Appleは中国での「Apple Intelligence」の展開を目指して、現地パートナーを探しているとみられます。これまでパートナー候補としていろいろな名前が挙がってきましたが、直近で、IT大手・阿里巴巴(アリババ)とすでに提携関係にあるとのうわさが出ていて、この関係についてトランプ政権が懸念を示していることがわかりました。
Apple’s Alibaba A.I. Deal Provokes Washington’s Resistance – The New York Times
https://www.nytimes.com/2025/05/17/technology/apple-alibaba-ai-tool-china.html
Apple’s AI partnership with Alibaba raises alarms in Washington – 9to5Mac
https://9to5mac.com/2025/05/17/us-government-looks-into-apple-alibaba-partnership/
「Apple Intelligence」はOpenAIのChatGPTを組み込んだAppleのAI機能ですが、中国ではChatGPTへのアクセスが禁止されています。このため、Appleは主要な市場である中国で「Apple Intelligence」を展開するため、OpenAIではない現地パートナーを探していることが報じられています。当初、候補として名前が挙がったのは中国のIT最大手である百度(Baidu)でした。
Appleが中国の百度(Baidu)と「生成AI技術の使用」について協議を重ねている – GIGAZINE
さらに、中国国内でAIを展開しているアリババや新興企業のBaichuan AIとも協議を重ねてきました。
AppleはChatGPTを利用できない中国でApple Intelligenceを提供するためにBaidu・Alibaba・Baichuan AIなどと協議中も難航か – GIGAZINE
2024年10月には「Apple Intelligence」が正式にリリースされ、中国での展開を急ぐべく、大手のTencentやTikTok運営元のByteDanceとも交渉を行っています。
Appleが中国でのAI機能提供に向けてTencentやByteDanceと交渉中との報道 – GIGAZINE
新たな情報によれば、どうやらAppleの中国でのパートナーはアリババが有力だとのこと。公にはこれといった発表はありませんが、アリババのジョセフ・ツァイ会長は2025年2月にドバイで開催された世界政府サミットに参加した際、「Appleは慎重な選別を行っています。彼らは多くの中国企業と話をして、最終的に私たちとの提携を選んだのです」と、すでにAppleとの提携が決定事項であることを示唆した上で、「Appleは端末にローカライズされたAIを搭載することを望んでいる」と語ったそうです。
ところが、この関係にトランプ政権が懸念を抱いていることがわかりました。
すでに、ホワイトハウスや下院の中国特別委員会がAppleに対して、アリババとの提携について問い合わせをしていて、Appleが中国の法律のもと、どのような約束を交わしているのかという質問が行われたとのこと。
下院情報委員会のラジャ・クリシュナムルティ議員は、Appleとアリババの提携を「不穏なもの」と表現し、中国共産党と密接に結びついた企業であるアリババをAppleが支援する形になる可能性があると警告しています。
アメリカ戦略国際問題研究所ワドワニAIセンターのグレッグ・アレン所長は、この状況について「アメリカと中国はAI競争を繰り広げているので、アメリカ企業が中国企業の開発速度を助けるような動きは避けたいのです」とコメントしています。
トランプ政権は、アリババをはじめとして中国でAIを開発・運用している企業を、アメリカ企業との提携を禁止するリストに加えることを検討しているそうです。
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🧠 編集部の感想:
Appleがアリババと提携を進める中、トランプ政権からの懸念が浮上しているのは興味深いです。中国でのAI展開にはリスクが伴い、特にアメリカ企業が中国の技術を助長することへの警戒感が強まっています。今後の動向によって、テクノロジーの国際競争がさらに激化するかもしれません。
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