金曜日, 5月 16, 2025
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ChatGPTでの業務改善に失敗する前に読むうめもと

🧠 概要:

概要

この記事では、生成AI(特にChatGPT)の活用による業務改善の成功ポイントや注意点が述べられています。著者は自身のプロジェクト経験を基に、組織全体での効果的な導入方法やチームの協力を得るためのアプローチを示しています。業務改善の一環として生成AIをどのように活用すべきか、また実際の事例を交えながら、過度な期待を避けながら取り組むことの重要性を強調しています。

要約(箇条書き)

  • 関心の高まり: 生成AIによる業務改善に対する関心が高まっているが、全体としての成果は期待ほどではない。

  • プロジェクト経験の共有: 著者の複数のプロジェクト経験から得た知見を元に、業務改善のためのポイントをまとめている。

  • 成功事例:

    1. 採用活動における改善:

      • 自動生成されたパーソナルなスカウト文面が返信率を5倍(4%→20%)に向上。
      • 作成時間を月20時間から2時間に短縮。
    2. 人材営業における効率化:
      • 提案メール作成の時間が10分から3分に短縮。
      • 統一された品質での定型作業の自動化が実現。
  • プロジェクト開始時の注意点:

    • 早期の成果体験を重視。
    • 過度な期待を避け、生成AIの適切な適用範囲を明確にすること。
  • 業務フローの可視化とボトルネック特定: 現状の業務を把握し、改善のインパクトを試算する重要性。

  • 迅速な成果の実現: 短期間でプロトタイプを作成し、フィードバックを得ながら改善していくアプローチを推奨。

  • 役割分担の明確化: AIに任せる業務と人が担うべき業務を区別し、効率的に活用する。

  • 業務標準化とプロンプト共通化: チーム全体で共通のプロンプトを使用することが業務の品質向上に貢献。

  • 環境整備の重要性: Google Apps Scriptやローコード/ノーコードツールの活用により迅速な導入を図る。

  • 導入後の定着: 利用者を巻き込んだ体験機会の提供や「アンバサダー」の活用、利用実態の把握と改善が鍵。

  • 過度な期待への警鐘: 生成AIは万能ではなく、適切な場面で適切に利用することが大切。

  • 将来のAIエージェントに向けた準備: 現在の可視化や改善作業が将来のAIエージェントの導入基盤となることが重要。

ChatGPTでの業務改善に失敗する前に読むnoteうめもと

ChatGPTをはじめとする生成AIの登場により、多くの方が業務改善への活用に関心をお持ちのことと思います。 しかし、個人レベルでの活用は進んでも、チームや組織全体での業務改善となると、期待したほどの成果が得られていないケースも少なくないのではないでしょうか?

本稿では、私自身が直近で携わった複数の生成AI活用プロジェクトの経験をもとに、業務改善を進める上でのポイントや注意点を備忘録としてまとめました。 基本的な内容も含まれますが、実践に基づいた観点から整理していますので、これから取り組む方、すでに取り組んでいるが課題を感じている方のご参考になれば幸いです。

実際のプロジェクトにおける成果事例

1.採用活動におけるスカウト業務の改善

  • 課題: 候補者ごとに最適化されたスカウト文面の作成に時間がかかり、返信率がスカウトをする人事担当ごとにばらつきがある

  • 施策: 生成AIを活用し、候補者の経歴やスキルに合わせてパーソナライズされたスカウト文面を自動生成

  • 成果: スカウトメールの返信率が従来の5倍(4%→20%)に向上。スカウト文面作成にかかる時間は月20時間から2時間に大幅短縮。創出された時間で、採用戦略の策定や候補者選定といった、より付加価値の高い業務に注力可能に。

2.人材営業における提案業務の効率化

  • 課題: クライアント企業への候補者提案メール作成に時間がかかり、担当者による品質のばらつきもある。

  • 施策: 候補者情報を基に、生成AIが提案メールのドラフトを作成。

  • 成果: メール作成時間が1件あたり10分から3分に短縮。定型的な作業を自動化することで、一定品質の提案メールを安定して作成できるようになり、新人営業メンバーのオンボーディング期間短縮にも貢献。

