土曜日, 5月 3, 2025
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隕石が外れていたら「恐竜は今も生きていた」可能性が浮上!


約6600万年前の白亜紀末、今日のメキシコあたりに巨大な隕石が衝突し、恐竜時代に終わりを告げました。

これは古生物学界でも常識となっていますが、その一方で、ある疑問が研究者たちによって長らく議論され続けています。

それは「隕石の衝突前から、恐竜たちはすでに衰退の一途を辿っていたのではないか」という問題です。

これについて、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)は新たに調査を実施。

その結果、白亜紀末の恐竜たちは衝突の直前も十分に繁栄していたことが示されたのです。

つまり、隕石が地球を外れていたら、恐竜は今も生き延びていたのかもしれません。

研究の詳細は2025年4月8日付で科学雑誌『Current Biology』に掲載されました。

 

目次

  • 隕石衝突前から恐竜は絶滅に向かっていたのか?
  • 恐竜は衰退していなかった?

隕石衝突前から恐竜は絶滅に向かっていたのか?

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Credit: canva

研究者の一部はこれまで、白亜紀末の恐竜化石が他の時代に比べて減っていることから「恐竜は隕石の衝突以前からすでに多様性を失い、衰退していた可能性が高い」と主張していました。

たしかに化石記録を素直に見渡せば、約7600万年前をピークに恐竜化石の種類は減少していったように見えます。

しかし、これには重大な盲点がありました。

それは「見つかっている化石が少ない=実際に生きていた恐竜が少ない」とは限らない、ということです。

恐竜の化石は、その時代の地質や保存状態、現在の地表の露出状況に強く左右されます。

そこで今回の研究チームはこの「化石記録の質」そのものを問い直すことにしました。

彼らが注目したのは、アンキロサウルス科、ハドロサウルス科、ケラトプス科、ティラノサウルス科という4つの主要な恐竜グループです。

これらの恐竜について、白亜紀末の北アメリカ大陸の約1800万年間にわたる化石記録を詳細に調査しました。

恐竜は衰退していなかった?

研究チームは、北アメリカのカンパニアン期(約8360万〜7210万年前)およびマーストリヒチアン期(約7210万〜6600万年前)に属する約8000点の恐竜化石記録を詳細に分析しました。

対象としたのは、アンキロサウルス科、ケラトプス科、ハドロサウルス科、ティラノサウルス科の4つの主要なグループです。

表面的に見れば、恐竜の多様性は約7600万年前にピークを迎え、その後徐々に減少し、小惑星衝突の直前では顕著に減っていたように見えました。

しかしチームによると、「このような減少傾向を裏付ける環境要因や生態学的変化は確認されておらず、衰退の証拠とは言い難い」といいます。

むしろ新たな化石記録の分析では、恐竜たちは衝突直前まで北アメリカ全体に広く分布し、種としての安定性を保っていたことが示唆されたのです。

では、なぜ化石数だけが減っているように見えるのでしょうか?

その背景には、化石が保存されにくい地質条件の変化がありました。

マーストリヒチアン期には、かつて北アメリカ大陸を南北に分断していた西部内陸海(Western Interior Seaway)」が後退し、ロッキー山脈の隆起が始まりました。

これにより、堆積環境が変化し、それ以前に比べて化石が形成されにくくなったのです。

また現在の地表では、当時の白亜紀末の地層が植物に覆われていたり、風化や侵食で失われたりしており、発掘が困難な状況にあることも判明しました。

こうした地質的・環境的要因によって、恐竜の化石が見つかりにくくなり、「多様性が低下した」という見かけの現象を生んでいたのです。

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Credit: UCL – Dinosaurs’ apparent decline prior to asteroid may be due to poor fossil record(2025)

分析によれば、8000件の記録の中で最も多く見つかっていたのはケラトプス類(トリケラトプスなど)でした。

これは彼らが化石として保存されやすい草原状の地形に生息していたためだと考えられます。

一方で、川辺を好むハドロサウルス類(カモノハシ恐竜)は、堆積物がたまりにくい場所に生息していたため、記録に残りにくかったと推定されます。

このように、地形や生息場所の違いが化石記録の差に大きく影響を与えていたのです。

研究主任のアルフィオ・アレッサンドロ・キアレンツァ(Alfio Alessandro Chiarenza)氏は、次のようにコメントしています。

「恐竜は白亜紀の終わりに、避けようのない運命として絶滅したわけではなかった可能性があります。

つまり、もしあの小惑星が衝突していなければ、恐竜たちはいまも哺乳類やトカゲ、そして彼らの子孫である鳥たちと一緒にこの地球で生きていたかもしれないのです」

しかし恐竜たちがその後もずっと生き続けていれば、哺乳類たちの台頭もなくなり、私たち人間も生まれていなかった可能性があります。

あの時、小惑星の軌道がちょっとでもズレて、地球を外れていたら、地球の生物史は今とまったく異なる道を歩んでいたでしょう。

全ての画像を見る

参考文献

Dinosaurs’ apparent decline prior to asteroid may be due to poor fossil record
https://www.ucl.ac.uk/news/2025/apr/dinosaurs-apparent-decline-prior-asteroid-may-be-due-poor-fossil-record

Dinosaurs might still roam Earth if it weren’t for the asteroid, study suggests
https://www.livescience.com/animals/dinosaurs/dinosaurs-might-still-roam-earth-if-it-werent-for-the-asteroid-study-suggests

元論文

The structure of the end-Cretaceous dinosaur fossil record in North America
https://doi.org/10.1016/j.cub.2025.03.025

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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