Claude Codeは強力なAI開発支援ツールですが、Claudeのプロプランにはレート制限があるため、トークン使用量を意識した効率的な使い方をすることで、レート制限に達する頻度を下げ、より快適な開発体験が得られます。
本記事では、実際の開発で使える具体的な削減の考え方をまとめました。
1. コード生成の最適化
具体的な指示を出す
曖昧な要求は Claude Code との長いやり取りを生み、大量のトークンを消費します。
❌ 悪い例: "ログイン機能を作って"
✅ 良い例: "FastAPIでJWT認証を使ったログイン機能を実装して、
- Pydanticでリクエスト/レスポンスモデル定義
- bcryptでパスワードハッシュ化
- 入力バリデーション(email形式、パスワード8文字以上)
- HTTPExceptionでエラーハンドリング(401, 422ステータス)を含めて"
段階的な開発
大きな機能を一度に作るのではなく、小さな単位に分割して順番に実装を依頼します。
Phase 1: ユーザーモデルの定義(SQLAlchemy)
Phase 2: Pydanticスキーマの作成
Phase 3: JWT トークン生成/検証ユーティリティ
Phase 4: 認証エンドポイントの実装
Phase 5: 認証デコレータの作成
2. コンテキスト管理の最適化
必要最小限のファイル共有
Claude Code に渡すファイルは、関連するもののみに絞り込みます。
❌ プロジェクト全体を対象に含める
✅ 修正対象のファイルと直接的な依存関係のみ
repomixツールの活用
プロジェクト全体の構造を効率的に共有したい場合、 repomix を使用してXML形式でコードベースを整理することが有効です。
npx repomix --style xml --compress --remove-comments --remove-empty-lines
repomixを使用することで:
- プロジェクト構造の明確な可視化
- 不要なコメントや空行の除去によるトークン削減
- XML形式でのClaude最適化された出力
ただし、大規模プロジェクトではファイルサイズが大きくなるため、必要な部分のみを抽出して使用することを推奨します。
部分的更新の活用
ファイル全体を再生成するのではなく、変更が必要な部分のみの修正を依頼します。
"models/user.py の User クラスに email_verified フィールドを追加し、
対応するPydanticスキーマも schemas/user.py で更新してください"
3. 事前設計によるトークン節約
最も効果的な戦略の一つが、Claude Code で実装する前に通常の Claude との対話で設計を固めることです。
Claude Code の限界を理解する
Claude Code は優秀な開発支援ツールですが、以下のような課題があります(2025年6月時点):
- 難しいタスクでのループ: 複雑な問題に対して同じアプローチを繰り返し、解決に至らない
- 遠回りな解決方法: 最適ではない実装を試み続ける
- 設計レベルの議論が困難: アーキテクチャや技術選定の深い議論には向かない場合がある
- レート制限の制約: プロプランではトークン使用量に制限があるため、無駄な試行錯誤は避けたい
効果的な役割分担
【通常のClaude】設計相談・アーキテクチャ検討・問題解決戦略
↓
【Claude Code】明確な指示による一発実装
場合によっては、ChatGPTやGeminiなど他のAIサービスを併用することで、レート制限を分散させつつ多角的な視点を得ることも有効です。
Claude Code で得た知見の活用
Claude Code で問題にぶつかった際は、そのログを通常の Claude に相談することも有効です:
Claude Code で以下の問題が発生しています:
[エラーログやスタックトレース]
[試行した解決方法]
より効率的な解決アプローチを提案してください。
その後、Claude Code に明確な指示を出したいと思います。
この双方向のアプローチにより、Claude Code での無駄な試行錯誤を大幅に削減できる場合があります。
5. 効率的なコミュニケーション
関連タスクのまとめ
小さな修正を個別に依頼するのではなく、関連するものは一度にまとめます。
以下の3つの修正を一度に実行してください:
1. models/user.py にcreated_at, updated_atフィールド追加
2. schemas/user.py の対応するPydanticモデル更新
3. alembicマイグレーションファイルの生成
エラー対応の効率化
エラーが発生した場合は、エラーメッセージと関連コードを同時に提示して一回で解決できるようにします。
以下のPydanticValidationErrorが発生しています:
ValidationError: email field required
関連するコード:
[schemas/user.py の該当部分]
期待する動作:
emailフィールドが必須でない場合のオプショナル設定
6. 実践的なワークフロー
推奨開発フロー
具体例: FastAPIでのユーザー管理機能の開発
Step 1: 設計相談(通常のClaude)
- 要件の整理
