



リコールされたAnkerのモバイルバッテリーの問題をCTスキャンで調査
(ニュース記事公開日:2025-07-22 12:00:00)
モバイルバッテリーメーカーのAnkerは、2016年から2022年に販売された「PowerCore 10000」(モデル:A1263)をアメリカで自主回収することを2025年6月に発表しました。このリコールに至った理由を非破壊検査装置を開発している企業lumafieldがCTスキャンを用いて調査しました。
調査結果の概要
CTスキャンの結果、PowerCore 10000には18650リチウムイオンバッテリーセルが3つ内蔵されており、調査対象となった5台のバッテリーのうち、少なくとも2つの異なるサプライヤーからのセルが使用されていることが確認されました。その中の1台には、他の4台とは異なる核心的な構造があったことも判明しました。
具体的には、その1台には「マンドレル」と呼ばれる補強材が使われており、中心部の凹みを防ぐ設計が施されていました。このような特徴は、他の製品には見られませんでした。また、問題のバッテリーには大きなガス抜き穴が3つあり、他の4台には小さなガス抜き穴が4つあったという違いも発見されました。
製造過程の問題
lumafieldの調査によれば、リコール対象とは異なる2台の製品は、PCB(プリント基板)とバッテリーセルの接続に異なる設計を採用していました。リコール対象の3台は直接バスバーを接続しており、この接続部に製造上のばらつきが存在することも確認されました。
特に、リコール対象の3台では、正極と負極のバスバー間の距離が短く、これがショートを引き起こす可能性があることも指摘されています。アノードとカソードの距離が近いとデンドライトが形成され、性能低下や最悪の場合熱暴走を引き起こす懸念があるため、製造工場における厳密な品質管理の重要性が強調されています。
まとめ
今回の調査から、リコールの原因はバッテリーセルそのものではなく、製造プロセスや品質管理に起因する可能性が強いことが示唆されました。lumafieldは、複雑なサプライチェーンが大規模なリコールを引き起こす要因となることを警鐘し、品質の確保が不可欠であると述べています。消費者向け製品の大量生産においては、各段階での品質問題の追跡が非常に難しいため、今後の改善が期待されます。
🧠 編集部より:
リコールされたAnkerのモバイルバッテリーに関する調査結果
Ankerは、2016年から2022年にかけて販売されたモバイルバッテリー「PowerCore 10000」(モデル:A1263)をリコールし、非破壊検査を行った結果が報告されました。この調査は、バッテリー内の問題をCTスキャンで明らかにすることを目的としています。
主な問題点
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異なる供給元のバッテリーセル
調査では、5台のモバイルバッテリーには異なる供給元の18650リチウムイオンバッテリーセルが使用されていました。この内、3台がリコール対象で、他の4台とは異なる特徴が見つかりました。 -
構造上の相違点
リコール対象とされた1台のバッテリーは、凹みを防ぐための補強材(マンドレル)が使われ、正極側には大きなガス抜き穴がありました。対して、その他のバッテリーには小さなガス抜き穴が4つ存在していました。 -
基盤間の接続方式
リコール対象のバッテリーとそうでないものとの違いとして、基板とバッテリーセルの接続において、リコール対象のバッテリーはPCBにバスバーを直接接続しており、これが製造上の不具合を引き起こす可能性がありました。 -
デンドライトのリスク
負極と正極の距離が近いことで、デンドライトが形成され、最悪の場合熱暴走を引き起こすリスクが指摘されています。
背景と豆知識
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リチウムイオンバッテリーの仕組み
リチウムイオンバッテリーは、充電時にリチウムイオンがアノード(負極)からカソード(正極)に移動し、放電時にはその逆の動きをします。このプロセスが正常に機能しないと、性能低下やショートの原因となります。 -
CTスキャンの利用
最近では、製品の検査にCTスキャン技術が用いられることが増えており、特に内部構造の可視化が可能なため、細かな欠陥を早期に発見することができます。
関連リンク
Ankerのリコールは消費者の安全を守るための重要なステップですが、複雑な製造プロセスとサプライチェーンにおける品質管理の難しさも浮き彫りとなっています。
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キーワード: リコール
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