プロジェクト開始時に意識すべきこと

生成AIを活用した業務改善プロジェクトを成功させるために、開始段階で以下の点を意識することが重要です。

  • 早期に効果を実感してもらう: 小さくても良いので、早い段階で「生成AIは業務改善に役立つ」という成功体験を関係者に持ってもらうことが、プロジェクト推進の熱量を維持する鍵となります。

  • 生成AIへの過度な期待を避ける: 生成AIは万能ではありません。「この課題は生成AIよりもExcelなど既存ツールの方が適している」といった判断も必要です。適切な適用範囲を見極める意識を共有します。

  • ハイパフォーマーの業務を参考にする: 特に社内業務の改善においては、現在高い成果を上げている人材(ハイパフォーマー)の思考プロセスや行動を分析し、それを生成AIで再現できないか検討することが有効なアプローチです。

生成AI活用は「魔法」ではなく、地道な「業務改善」の一環

「生成AIを使った業務改善」と聞くと、まるで魔法の杖のようにあらゆる問題が解決するイメージを持たれがちですが、現実は異なります。生成AIは強力なツールですが、その活用はあくまで通常の業務改善プロセスの一部であり、地道な取り組みが必要です。

1. 業務フローの可視化

まず、対象となる業務の現状を正確に把握する必要があります。

  • 作業の洗い出し: 関連する作業をできるだけ細かくリストアップします。

  • 頻度と時間の把握: 各作業がどのくらいの頻度で発生し、どのくらいの時間がかかっているかを記録します。

2. ボトルネックの特定

洗い出した業務フローの中で、目標達成の妨げとなっている箇所(ボトルネック)はどこかを特定します。ここを見誤ると、部分的な効率化は達成できても、全体としての成果に繋がらない可能性があります。

3. 改善インパクトの試算

特定したボトルネックを解消した場合に、どの程度の効果が見込めるかを事前に試算しましょう。 例えば、「営業メール作成時間が1通あたり5分短縮される」という改善の場合、営業担当者が10名、各担当者が1日5通×月20営業日メールを作成していると仮定すると、月間で約83時間(5分 × 5通 × 20日 × 10人)の時間削減効果が見込めます。 簡単な計算で構わないので、改善によるインパクトの大きさを把握しておくことが、関係者の合意形成や優先順位付けに役立ちます。

「小さく始めて、早く成果を出す」ことの重要性

従来のシステム開発などと比較して、生成AI活用の利点の一つは、比較的短期間で初期のアウトプット(たとえ70点の完成度でも)を得られる可能性が高いことです。

プロジェクト開始から最初の成果を得るまでの時間は、短ければ短いほど関係者のモチベーションを維持しやすくなります。完璧を目指すあまり時間をかけるのではなく、迅速にプロトタイプを作成し、早期にフィードバックを得ながら改善を進めるアプローチが有効です。

もし、チーム全体への展開が難しい場合は、まず意欲のあるメンバー1〜2名に協力してもらい、スモールスタートで試してみるのが良いでしょう。「まずは、すぐに効果を実感してもらう」ことを合言葉に進めましょう。

生成AIと人の役割分担を明確にする

全ての業務プロセスを生成AIに任せようとすると、多くの判断プロセスまで委ねることになり、調整が非常に複雑化・長期化する傾向があります。

むしろ、生成AIが得意なこと(定型的な文章生成、情報整理など)と、人が担うべきこと(最終判断、文脈に合わせた微調整、創造的なインプットなど)を明確に切り分ける方が、現実的かつ効果的です。

  • 生成AIに任せること:

    • 大枠のプロンプトに基づいた初期アウトプット(ドラフト、たたき台)の生成

    • データの整理や要約

  • 人が担うこと:

