オーストラリアで3日行われた総選挙で中道左派の与党、労働党が歴史的な勝利を収める方向だ。アルバニージー首相が引き続き政権を担う。
4月下旬のカナダ総選挙でも与党が勝利したばかりで、米国の同盟国で有権者がトランプ米大統領の政策に反発し、総選挙で保守政党に厳しい審判を下し、左派寄りの現政権を支持する動きが続いた。
アルバニージー氏は約20年ぶりに総選挙を連続で制した豪首相となった。同氏は3日夜、「われわれはどこかに懇願したり、借りたり、真似たりする必要はない」とする勝利宣言を行った。
「海外にインスピレーションを求めない。それはわれわれの価値観と国民の中にある」と強調した。
カナダ同様、豪州でも数カ月前に総選挙の結果を予測するのは難しかった。両国では当初、与党が劣勢で、野党側の保守派はトランプ氏が昨年11月の米大統領選に勝利した流れに乗ろうとしていた。
カナダのカーニー首相は3日、アルバニージー氏の続投に祝意を示し、「分断が進む世界において、カナダと豪州は緊密なパートナーであり、最も信頼できる友人同士だ」とX(旧ツイッター)に投稿した。同首相は与党の自由党を率いて総選挙を勝ったばかりだ。
今回の豪総選挙にはトランプ氏の影が色濃く差していた。同氏が4月初旬に上乗せ関税を発表したタイミングは、豪州の主要政党が選挙運動を始めた時期と重なった。
与党労働党は一貫して、野党自由党のダットン党首がトランプ氏の政策を模倣していると批判。ダットン氏は最近になってトランプ氏との距離を取る姿勢を見せていた。
カナダの総選挙では保守党のポワリエーブル党首が落選したが、ダットン氏も議席を失った。

豪総選挙で与党が勝利
Source: Bloomberg
ジョージ・ワシントン大学のスティーブン・ハミルトン助教(経済学)によれば、ダットン氏がトランプ氏のスローガンである「MAGA(米国を再び偉大に)」的な政策を選んだことや保守派に対する反発の高まり、そして有権者が安定を求めた傾向は、いずれもトランプ氏が豪州の選挙に与えた影響を示すものだという。
「トランプ要因がなかったとしても、労働党は過半数を獲得していたとは思うが、トランプ氏の影響がアルバニージー氏の大勝を後押ししたのは間違いない」と指摘した。
今後の大きな焦点は、今回の圧勝がアルバニージー氏のトランプ氏への対応に変化をもたらすかどうかだ。
中国外務省は4日朝に声明を出し、アルバニージー氏の勝利を祝福するとともに、「より成熟し、安定し、実りのある中国と豪州の包括的戦略パートナーシップ」の構築を望むと呼びかけた。

原題:Trump Backlash Helps Australia’s PM to Historic Re-Election (1) (抜粋)
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