- SQLAlchemyモデル設計
- Pydanticスキーマ設計
- FastAPI エンドポイント設計
- エラーハンドリング方針(HTTPException)
Step 2: 実装(Claude Code)
明確な指示で一発実装:
以下の仕様でFastAPIユーザー管理機能を実装してください:
[SQLAlchemyモデル定義]
[Pydanticスキーマ定義]
[FastAPI エンドポイント仕様]
[JWT認証の実装詳細]
[pytestテストケース]
Step 3: 問題発生時の対処(必要に応じて)
Claude Code で解決困難な問題が発生した場合:
通常のClaudeへ相談:
「Claude Code で以下のSQLAlchemyエラーが発生し、
複数のアプローチを試しましたが解決しません。
[エラー詳細とログ]
効率的な解決戦略を教えてください」
↓ 解決策を得た後
Claude Code へ明確な修正指示:
「以下の手順でSQLAlchemyの設定を修正してください」
5. Python特有の最適化テクニック
型ヒントの活用
Python の型ヒントを明確に指定することで、Claude Code がより正確なコードを生成できます。
from typing import Optional, List
from pydantic import BaseModel
def get_users(
skip: int = 0,
limit: int = 100,
search: Optional[str] = None
) -> List[UserResponse]:
pyproject.toml と依存関係の明確化
使用するライブラリとバージョンを事前に明確にします。
以下の依存関係でプロジェクトを構築してください:
[tool.poetry.dependencies]
python = "^3.11"
fastapi = "^0.104.1"
sqlalchemy = "^2.0.23"
pydantic = "^2.5.0"
python-jose = {extras = ["cryptography"], version = "^3.3.0"}
passlib = {extras = ["bcrypt"], version = "^1.7.4"}
pytest テストの同時生成
実装と同時にテストコードの生成を依頼することで、効率的な開発が可能です。
以下の関数を実装し、対応するpytestテストも同時に生成してください:
- 正常系テスト
- 異常系テスト(バリデーションエラー)
- モックを使った外部依存のテスト
Claude Code のトークン削減で最も重要なのは「明確で具体的な指示」です。特に以下の戦略が効果的です:
- 事前設計: 通常の Claude で設計を固めてから Claude Code で実装
- 段階的開発: 大きな機能を小さな単位に分割
- 具体的指示: 曖昧な要求を避け、詳細な仕様を提供
- 効率的なコンテキスト管理: 必要最小限のファイルのみを対象に含める
これらの戦略を組み合わせることで、開発効率を維持しながらトークン使用量を大幅に削減できます。
7. 構造化された知見管理システムの活用
最も効果的なトークン削減戦略の一つが、プロジェクトの知見を体系的に管理することです。同じ説明を繰り返すことによるトークン浪費を根本的に解決できます。
基本的なアプローチ
project-root/
├── CLAUDE.md # Claude Codeのメイン設定
└── .claude/
├── context.md # プロジェクトの背景・制約
├── project-knowledge.md # 技術的知見・パターン
├── common-patterns.md # 頻用コマンドパターン
└── debug-log.md # 重要なデバッグ記録
Python特化の活用例
効率的なプロンプト例
.claude/context.md の技術スタック(FastAPI + SQLAlchemy + Pydantic)と制約条件を考慮し、
.claude/project-knowledge.md の実装パターンに従って、
User管理APIを実装してください。
プロジェクト固有の制約や技術選定理由、過去の決定事項を毎回説明する必要がなくなり、劇的なトークン削減効果が期待できます。
詳細な実装方法や運用のポイントについては、以下の記事で詳しく解説されています:
Claude Codeで効率的に開発するための知見管理
注意事項
本記事は、実際のClaude Code運用経験に基づく知見を、Claude(Anthropic)との対話を通じて体系化・文章化したものです。
作成プロセス:
- 基本的なアイデアと実践経験:人間(筆者)
- 体系化と文章構成:Claude との協働
- 最終的な内容の検証と責任:人間(筆者)
記事の内容については筆者が責任を持ちますが、AIを活用した執筆プロセスであることを透明性のために明記いたします。
利用にあたって:
本記事の内容は実際のプロジェクトでの運用経験に基づいていますが、プロジェクトの特性や要件に応じて適宜カスタマイズしてご利用ください。
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