    • プロンプト内の具体的な指示(背景情報、目的、文脈、期待するアウトプット形式など)の入力・調整

    • 生成されたアウトプットのレビュー、修正、最終的な意思決定

インプット(人が与える指示)とプロセス(生成AIへの指示やワークフロー)の質が、最終的なアウトプットの質を決定します。 どちらか一方でも不十分であれば、期待する成果は得られません。

業務標準化のための「プロンプト共通化」

過去に、メンバー各自にプロンプト作成を任せて業務活用を試みたことがありましたが、あまりうまくいきませんでした。理由は以下の通りです。

  • プロンプトの質が個人に依存し、成果にばらつきが出る

  • 結果として、業務の標準化が進まない

個人の特定業務の効率化であれば、各自がプロンプトを工夫するのも良いでしょう。しかし、チーム全体で行う定型的な業務については、業務プロセスごとに最適化された共通のプロンプト(テンプレート)を用意し、それを利用してもらう方が、業務品質の標準化につながり、効果的です。

忘れてはならないのは、多くの人は「プロンプト作成の達人」になりたいのではなく、「日々の業務を楽にしたい」だけだということです。(最近ではプロンプト生成ツールもありますが) プロンプト作成スキルそのものよりも、「いかに簡単に、望む成果(アウトプット)を得られるか」という点に焦点を当てて、仕組みを設計することが重要です。

どんな環境で利用してもらうのか

誰でも簡単に、迅速にアウトプットを得られる環境を提供するためには、以下のような選択肢が考えられます。

  1. Google Apps Script (GAS) の活用

    • メリット: すでにGoogle Workspaceを契約済みであれば、追加コストなしで利用可能。サーバー構築も不要。社内向けに簡単な入力画面(HTML/CSS)を作成できる。

    • デメリット: 複雑な処理や大規模な利用には限界がある可能性。

    • おすすめ: 迅速な導入を優先したい、追加ツールの稟議が難しい場合。

    • ※画面やバックエンド処理のコードも生成AIに作成支援してもらうことで、開発時間を大幅に短縮できます。

  2. Difyなどのローコード/ノーコードツールの活用

    • メリット: GUIベースで視覚的にワークフローを構築できるため、開発が容易。拡張性も期待できる。

    • デメリット: 新規ツールの導入には稟議やセキュリティ確認が必要な場合がある。利用料が発生する可能性がある。

    • おすすめ: 今後の利用拡大や、より複雑なワークフロー構築を見据える場合。

どちらを選択するにしても、「まずは迅速な成果実現を優先する」という視点が重要です。導入に時間がかかるようであれば、他の方法を検討しましょう。

利用するモデル

利用するモデルについてはあまり気にせずそのときどきで性能がよいものを選んでします
今なら以下から選びます。

  • ChatGPT(GPT-4o)

  • Claude 3.7 Sonet

  • Gemini2.5 pro

生成速度、一度に扱える情報量(コンテキストウィンドウ)、コストなどが主な比較検討ポイントになりますが、多くの定型的な業務改善においては、上記の主要モデル間で決定的な差が出にくいケースも多いです。もちろん、タスクの特性に応じて最適なモデルを選択することが望ましいですが、モデル選定自体に時間をかけすぎるよりも、まずは利用可能なモデルで試してみることをお勧めします。

導入後の「組織への定着」こそが最重要課題

実装後に利用をしてもらうことが大きなハードルになることがあります。利用してもらえばラクになるのは見えているのの利用してもらえない、マネージャーから周知しても利用してくれない、などがあるかと思います。

どんなに優れた仕組みを構築しても、実際に現場で利用されなければ意味がありません。実装後の「利用定着」が、実は最も大きなハードルとなることがあります。「使えば楽になるはずなのに使ってもらえない」「マネージャーから周知しても利用が広がらない」といった課題はよく聞かれます。

