🧠 概要:
概要
この記事では、ECサイトの売上を向上させるための戦略として「カスタマージャーニーマップ」の活用法について、EC専門マーケティングストラテジストの中平優太氏が解説しています。特に中小EC事業者向けに具体的な方法や施策を紹介し、顧客の視点で戦略を見直す重要性を強調しています。
要約
-
課題認識:
- SEOや広告、SNSに力を入れても売上が伸びないEC事業者が多い。
- 内部視点(自社都合)だけでなく、顧客視点を重視することが必要。
-
カスタマージャーニーマップとは:
- 顧客の購買プロセスを可視化し、行動、思考、感情を整理するツール。
- 5段階(認知・興味・検討・購入・使用・推奨)を基本に構成。
-
実用的活用法:
- ペルソナ設定が重要で、詳細な顧客像を明確にする。
- 顧客行動、タッチポイント、ペインポイントを特定。
-
施策設計への移行:
- 課題解決策と機会を特定し、優先順位付けを行う。
-
リソースが限られている中での施策:
- 自動化できる施策(レビュー機能、ポイントプログラムなど)を優先。
- 定期的な見直しや改善が重要。
-
カスタマージャーニーのカスタマイズ:
- 業界、商材によってフェーズを調整する必要がある。
-
成功事例:
- ハンドメイドECサイトでの製作コンテストの実施が成功事例として紹介され、顧客の参加を促す施策が有効であったことを示す。
- 結論:
- カスタマージャーニーマップを活用することで、顧客中心の戦略を実現できる。
- 絶え間ない改善と顧客ニーズへの適応を通じて持続的な成長を目指す。
こんにちは!EC専門マーケティングストラテジストの中平優太です。この記事は私が実際にEC運営で経験してきたことに基づいて執筆しました。ぜひ、読者の皆様のEC運営にもお役立てください!
「SEOも頑張ったし、広告も出しているのに売上が伸びない…」 「SNSもやっているけれど、なかなか成果に結びつかない…」 「リピーターが増えず、一度きりの購入で終わってしまう…」
このようなお悩みをお持ちのEC事業者の方は少なくありません。実は、これらの課題を解決するための鍵は「カスタマージャーニーマップ」にあります。顧客視点で戦略を組み立て直すことで、これまで効果の出なかった施策も大きく成果を上げることができるのです。
この記事では、ECサイトの売上を本当の意味で伸ばすための「カスタマージャーニーマップ」の活用法について、理論と実践の両面から解説していきます。特に、リソースの限られた中小EC事業者でも実行できる具体的な方法を中心に紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
1. 売上が伸び悩むECサイトに共通する根本的な問題
1-1. 場当たり的な施策実行と「戦術先行」の落とし穴
「SNSを活用すべき」「SEO対策が大事」「広告を出さないと売れない」…。 こうした言葉を聞いて、次々と新しい施策を導入しているEC事業者は多いのではないでしょうか。しかし、こうした「戦術先行」のアプローチには大きな落とし穴があります。
多くのEC運営者は「何をするか」という戦術から入りがちです。「最近Instagramが効果的だと聞いたから始めよう」「競合がTikTokをやっているから、うちも取り入れよう」という具合です。しかし、「なぜするのか」「誰に対して行うのか」「どのような効果を期待するのか」という戦略的視点がなければ、個別施策の効果は限定的になりがちです。
戦術(戦い方)の前に戦略(戦いの設計図)が必要なのは、ビジネスにおいても当然のことなのです。
1-2. 顧客視点の欠如がもたらす機会損失
EC運営者がよく陥りがちなもう一つの問題が、内部視点(自社の都合)で物事を考えてしまうことです。「この商品をもっと売りたい」「在庫を早く捌きたい」など、自社の都合が先行し、顧客が何を求めているのかという視点が欠けがちです。
しかし、売上を上げるために本当に必要なのは、顧客がどのように考え、行動するかを理解することです。顧客は何を探しているのか、どのような情報を求めているのか、購入を迷うポイントは何か、なぜリピート購入するのか(またはしないのか)を深く理解することで、初めて効果的な施策が打てるようになります。
顧客視点の欠如は、多くの販売機会の損失につながり、競合との差別化も難しくします。顧客を理解していない企業は、いつか必ず顧客から見放されてしまうでしょう。
1-3. 個別施策の効果が出ない本当の理由
