国内最大規模のスタートアップカンファレンス「IVS2025」の3日目となる2025年7月4日,AIクリエイティブコンテスト「IVS NEOCREA」(ネオクリエ)の最終審査がロームシアター京都で行われた。
会場では,180作品の中から一次審査を通過したファイナリスト9作品披露され,映画コメンテーターの有村 昆氏やKLab代表取締役社長の真田哲弥氏ら7人が審査を行った。
左から,玉岡靖弘氏,玉置 絢氏,松原勝哉氏,くりえみ氏,真田哲弥氏,有村 昆氏,井上貴弘氏
 |
ファイナリスト9作品
コンテストでは,「革新性」「エンタメ性」「アート性」「AIとの融合度」「社会性・未来性」のそれぞれが10段階で評価される。
すべての作品を見終わったあと,個人的には「AIクリエイティブコンテストは審査が難しいのではないか」と感じた。作品ごとに人間のかける労力は異なり,現状では人間が手直しするほど,作品のクオリティが上がる。例えば「人間の労力が2で,クオリティが7の作品」と「人間の労力が5で,クオリティが8の作品」は,どちらが評価されるべきなのだろうと考えさせられた。
審査員からは「制作期間」に関する質問が多く寄せられ,1人が2〜3週間かければ作品を完成させられるという点に注目が集まっていた。
動画部門でグランプリを獲得した,シンガーソングライターのANON氏は,自身の制作した楽曲をもとに,アニメ調のMV「孤毒 -Kodoku-」をAIで作成した。審査員から高く評価され,「松竹賞」「PuriPrince賞」「GET Entertainment賞」を受賞した。
孤毒 -Kodoku- (Official Music Video)
ゲーム部門でグランプリを獲得したgimu氏は,すべてのコードをAIに書かせる「バイブコーディング」という手法で「WIRE ART SHOOTING」(外部リンク)を制作した。Claude 4の持つ「ワイヤーアートへの深い理解」と「卓越したプログラミング能力」を最大限に引き出すことを目標にしたという。
印象的だったのは,AIで容易にコンテンツを作れるようになった反面,結局は「何を作りたいか」「何を伝えたいか」という作り手の意図が問われることだ。制作期間が劇的に短縮され,1人でできることが増えた今,クリエイターに求められるものも変わりつつある。
AIはあくまでツールであり,どう使うかは人間次第だと,あらためて実感させられたコンテストだった。