1. 「体験」の機会を提供する

一度、実際に使ってみて「楽になった」と実感してもらうことが極めて重要です。定例会議などで使い方を説明するだけでなく、その場で実際に参加者に操作してもらい、効果を体験してもらうワークショップ形式などが有効です。強制的に、というよりは、最初のきっかけとして体験の場を設ける、というニュアンスです。成功体験は、継続利用への動機付けとなります。

2. 社内早期利用者を「アンバサダー」に

導入後、積極的に利用してくれるメンバー(アーリーアダプター)が現れるはずです。彼らはツールの価値を実感しているため、彼らに協力してもらい(アンバサダーとなってもらい)、他のメンバーへの利用促進やサポート役を担ってもらうことで、組織全体への浸透がスムーズに進みます。

3. 利用実態の把握と継続的な改善

導入を促した後は、実際にどの程度利用されているのか、誰が利用していて誰が利用していないのかを把握することが重要です。また、生成されたアウトプットに対する満足度なども定期的にヒアリングし、プロンプトやワークフローの継続的な改善(カイゼン)を行いましょう。

生成AIへの「過度な期待」は禁物

生成AIは大きな可能性を秘めていますが、過度な期待は禁物です。現実的な視点を持つことが、失敗を避ける上で重要になります。

  • 万能ではない: 生成AIはあらゆる問題を解決できるわけではありません。特に、高度な創造性や専門的な判断が求められる業務には限界があります。適切な場面で、適切に利用することが重要です。

  • 完璧(100点)を目指さない: 生成AIのアウトプットに完璧を求めすぎると、プロンプト調整などに膨大な時間を費やし、「沼る」ことになりかねません。生成AIのアウトプットはあくまで「下書き」や「たたき台」と捉え、最終的には人が適切に介入し、手直しを加えることで品質を高める、という考え方が現実的です。この期待値コントロールを誤ると、改善活動そのものが停滞してしまいます。「5時間かかっていた作業が、生成AIの支援で1時間で完了できる」これだけでも十分大きな成果です。

  • 向いている業務: ルーティンで発生し、常に一定水準以上の品質(平均点)が求められる業務(例: 定型メール作成、議事録要約、情報収集・整理)

  • 向いていない業務: 常に最高の結果(120点)が求められる、高度にクリエイティブな業務(ただし、アイデア出しの壁打ち相手や、多様な案を大量に生成する目的では有効)

「AIエージェント」の登場に備えつつ、今できることを

将来的には、より自律的にタスクを実行できる「AIエージェント」が登場し、現在行っているような改善活動の多くが陳腐化する可能性も指摘されています。

しかし、AIエージェントの登場をただ待つのではなく、今から生成AIを活用した業務改善を進めることには大きな意義があります。

  • AIエージェントも「課題特定」が前提: AIエージェントもあくまでツールであり、自社の課題が明確になっていなければ効果を発揮できません。結局、現状の業務フローの可視化やボトルネックの特定といった作業は必要になります。今の地道な取り組みが、将来的なAIエージェント導入の基盤となります。

  • AIエージェントは「自動化」のステップ: イーロン・マスク氏が提唱する改善ステップ(※要件定義→シンプル化→最適化→高速化→自動化)に照らし合わせると、AIエージェントが担うのは主に最後の「自動化」の部分です。その前段階である「要件定義」「シンプル化」「最適化」が不十分なまま自動化しても、本質的な改善にはつながりません。

したがって、現段階でできる業務の可視化、ボトルネック特定、プロセスの最適化を進めておくことは、将来のAIエージェント時代を見据えても決して無駄にはなりません。

おわりに

今回これまで対応してきた生成AI関連の業務改善PJの事例をもとに大枠での改善Processをまとめました。現在も生成AIを利用した業務改善のお仕事もしているので興味のあるかたはぜひXのDMでご連絡ください。一緒に業務の棚卸しをしながら効果的に改善を行いましょう!

また、これからnoteでどんどん生成AIを利用した業務効率化について発信していきますね。



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