「SEOを頑張ったのに集客が伸びない」「SNSのフォロワーは増えたのに売上に繋がらない」「広告をたくさん出しても投資回収できない」…。
このような悩みを抱えるEC運営者は少なくありません。しかし、個別施策が効果を発揮しない本当の理由は、顧客の購買体験全体を考慮せず、それぞれの施策をバラバラに実施しているからかもしれません。
たとえばSEOで上位表示を実現しても、ランディングページの内容が顧客のニーズに合っていなければ、すぐに離脱されてしまいます。SNSでフォロワーが増えても、ECサイトとの連携や購入への導線が弱ければ、売上には繋がりません。
顧客は断片的な接点ではなく、一連の体験として企業と関わります。この「顧客体験の旅路(カスタマージャーニー)」全体を俯瞰した統合的アプローチがなければ、個別施策の効果は限定的になってしまうのです。
2. 「戦略主導」で考えるカスタマージャーニーマップの基本
2-1. カスタマージャーニーマップとは何か
カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを認知してから購入、そして購入後まで、時系列で体験を可視化するツールです。顧客が「どのように行動し」「何を考え」「何を感じ」「どのような接点を持つか」を整理することで、効果的なマーケティング戦略を立案するための基盤となります。
カスタマージャーニーマップの主な構成要素は以下の通りです:
-
フェーズ(段階): 顧客の購買プロセスを時系列で区分したもの
-
顧客行動: 各フェーズで顧客が取る具体的な行動
-
顧客の思考・感情: その行動の背景にある考えや感じていること
-
タッチポイント: 顧客と企業の接点(Webサイト、SNS、広告など)
-
ペインポイント: 顧客が感じる不満や課題
-
機会: 企業側で改善できる可能性がある点
カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客体験の全体像を俯瞰でき、各段階での課題や機会を明確にすることができます。これにより、単なる「施策の羅列」ではなく、「顧客視点に立った一貫性のある戦略」を立案することが可能になります。
2-2. 標準的なカスタマージャーニーの5段階
一般的なカスタマージャーニーは、次の5つの段階に分けることができます:
-
認知(Awareness): 顧客が商品・サービスの存在を知る段階
-
興味・関心(Interest): 商品・サービスに対して関心を持ち始める段階
-
検討(Consideration): 購入を前提に詳しい情報を集める段階
-
購入(Purchase): 実際に購入を決定し、注文する段階
-
使用・推奨(Retention & Advocacy): 商品を使用し、満足すれば再購入や他者への推奨につながる段階
各段階での顧客の行動と心理は大きく異なります。例えば、認知段階では「自分の悩みや欲求に気づき始めた」顧客に対して情報提供が重要ですが、検討段階では「他社と比較検討している」顧客に対して自社の優位性をアピールすることが必要になります。
これらの段階ごとに、顧客が何を求め、どのような障壁があるかを理解することで、それぞれに最適なアプローチを設計することができます。
2-3. ECサイトにおけるカスタマージャーニーマップ活用の利点
ECサイトは実店舗と異なり、直接的な人的コミュニケーションが限られるという特徴があります。顧客はサイト上の情報だけで判断しなければならず、不安や疑問が解消されないまま離脱してしまうことも少なくありません。
このようなECサイト特有の課題解決においても、カスタマージャーニーマップは非常に有効です。なぜなら、以下のような利点があるからです:
-
顧客理解の深化: オンライン上での顧客行動を詳細に分析し、「なぜカートに商品を入れたのに購入しなかったのか」「どの情報が不足して離脱したのか」などの理解を深められる
-
一貫性のある体験設計: サイト設計、商品説明、決済プロセス、アフターフォローなど、異なる部門にまたがる施策を一貫した顧客体験として設計できる
-
リソースの効率的な配分: どの段階にリソースを集中させるべきかを明確にし、効果的な投資判断ができる
-
競合との差別化: 顧客視点で独自の価値を提供することで、価格競争に陥らない差別化戦略を構築できる
ECサイトでは、顧客の行動や思考を直接観察することが難しいからこそ、カスタマージャーニーマップを通じて顧客視点に立ち返ることが重要なのです。
3. カスタマージャーニーマップの作成方法と実践ステップ
