
はじめに
「自分のITスキルは、今の年収に見合っているのだろうか?」
「次のキャリアステップで何を学ぶべきなのか?」
このような疑問を持ったことはありませんか?そんな悩みを解決するツールをAIで作りました。
GitHub で無料公開していますので、まずは自分のスキルを診断してみてください。
開発の背景
長い間、評価面談で以下の様な課題を抱えていました。
- 自己評価に個人差が大きく生じる
- 共通の判断基準や評価指標がほしい
エンジニアスキルの評価基準やキャリアアドバイスを普遍的に定義することは非常に困難です。どんなに優れた書籍や資料を参考にしても、わたしの理解度や適用範囲には限界があり、体系化できずに思考停止していました。
「AIを使えばできるのでは?」と思い立ち、実際に作ってみたところ、予想以上に実用的なレーダーチャートによる自己診断ツールができあがりました。
IT業界のキャリア設計の課題
レーダーチャートによる自己診断ツールを目指したのには理由があります。
未経験者からは「プログラムだけ書いていればよい」業種に見えがちなIT業界ですが、実際はまったく異なります。技術スキルだけでなく、ヒューマンスキル、業務スキル、マネジメントスキルなどをバランスよく習得していかないと、キャリアが行き詰まってしまいます。
しかも、これらのスキルは習得に時間がかかるものばかり。必要になってから慌てて学ぼうとすると業務遂行が困難になって炎上してデスマーチがはじまることもあるため1、計画的なスキル習得が不可欠です。
このようなキャリア設計の見通しを立てるツールとして、レーダーチャート自体は数年前に作成していましたが、次の課題から全く活用されていませんでした。
- 具体的な採点基準が定義されていない
- 診断後のフィードバックがない
AIの力で解決した採点基準とフィードバック
これらの課題を解決するため、Copilot + GPT-4.1 (エージェントモード)に単刀直入に依頼しました。
各スキルに、5段階の評価基準とそれぞれの評価に対してのスキルアップ方法を教えて。
驚くべきことに、AIは瞬時に詳細な採点基準とフィードバックを生成してくれました。数年間ほしかったものが、わずか数秒で手に入ったのです。
各評価の内容やフィードバック内容は、わたし自身も勉強になる内容でした。面談で言語化して伝えられなかったことが、端的に表現されていて感心しました。
キャリアモデルの可視化
次に、IT業界の代表的な職種(テスター、PG、PL/PMなど)について、どのスキルがどの程度必要かというロールモデルをAIに作成してもらいました。
これにより、目標とする職種に必要なスキル分布がレーダーチャートに表示されるようになりました。自分の現在地と目標のギャップが視覚的に分かることで、学習の動機付けになると考えました。
モチベーションの源泉:年収
学びの動機付けとして最も強力なのは、やはり「お金」ではないでしょうか。
わたしたちが働く主な目的は、好きなことをするためというより、生活のためのお金を得ることです。「プログラムが好き!」「IT大好き!」という方ももちろんいますが、多くの方は現実的な報酬を気にしているはずです。
そこで、各ロールモデルの推定年収もAIに作成してもらいました。自己評価がどのロールモデルに近いかを判定し、そのモデル内での相対評価によって年収を調整する仕組みです。
興味深いことに、依頼していないにもかかわらず、Claude3.7は自動的にキャリアアドバイスも生成してくれました。この点では、GPT-4.1よりもClaude3.7の方が柔軟性があり、用途によってAIを使い分けるのが効果的だと感じました。
AIの可能性と未来
このように、診断ツール、診断データおよび診断アルゴリズムをAIで作成してみると、一つの重要な問いが浮かび上がります。
『AIは既に、人事評価ができるだけの知識を蓄えているのではないか?』
AIが提示する評価基準は端的で分かりやすく、人間特有の忖度や感情に左右されません。これはある意味、アニメ「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」のデュランダル議長が提唱した「ディスティニープラン」のような世界観を思わせます。
人間の能力を客観的に評価し、適材適所に配置する—そんな未来が、既にわたしたちの目の前に迫っているのかもしれません。
さいごに
自分のITスキルと市場価値を客観的に把握したい方は、ぜひこのツールを試してみてください。キャリアの次のステップを考える良いきっかけになるはずです。2
おまけ
よろしければどうぞ。
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