はじめに
以前の記事「Claude Codeで効率的に開発するための知見管理」では、プロジェクト単位でのClaude Code知見管理について紹介しました。
しかし、プロジェクト個別の管理では解決できない課題があると考えられます。
主な課題:
- プロジェクト間での知見共有が困難
- 類似パターンの再発見に時間がかかる
- チーム全体の技術ナレッジの蓄積が散在
これらの課題を解決するため、Claude Codeの知見をObsidianに自動同期し、その情報を横断的に管理するツール「Claude Knowledge Catalyst (CKC)」を開発しました。
CKC(Claude Knowledge Catalyst)とは
CKCは、Claude Code(.claude
ディレクトリ)の知見を自動的にObsidianなどの外部ツールに同期するPythonパッケージです。
開発背景とコンセプト
なぜObsidianなのか?
- Markdown互換性: Claude Codeとの親和性が高い
- 柔軟な情報整理: タグ、リンク、グラフビューによる多角的な知見管理
- 検索機能: 横断的な情報検索とパターン発見
- 拡張性: プラグインエコシステムによる機能拡張
CKC の主な特徴
- 自動同期: ファイル変更を監視し、リアルタイムで同期
- メタデータ拡張: プロジェクト情報、技術スタック、難易度などを自動抽出
- タグベース整理: 内容に基づいた適切なタグ付け
- テンプレート機能: 統一されたフォーマットでの知見管理
3分で始める CKC クイックスタート
Step 1: インストールと初期設定(1分)
uv pip install claude-knowledge-catalyst
uv run ckc add obsidian --vault-path "/path/to/your/obsidian/vault"
これで基本設定は完了です。uv run ckc add
コマンドが自動的にckc_config.yaml
を生成・更新します。
Step 2: 実際に体験してみる(2分)
① CKCを起動
② Claude Codeで簡単な知見を作成
任意のプロジェクトの.claude/
ディレクトリに以下のファイルを作成:
.claude/python-tips.md
# Python効率化のコツ
## 概要
リスト内包表記の活用法について
## 実装例
```python
result = []
for item in data:
if condition(item):
result.append(transform(item))
result = [transform(item) for item in data if condition(item)]
```
## 注意点
- 可読性を重視し、複雑すぎる場合は従来の書き方を選択
③ Obsidianで確認
- Obsidianを開く
-
claude-insights
フォルダを確認 - 自動生成されたメタデータ付きのファイルを確認
参考:筆者環境でのObsidian画面例
実際のCKC運用環境での画面例。メタデータの自動生成やタグ付けの様子を確認できます。
④ 手動で同期したい場合(オプション)
uv run ckc watch
による自動監視ではなく、必要に応じて手動で同期することも可能です:
uv run ckc sync
uv run ckc sync --project /path/to/project
体験できること
- 自動同期: ファイル保存と同時にObsidianに反映
- メタデータ拡張: タグ、技術スタック、複雑度などの自動付与
- 情報の整理: プロジェクト横断での検索・参照
主要機能の詳細
1. 自動同期機能
CKCを起動すると、.claude
ディレクトリの変更を監視し、自動的にObsidianに同期されます。
2. メタデータ拡張機能の実例
先ほどのスクリーンショットからわかるように、CKCは単純なMarkdownファイルにメタデータを自動付与します:
プロパティ:
-
domain
: 対象領域(ai-ml、automation、data-science等) -
projects
: 関連プロジェクト名 -
tech
: 使用技術スタック(python、pydantic、git等) -
complexity
: 複雑度レベル(advanced、medium等) -
confidence
: 信頼度評価
タグ付け:
-
architecture
: アーキテクチャ関連 -
best-practices
: ベストプラクティス -
design-patterns
: デザインパターン -
project-knowledge
: プロジェクト固有知見
3. 高度な設定例
より詳細な設定はコマンドラインから簡単に追加できます:
uv run ckc config set sync.obsidian.organize_by_tags true
uv run ckc config set metadata.ai_classification true
uv run ckc config set watcher.debounce_seconds 2
uv run ckc config set watcher.ignore_patterns '["*.tmp", "*.bak"]'
uv run ckc config show
直接ckc_config.yaml
を編集することも可能です:
ckc_config.yaml
sync:
obsidian:
vault_path: "/path/to/obsidian/vault"
organize_by_tags: true
target_folder: "claude-insights"
metadata:
auto_enhance: true
extract_tech_stack: true
ai_classification: true
実際の運用例
複数プロジェクト間での知見共有
Before: プロジェクトAで解決した問題を、プロジェクトBで再度調査
After: Obsidianの検索とタグ機能で類似パターンを即座に発見
# Obsidianでの検索例
tag:#python tag:#error-handling
チーム知見の可視化
Obsidianのグラフビュー機能により、チーム全体の技術知見の関連性を可視化できます。特定の技術領域での知見の集積度や、プロジェクト間の技術的関連性が一目で把握できます。
注意点と今後の課題
運用上の制約
- 初期設定: Obsidianの設定とCKCの設定調整が必要
- ファイル形式: 複雑なMarkdown記法は一部制限あり
- 同期タイミング: 大量のファイル変更時に遅延の可能性
改善の余地
- AIによるより高精度なメタデータ抽出
- 他のナレッジマネジメントツールとの連携
- チーム利用時の権限管理機能
まとめ
CKCを導入することで、Claude Codeでの開発知見を単一プロジェクトの枠を超えて活用できると期待しています。特に以下の効果を目指しています:
- 知見の再利用性向上: 過去の解決策への迅速なアクセス
- 学習効率の改善: 関連技術の体系的な理解
- チーム知識の蓄積: 個人の知見をチーム資産として活用
まだ実験的な段階で本格的な運用はこれからですが、Claude Codeとナレッジマネジメントツールの連携は、開発効率向上の有力な手段になると考えています。
同様の課題を感じている方は、ぜひ一緒に試行錯誤してみてください。
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