3-1. 標準的なペルソナ設定の基本要素
カスタマージャーニーマップ作成の第一歩は、ターゲット顧客のペルソナ(架空の顧客像)を設定することです。ペルソナとは、実際の顧客データを基に作成した、具体的な個人像のことを指します。
標準的なペルソナ設定では、以下のような要素を定義します:
-
基本属性: 年齢、性別、職業、居住地、家族構成など
-
ライフスタイル: 趣味、関心事、価値観、日常生活のパターンなど
-
購買行動: 情報収集方法、意思決定プロセス、予算感覚など
-
目標と課題: 達成したいこと、抱えている悩みや問題点など
-
メディア接触: よく利用するメディア、SNS、情報源など
例えば、アパレルECの場合は以下のようなペルソナが考えられます:
【ペルソナ例:30代女性 佐藤さやかさん】• 33歳、既婚、子ども1人(3歳)• 都内在住、パート勤務(週3日)• 月の衣料品予算:2万円程度• InstagramとTikTokをよく利用• トレンドには敏感だが、コスパも重視• 時間がないため、じっくり店舗で見る余裕がない• 子育てとファッションを両立したいと考えている
このようにペルソナを具体的に設定することで、「この人ならどう行動するだろうか」と考えやすくなり、ジャーニーマップ作成の基盤となります。
3-2. カスタマージャーニーマップの作り方
次に、設定したペルソナを基に、カスタマージャーニーマップを作成していきます。一般的な作成ステップは以下の通りです:
1. フェーズ(段階)の設定
まずは、顧客の購買プロセスを時系列で区分します。標準的な「認知→興味・関心→検討→購入→使用・推奨」の5段階を基本としますが、必要に応じてカスタマイズすることも可能です。
2. 各フェーズでの顧客行動を整理
次に、各フェーズで顧客がどのような行動を取るかを具体的に書き出します。例えば:
-
認知段階: 「Google検索で『夏 ママ ファッション』と検索する」「SNSで夏コーデの投稿を見る」
-
興味・関心段階: 「ブランドのInstagramをチェックする」「口コミサイトで評判を調べる」
-
検討段階: 「ECサイトで商品詳細を確認する」「レビューを読む」「類似商品と比較する」
-
購入段階: 「カートに商品を入れる」「会員登録する」「クレジットカードで支払う」
-
使用・推奨段階: 「商品を着用する」「SNSに着用写真を投稿する」「友人に勧める」
3. 顧客の思考・感情を追加
続いて、各行動に対して顧客が何を考え、どう感じているかを追加します。例えば:
-
認知段階: 「子どもがいても着られるオシャレな服が欲しい」「でも時間がなくて買い物に行けない」
-
購入段階: 「この商品本当に自分に似合うかな?」「サイズ感が心配…」
4. タッチポイントとペインポイントの特定
顧客と企業の接点(タッチポイント)と、顧客が感じる不満や課題(ペインポイント)を追加します:
-
タッチポイント: 検索エンジン、SNS、ECサイト、メールマガジン、レビューなど
-
ペインポイント: 「商品画像だけでは素材感がわからない」「サイズ選びに迷う」「送料が高い」など
5. 可視化と共有
これらの要素を表やチャートなどで整理し、視覚的に表現します。Excel、PowerPoint、専用ツールなど、使いやすいもので構いません。完成したマップは、社内で共有し、共通認識を持つことが重要です。
3-3. ジャーニーマップから施策設計へのプロセス
カスタマージャーニーマップが完成したら、次はそれを基に具体的な施策を設計していきます。
1. 課題と機会の特定
まず、マップ上で顕著なペインポイント(課題)と、改善の余地がある部分(機会)を特定します。例えば:
-
課題: 検討段階でのサイズ感の不安が購入を妨げている
-
機会: SNSでのファッションコーディネート投稿が拡散につながる可能性がある
2. 施策のアイデア出し
特定した課題と機会に対して、改善や強化のためのアイデアを出します:
-
課題解決策: 詳細なサイズ表の提供、着用モデルの身長・体重表示、「よくある質問」の充実など
-
機会活用策: ハッシュタグキャンペーンの実施、ユーザー投稿の商品ページへの掲載など
3. 施策の優先順位付け
すべての施策を一度に実行することは困難なため、優先順位を付けることが重要です。優先度の判断基準としては:
-
インパクト: 売上や顧客満足度への影響度
-
実現容易性: 技術的・コスト的な実現のしやすさ
-
緊急性: すぐに対応すべき重要度
これらを総合的に考慮し、「高インパクト×実現容易」な施策から着手するのが基本です。
