現地時間の2025年4月24日、Intelのリップ・ブー・タンCEOが全従業員向けにメールで人員削減やリモートワークの制限といった新しい施策を通達しました。
Lip-Bu Tan: Our Path Forward :: Intel Corporation (INTC)
https://www.intc.com/news-events/press-releases/detail/1738/lip-bu-tan-our-path-forward
タンCEOはマクロ経済環境がますます不安定で不確実性を高めているとして、会社全体におけるシンプルさ、スピード、コラボレーションを推進する必要があると言及。さらに、Intelが社内の目標を達成するために、いくつかの重要な変更を実施すると発表しました。
◆エンジニアリングに特化した企業になる
Intelは原点に立ち返り、エンジニアの能力を強化する必要があるとタンCEOは言及。その第一歩として、Intelは2025年4月の第3週にコアエンジニアリング機能をエグゼクティブチーム(ET)に昇格させました。さらに、イノベーションのペースを遅らせるような煩雑なワークフローやプロセスを排除することで、エンジニアの生産性を向上させることを目指しているそうです。
エンジニアリング人材と技術ロードマップへの必要な投資を行うため、コスト削減のための新しい方法を見つける必要があるとタンCEOは記しており、今後の営業費用と設備投資目標を引き下げる予定であると明かしました。
◆組織のフラット化
エンジニアリングに再び重点を置くと同時に組織の複雑さも排除していくとタンCEO。Intelの既存のチームは8層以上にわたっており、不要な官僚主義が存在しており、業務スピードの低下につながっているそうです。そこで、タンCEOはエンジニアリングチームの組織を見直し、階層構造の削減、管理範囲の拡大、優秀な人材の権限委譲に重点を置くよう指示を出したと言及しています。タンCEOは「競合他社はリーンでスピードとアジャイルを両立させています。我々も実行力を向上させるためにその姿を目指すべきです」と記しました。
さらに、タンCEOは「近年、Intelの多くのマネージャーにとって最も重要なKPIが『チームの規模』であったことに驚きました。今後はこの考え方が変わるでしょう。私は『最高のリーダーは最小限の人員で最大限の成果を上げる』という哲学を強く信じています。この考え方を全社的に推進し、優秀な人材に意思決定の権限を与え、重要な優先事項に対する責任感を高めていきます」と説明しています。
この変更により、「従業員数が減少することは避けられない」とタンCEOは説明しており、具体的には2025年第2四半期(4~6月)から数カ月かけて可能な限り迅速に人員削減を進めていくと言及しています。なお、「人員削減と主要な人材の維持・確保のバランスを取る必要があります。各リーダーが最優先事項に沿って最善の決定を下せるよう、権限を与えていきます。これらの決定は軽々しく行うものではなく、定期的にご報告いたします」とのことです。
◆プロセスの合理化
プロセスの合理化について、タンCEOは「事業の発展につながらない社内管理業務にどれほどの時間と労力が費やされているかに気付き、目からうろこが落ちました。お客様とのやり取りに費やす時間を最大限に活用するため、こうした業務を根本的に簡素化する必要があります」と説明しています。
企業のリーダーたちには不要な会議をなくし、出席者数を大幅に削減するよう指示し、ライブダッシュボードとより質の高いデータに重点を置いたプロセスを近代化することで、より迅速かつ的確な意思決定に必要なリアルタイムのインサイトを確実に得られるよう努めるとのこと。
さらに、インサイトとOKRの正式な要件を任意とすることで、成果に対する説明責任を果たしながら、よりシンプルかつ柔軟な方法でフィードバックを実現できるようになるとタンCEOは言及しています。同様に、不要な研修や文書作成といった、時間のかかる社内管理業務の削減も実施するそうです。
◆オフィスに戻る
Intelの現行のポリシーでは、オフィスワークとリモートワークのハイブリッド勤務の従業員は、週3日のオフィスワークが義務付けられています。しかし、ポリシーの遵守状況は不均一だそうです。
タンCEOは「直接会って時間を過ごすことで、より魅力的で生産的な議論や討論が生まれ、より的確かつ迅速な意思決定が促進され、同僚とのきずなが深まります」と述べ、2025年9月1日から週4日のオフィスワークを義務付けるようポリシーを改定すると発表しました。
タンCEOは上記の施策をもって新しいIntelを構築することで、業界における劣勢をくつがえし、勝利を得るために必要なチームを構築すると言及。Intelが再び世界で最も革新的な企業となるのは「困難な道のり」であると認めながら、「未来に向けた新しいIntelを築き上げるため、お客様により良いサービスを提供するため、私たちは上記の施策を実施しなければいけないと自覚し、決断を下します。そして、私たちのチームと社員がそれを成し遂げる力を持っていると確信しています」と言及しました。
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