Epic Gamesが開発するゲーム「フォートナイト」がApp Storeから削除された件の裁判で、Epic Gamesの主張が一部認められたため、Epic GamesはフォートナイトをApp Storeに戻す手続きを行っていますが、承認されていません。このことについて、Appleの意図的な遅延行為であり法廷侮辱罪に問える可能性があるとして、Epic Gamesが裁判所に申し立てを行いました。
PLAINTIFF EPIC GAMES, INC.’S NOTICE OF MOTION AND MOTION TO ENFORCE INJUNCTION
(PDFファイル)https://cdn2.unrealengine.com/05-16-25-epic-games-filing-16f7f43cb85d.pdf
Yesterday afternoon, Apple broke its week-long silence on the status of our app review with a letter saying they will not act on the Fortnite app submission until the Ninth Circuit Court rules on the partial stay. We believe this violates the Court’s Injunction and we have filed…
— Epic Games Newsroom (@EpicNewsroom) May 17, 2025
Epic asks judge to reinstate Fortnite on the App Store – 9to5Mac
https://9to5mac.com/2025/05/16/epic-asks-court-to-compel-apple-to-reinstate-fortnite-on-the-app-store/
Epic asks judge to make Apple let Fortnite back on the US App Store | The Verge
https://www.theverge.com/news/669047/epic-fortnite-filing-apple-app-store-review-order
事の発端は、Epic Gamesがフォートナイトに独自のアプリ内決済システムを実装したことです。Appleはこれを利用規約違反であるとしてフォートナイトを削除したため、2020年8月、Epic GamesがAppleを訴えました。
そもそも、App Storeで配信されるアプリのアプリ内決済では、Appleが指定する決済方法しか使えず、その決済に30%の手数料が課されていたことが問題だとEpic Gamesは指摘しています。この手数料は高額であり、代替の外部決済手段を認めないことは公正な競争を阻害するという主張でEpic Gamesは法廷闘争を続け、2021年には外部決済を認めさせるという裁判所命令を勝ち取りました。
ところが、この外部決済にもAppleが手数料を課してきたため、Epic Gamesは不服として同様の訴訟を起こし、2025年4月、外部決済に手数料を課してはならないとする裁判所命令を発効させることに成功しました。この件では担当判事も「外部決済を認めさせたとき、本来は一切の手数料がかからないことを想定していた」と苦言を呈しています。
裁判で主張が認められたため、Epic Gamesは独自の決済手段を搭載したフォートナイトをApp Storeに戻す手続きを行っていますが、申請から1週間が経過してもなお、承認は行われていないそうです。
Appleは、「我々は、新しい命令の部分的な停止を求める要求を行っており、これについて裁判所が決定を下すまで、Epic Gamesの申請を処理しない」との(PDFファイル)書簡をEpic Gamesへ送付しています。またAppleは「2020年8月の時点で、Epic Gamesはライセンス違反を認めており、当社はEpic Gamesのデベロッパー会員資格を抹消済みである。この件は裁判でも違法ではないと認められている」と伝え、たとえ独自の決済手段を用意したアプリが認められていようが、Epic Gamesの会員資格を復活させるかどうかはApple次第であるとの見方を示しました。
これを受け、Epic Gamesは「外部決済手段を搭載したアプリを許可するという裁判所の命令を無視している」として、裁判所に申し立てを行いました。
ここで問題となるのは、担当判事がEpic Gamesの会員資格復活を義務づけるという判断は一切していないということです。
なお、フォートナイトはEU法に基づいてEUで配信が再開されていましたが、Epic Gamesは今回の申し立ての際にEUでの配信を自ら停止させました。このことについてEpic Gamesは「同一アプリの複数バージョンを提出してはならないというAppleのガイドラインに違反する行為をApple自身が推奨し、我々にフォートナイトの2つのバージョンを提出することを要求したため」と説明しています。一方、Appleは「配信地域からアメリカを削除するよう求めただけで、EUでは引き続き許可される」との声明を発表したと伝えられています。
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🧠 編集部の感想:
AppleとEpic Gamesの対立が続いているのは驚きですが、法的手続きを通じた喧嘩を理解するのは難しいです。特に、Appleの承認遅れが法廷侮辱とされる点は、企業の権限と司法の独立性についての重要な議論を呼び起こします。最終的に、ユーザーがどのような影響を受けるのかが気になります。
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