4. KPIの設定と効果測定の計画
最後に、各施策の効果を測定するためのKPI(重要業績評価指標)を設定します:
-
認知段階: サイト訪問数、新規ユーザー率など
-
興味・関心段階: 平均滞在時間、ページビュー数など
-
検討段階: 商品詳細ページの閲覧率、カート投入率など
-
購入段階: コンバージョン率、平均購入額など
-
使用・推奨段階: リピート率、LTV(顧客生涯価値)など
これらのKPIを定期的に測定し、施策の効果を検証・改善していくことで、PDCAサイクルを回していきます。
4. 業界・商材に合わせたカスタマージャーニーマップのカスタマイズ
4-1. 標準型ではなぜうまくいかないのか
前章で説明した標準的なカスタマージャーニーマップは、あくまでも基本形です。しかし、これをそのまま適用しても、必ずしも効果的とは限りません。なぜなら、業界や商材によって顧客の購買行動は大きく異なるためです。
例えば、高額な家電製品と日用消耗品では、検討期間や情報収集の深さが全く異なります。また、BtoB商材とBtoC商材では、意思決定者が複数いるかどうかという点で大きな違いがあります。
同様に、詳細すぎるペルソナ設定も現実離れした施策設計につながりがちです。例えば「33歳・既婚・子ども1人・都内在住・パート勤務」という属性が、実際の購買行動にどれだけ影響するでしょうか?むしろ、「時間がない」「子育てとファッションを両立したい」といった、より本質的な特性に焦点を当てた方が効果的かもしれません。
標準型をそのまま使うのではなく、自社の業界・商材・顧客特性に合わせたカスタマイズが、効果的なカスタマージャーニーマップ活用の鍵となります。
4-2. 実用的なペルソナ設定と効果的なカスタマイズ
効果的なペルソナは、業界や商材に関連する特性に絞り、実際の顧客データを基に作成すべきです。すべての属性を詳細に設定するのではなく、購買行動に影響を与える要素に集中しましょう。
例えば、アパレルECであれば「体型の悩み」「ファッションの好み」「購入頻度」などが重要かもしれませんし、健康食品ECであれば「健康上の課題」「ライフスタイル」「情報源の信頼性」などが重要かもしれません。
同様に、カスタマージャーニーマップも業界特性や商材の購買サイクル、顧客層の特徴に応じてカスタマイズすることが不可欠です。標準的な5段階をベースにしつつも、必要に応じてフェーズの追加・分離・詳細化を行いましょう。
4-3. フェーズの追加・分離・削除の判断基準
業界や商材の特性に応じて、カスタマージャーニーのフェーズをカスタマイズする際の判断基準を紹介します。
1. 業界認知度による調整
業界自体の認知度が低い場合(例:新技術、ニッチ市場など)、「興味・関心」フェーズを「業界認知」と「商品認知」に分離すると効果的です。まずは業界自体を認知してもらい、その上で自社商品の認知につなげる戦略が必要になります。
2. 商品特性による調整
-
リピート購入頻度: 定期的に購入する商品(化粧品、サプリメントなど)は「リピート購入」を独立フェーズとして強化
-
単発購入商品: 家電や家具など一度購入したら長期間買い替えない商品は、「使用・保守」フェーズを重視
-
ギフト商品: 自分用ではなく贈答用の商品は「贈り手」と「受け手」の二つの視点でジャーニーを設計
3. 購入サイクルの長さによる調整
高額商品や検討期間の長い商品(住宅、高級時計など)は、「検討」フェーズをさらに細分化することも有効です。例えば「情報収集」→「比較検討」→「最終確認」のような形です。
4. BtoBとBtoCの違いによる調整
BtoB商材では、「承認プロセス」や「社内調整」などのフェーズが重要になります。また、「使用者」と「決裁者」が異なることも多いため、複数のペルソナを設定したマルチペルソナジャーニーマップが効果的です。
5. 販売チャネルによる調整
オムニチャネル展開をしている場合は、「オンライン検討」と「店舗確認」といった、チャネルをまたいだ行動を考慮したフェーズ設計が必要です。
これらの基準を参考に、自社の状況に最適なカスタマージャーニーマップをデザインしてください。型にとらわれすぎず、「顧客がどのように商品と出会い、購入し、使い続けるか」という本質を捉えることが重要です。
5. リソース制約下でも効果を出すための実践アプローチ
5-1. 「設定してしまえばほっといても効果を得られる施策」の優先
