
米フォード・モーターは5日、通期業績見通しの提示を取りやめるとし、トランプ大統領の自動車関税が利益を圧迫するとの見通しを示した。通商政策を巡る不透明感を背景に、自動車業界では見通し撤回の動きが広がっている。
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同社は関税の影響により2025年の利払い・税引き前利益(EBIT)が差し引きで約15億ドル(約2160億円)減少する見込みだと明らかにした。
シェリー・ハウス最高財務責任者(CFO)は記者団に対し、関税コストは総額で約25億ドルに上ると説明。このうち10億ドルは保税輸送などの措置を通じて関税を回避し、コストを抑える方針だと語った。
フォードは、今年の調整後EBITを最大85億ドルとしていた従来の見通しを撤回した理由として、トランプ政権の関税に絡む「業界全体でのサプライチェーン混乱」や将来的な関税引き上げのリスクなど、7つの要因を挙げた。
同社は、4-6月(第2四半期)の決算発表時に改めて業績見通しに関して最新情報を提供する方針だ。
フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は先週、関税コスト増に対する他社の対応を見極めるまでは、値上げには踏み切らない方針を示している。
合わせて発表した1-3月(第1四半期)決算では、調整後の1株利益が14セントと、4セントの赤字を見込んでいた市場予想を大きく上回った。
原題:Ford Pulls Guidance, Sees $1.5 Billion Hit From Trump’s Tariffs(抜粋)
(第3段落以降を追加して更新します)
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