Amazonの新しい倉庫用ロボット「Vulcan」は人型ではないが、扱う品物を「感じる」能力など、人間的な特徴を備えている。
Amazonはドイツで現地時間5月7日に開催したイベント「Delivering the Future」でVulcanを披露した。
「ロボティクス、エンジニアリング、フィジカルAIの主要な進歩を基盤とするVulcanは、当社初の触覚を持つロボットだ」と、Amazonはプレスリリースで述べた。このイベントはAmazonの技術革新を披露する場となっている。
Vulcanは在庫保管に使われる布張りのポッドに商品を収納したり、取り出したりできる。人間のように丁寧に物体を扱うことができ、力覚センサーを使って、商品を損なうほどの力をかけないように調整する。
商品を取り出す際は吸着カップとカメラが稼働する。
Amazonによれば「吸着カップが商品をつかむ間、カメラは正しい商品だけが取り出されていることを確認し、エンジニアが言う『対象外の商品を一緒に取る』リスクを回避する」という。
Vulcanは米ワシントン州スポケーンと独ハンブルクのフルフィルメントセンターに導入されている。主に、人がかがまなければ届かない低所や脚立を使わなければ届かない高所に置かれた商品の取り扱いを担う。
これまで人手で動いていた職場でロボットが増えることは繊細な話題になり得るが、AmazonはVulcanを従業員の代替ではなく補助役と位置付けている。
Vulcanはセンターに保管されている商品タイプの75%を扱うことができ、自分で動かせる商品と人の助けを要する商品を区別できる。
ロボットはフィジカルAIを活用しており、これには「Vulcanが扱える・扱えない品目の識別、ビン内の空きスペースの検出、歯磨き粉のチューブやゼムクリップの箱の判別などのためのアルゴリズム」が含まれる。AIは靴下から電子機器まで多様な品に対して訓練され、稼働しながら学習を続ける。
蘭エラスムス大学の物流・オペレーション研究者Rene de Koster氏とインド経営大学院アフマダーバード校のDebjit Roy氏は、配送センターでは人間とロボットが効果的に共存できると述べている。
両氏は2024年、Harvard Business Review向けにまとめた研究概要で「少なくとも現時点では、人とロボットが協働する配送センターの自動化の方が、完全自動のセンターより効率的で柔軟性が高く、費用対効果も高い場合が多い」と指摘した。
Amazonによれば、同社では従来からロボットが業務に組み込まれており、フルフィルメントセンターには75万台以上が配備されている。
今後数年でVulcanは欧州と米国のさらに多くのセンターに展開される予定だ。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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