多くのEC事業者、特に中小規模の事業者は、人的・資金的リソースに限りがあります。理想的なカスタマージャーニーマップに基づく全施策を一度に実行することは、現実的ではないでしょう。
そこで重要になるのが、「設定さえすれば継続的に効果を発揮する」施策を優先することです。これらの施策は、初期投資は必要ですが、その後のメンテナンスコストが低く、長期的に効果を得られるという特徴があります。
具体的には以下のような施策が挙げられます:
-
レビュー機能: 一度実装すれば、顧客が自発的にコンテンツを生成し続ける
-
ポイントプログラム: 仕組みさえ作れば、自動的にリピート促進につながる
-
自動メール配信: 特定のトリガー(購入完了、カゴ落ち等)に対して自動的にメールを送信
-
FAQ・商品説明の充実: 一度作成すれば、繰り返し顧客の疑問解消に貢献する
-
クロスセル・アップセルの仕組み化: 「よく一緒に購入されている商品」などの表示
これらの施策は、一度設定すれば「ほったらかし」でも効果を発揮するため、リソースの限られた環境では特に有効です。
5-2. レビュー施策とポイントプログラムの効果的な実装
前述の「設定してしまえばほっといても効果を得られる施策」の中でも、特に効果的なのがレビュー施策とポイントプログラムです。これらを組み合わせることで、新規顧客の購入を後押しし、同時にリピート購入も促進できます。
レビュー施策の効果的な実装ポイント
-
レビュー投稿のハードルを下げる
-
星評価だけの簡易レビューも可能にする
-
写真付きレビューはポイント還元を増やすなどのインセンティブを設ける
-
-
信頼性の向上
-
「購入済み」マークを表示
-
投稿者の属性(年齢層、使用期間など)を表示
-
-
レビュー活用の最大化
-
高評価レビューをトップページやSNSで活用
-
検索エンジンに認識されやすいようマークアップを最適化
-
ポイントプログラムの効果的な実装ポイント
-
シンプルで分かりやすい設計
-
「100円=1ポイント」など、計算が容易な付与率
-
ポイントの使い方・価値を明確に説明
-
-
戦略的なポイント付与
-
初回購入には通常より多めのポイント
-
レビュー投稿、会員登録などの行動にもポイント付与
-
誕生月や会員記念日などにボーナスポイント
-
-
期間限定ポイントの活用
-
使用期限を設けることで、再来店を促進
-
「あと○日でポイント失効」などの通知でアクションを促す
-
レビュー施策とポイントプログラムを連携させると、さらに効果的です。例えば「レビュー投稿でポイント進呈→そのポイントで次回購入→さらにレビュー投稿」というポジティブなサイクルを作ることができます。
5-3. 段階的な導入と優先順位の決め方
全施策を一度に実装するのではなく、段階的に導入することが現実的なアプローチです。優先順位を決める際の基準として、以下の3つの軸を考慮しましょう:
-
効果の大きさ(インパクト)
-
売上への直接的な影響
-
顧客満足度への貢献度
-
競合との差別化効果
-
-
実装の容易さ
-
技術的な難易度
-
必要な投資コスト
-
社内リソースの確保のしやすさ
-
-
維持コスト
-
運用に必要な継続的な労力
-
更新・メンテナンスの頻度
-
長期的な投資対効果
-
これらを総合的に評価し、「効果が大きく、実装が容易で、維持コストが低い」施策から優先的に取り組むのが基本です。例えば、以下のような優先順位付けが考えられます:
第1段階(最優先): 「設定してしまえばほっといても効果を得られる施策」
-
レビュー機能の実装
-
簡易的なポイントプログラムの導入
-
商品説明・FAQの充実
第2段階: カスタマージャーニーの主要ポイントを強化する施策
-
検索機能の改善
-
商品画像・情報の充実
-
購入プロセスの最適化
第3段階: より高度なマーケティング施策
-
パーソナライズド・レコメンデーション
-
メールマーケティングの高度化
-
ロイヤルティプログラムの拡充
このように段階的に実装することで、少ないリソースでも着実に効果を積み上げていくことができます。重要なのは、各段階での効果を測定し、次の優先順位付けに活かすことです。
6. カスタマージャーニーマップ活用の成功事例
6-1. 製作コンテストによるUGC活用事例
私のクライアントである手芸・ハンドメイド系の資材・機材を取り扱うECサイトでは、カスタマージャーニーマップを活用して「製作コンテスト」を企画し、大きな成果を上げました。
背景と課題
このECサイトは、手芸資材や工具などを販売していましたが、以下のような課題を抱えていました:
-
