同様の良い影響が期待できます。
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