新規顧客の獲得コストが高い
-
一度購入しても再購入につながりにくい
-
商品の魅力や使い方が伝わりにくい
カスタマージャーニーマップを作成・分析した結果、「購入後の作品作りの成功体験」が鍵であることが判明しました。顧客は単に材料を買うのではなく、「素敵な作品を作りたい」という目標を持っていたのです。
施策の内容
これを踏まえ、Instagramを活用した「季節の製作コンテスト」を企画しました:
-
コンテストの設計
-
年に2回(春夏/秋冬)定期開催
-
自社商品を使った作品をInstagramに特定ハッシュタグとアカウントタグ付きで投稿
-
優秀作品には賞品として自社商品をプレゼント
-
-
カスタマージャーニーに合わせた周知
-
認知段階: SNS広告、メルマガでの告知
-
検討段階: 商品ページにコンテスト情報を掲載
-
購入段階: 注文確認メールにコンテスト案内を記載
-
使用段階: 同梱チラシとフォローアップメールでコンテスト参加を促進
-
-
UGCの活用
-
投稿された作品を公式アカウントでリポスト
-
優秀作品をサイト内のギャラリーページで紹介
-
商品ページにも実際の作品例として掲載
-
成果
この施策により、以下のような成果が得られました:
-
コンテスト期間中の売上が前年同期比約150%に増加
-
コンテスト参加者のリピート率が非参加者の約3倍に
-
Instagram投稿による新規顧客流入が約40%増加
-
顧客満足度の向上と自社商品への愛着形成
この事例の成功ポイントは、カスタマージャーニーマップを通じて「購入後の体験」の重要性に気づき、そこを強化する施策を打ったことです。また、一度の取り組みで終わらせず、定期的なイベントとして定着させることで、継続的な効果を生み出している点も重要です。
7. まとめ:カスタマージャーニーマップで実現する顧客中心のEC戦略
ここまで、ECサイトの売上向上のためのカスタマージャーニーマップの活用方法について詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめておきましょう。
カスタマージャーニーマップ活用の価値
カスタマージャーニーマップは、場当たり的な施策実行から脱却し、顧客視点で戦略を立て直すための強力なツールです。その主な価値は以下の通りです:
-
顧客理解の深化: 顧客の行動・思考・感情を体系的に理解できる
-
一貫性のある戦略: 断片的な施策ではなく、顧客体験全体をデザインできる
-
リソースの最適配分: 限られたリソースを最も効果的なポイントに集中できる
-
競合との差別化: 商品やサービスだけでなく、顧客体験で差別化できる
実践的なアプローチのポイ��ト
特に中小規模のEC事業者が実践する際のポイントとして以下が挙げられます:
-
柔軟なカスタマイズ: 標準型にとらわれず、業界・商材に合わせたカスタマイズを
-
実用的なペルソナ: 詳細すぎるペルソナよりも、購買行動に影響する要素に集中
-
段階的な実装: 全施策の一斉実行にこだわらず、優先度の高いものから順に
-
自動化施策の優先: 「設定してしまえばほっといても効果を得られる施策」を優先
-
定期的な見直し: 市場環境や顧客ニーズの変化に合わせて定期的に更新
これからのEC戦略に向けて
ECサイトの競争はますます激化しています。価格だけの競争では利益率の低下を招き、持続的な成長は難しくなるでしょう。これからのEC事業者に求められるのは、顧客にとっての価値を最大化する「顧客中心」の戦略です。
カスタマージャーニーマップは、その実現のための優れたツールとなります。小さな一歩から始めて、顧客視点の戦略づくりに取り組んでみてください。
また、自社だけでカスタマージャーニーマップを設計するのが難しいと感じる場合は、専門家に相談することも選択肢の一つです。適切な分析と戦略設計により、限られたリソースでも大きな成果を上げることが可能です。
最後に、カスタマージャーニーマップは一度作って終わりではありません。顧客の声に耳を傾け、データを分析し、常に改善を続けることが、ECサイトの持続的な成長につながります。顧客とともに成長するECサイトを目指して、ぜひカスタマージャーニーマップの活用に取り組んでみてください。
カスタマージャーニーマップの作成や活用方法についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひお問い合わせください。あなたのECサイトに合わせた戦略策定のお手伝いをいたします。
Views: 0