東京・練馬区としまえん跡地に位置するウォークスルー型のエンターテイメント施設「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 メイキング・オブ・ハリー・ポッター(以下、スタジオツアー東京)」では、2025年4月18日から9月8日にかけて、映画「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」公開20周年を記念した特別企画「炎のゴブレット」を開催している。

 シリーズ第4作目となる映画「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」は、100年ぶりに開催される三大魔法学校対抗試合(トライウィザード・トーナメント)を舞台に、ハリーが数々の命がけの課題に挑み、やがて闇の帝王ヴォルデモートの復活を目の当たりにする、物語の大きな転機となる作品だ。

 そんな作中の世界に踏み込めるのが、開催中の特別企画「炎のゴブレット」だ。映画で描かれた名シーンを生み出した数々の展示に加え、その舞台裏にまで迫る“映画ファンのための展示体験”を楽しむことができる。今回のレポートでは、映画制作のこだわりと魔法の世界の臨場感が交錯するこの展示を、写真とともに紹介する。

大広間に灯る青い炎と年齢線

 展示のスタートは、シリーズで最も荘厳なセットのひとつ“大広間”。その中央に鎮座するのが、あの「炎のゴブレット」だ。セレモニーでは青く光る年齢線(17歳以下の生徒を弾き出す強力な魔法)と共に青い炎がゆらめき、やがて赤に染まり、紙が宙を舞う、まさに映画そのままの演出が行われた。

炎は青から赤へとゆらめきながら変化していく。年齢線の近くには映画のシーンと同様に、跳ね返されたフレッドとジョージも再現されている

 このゴブレット、撮影当初は小さな宝石が散りばめられた金属製の小ぶりなデザインが考えられていたのだという。だが、映画では木製の彫刻によるゴシック様式の巨大なゴブレット(脚と土台がついた酒杯)が採用された。制作を手がけたのは小道具部門ヘッドのピエール・ボハナ氏。イギリス中を探しまわって入手した、嵐で倒れたニレの木を削り出し、約3週間かけて手作業で完成させたという。

 また、ゴブレットの後ろには収納用のケースや、トロフィーも展示されている。このケースは、実際に撮影で使用されたもので、撮影後は厳重に保管されていた。

側面のパネルは、金箔や金メッキ、真鍮で細工され、その表面にたくさんの宝石や半貴石があしらわれている

トライウィザードカップのトロフィー

第一の課題――ドラゴン対決と金の卵

 続く展示では、第一の課題「ドラゴンとの対決」の名シーンが登場。頭上4mの高さに構えたハンガリー・ホーンテールは、鋭い眼光で訪れる者を睨みつける。今回の特別展示では、全身幅3m、左右1.3mの翼を広げたハンガリー・ホーンテールが登場。ハリーに奪われまいと、鋭い眼光を放ちながら岩の上の金の卵を守る様が再現されている。

映画本編で使用されたアニマトロニクス模型をベースに再構成されたもので、当時の模型をスキャンし、頭部や翼を3Dでモデリングし直したという

ドラゴンから奪う金の卵

 上記以外にも、ダンスを練習するネビルの姿や、監督生の浴室にあるカラフルな浴室蛇口、シリーズを通して変化していく死喰い人(デスイーター)の展示などが新たに登場している。

第二の課題――水底の静寂に潜む、救出劇の舞台裏

 次の展示は、水中での“救出劇”が繰り広げられた第二の課題。魔法によって一時的に眠らされ、湖の中に閉じ込められた家族や友人を制限時間内に救出するシーンがテーマの展示だ。実際の撮影に使用されたロンの水中ダミー人形が展示されており、肌や髪に施されたリアルな細工はまさに本物そっくりでに驚愕する。

俳優たちの型で精巧に複製された人形。顔や頭、手はシリコン、胴体はグラスファイバーといった、それぞれの用途に適した素材を使用し、頭髪や眉毛を埋め込み、肌の色味を足すなどして、本物そっくりに仕上げられている

第三の課題――闇の迷路と“あの墓地”の恐怖

 スタジオツアー東京のロビーには、第三の課題の舞台である迷路をバックに、三大魔法学校対抗試合の代表選手、ホグワーツ代表のハリー・ポッター、セドリック・ディゴリー、ボーバトン代表のフラー・デラクール、ダームストラング代表のビクトール・クラムが、それぞれのユニフォームに身を包んだ等身大モデルが展示されている。

 また、ホグワーツ・レッスンエリアの展示には高さ3mのトム・リドルの墓が登場。ハリーが羽交い絞めにされ、ヴォルデモートが復活した衝撃的なシーンが脳裏に蘇るこの墓は、細部の苔や質感などがエイジング加工でリアルに表現されており、長い間放置された不気味で古びた墓の雰囲気をしっかりと感じることができる。

ホグワーツ城の模型――映像と音が魔法をかける

 展示の締めくくりとして登場するのが、ホグワーツ城の巨大模型。ここでは、第一の課題でハリーとドラゴンが空中戦を繰り広げる様子が、壮大なプロジェクションマッピングで映し出される。

 映画のオリジナル音源とともに展開されるこの映像は、スピード感と臨場感に満ちており、ホグワーツ城の壁をつたってハリーを追い詰め火を噴くドラゴンや、箒「ファイアボルト」に乗り、城の合間をぬってドラゴンから逃げるハリーの飛行技術を、大迫力の映像とともに堪能することができる。

映画制作の裏側を味わう展示の数々

 今回の展示は、単に映画セットの“再現”では終わらない。小道具や衣装の多くには、制作者たちのコメントが添えられ、映画制作の試行錯誤や工夫が紹介されている。

 金の卵、ゴブレットの収納ケース、衣装やセットの数々など、どれも職人たちが考え抜いて作り上げた背景があり、そのエピソードは読み応え十分。展示を見ることで、映画の新たな一面を知ることができるはずだ。

作中でフラー・デラクール、ハーマイオニー・グレンジャー、ビクトール・クラムが着用したコスチューム

 もちろん「炎のゴブレット」特別展示以外にも、場内では作中に登場した数多くのシーンを楽しむことができる。

フード、アクティビティ、グッズも見逃せない!

 展示を楽しんだ後は、館内の限定メニューや新作グッズにも注目。「トライウィザード・トーナメント アフタヌーンティー」は、三つの課題にちなんだプレートとともに、「ドラゴンアイシングクッキー」や「炎のゴブレットミルクシェイク」などユニークなメニューが揃う。

 また、展示をさらに楽しめる「アクティビティパスポート」や、日替わりでドラゴンのアクリルスタンドがもらえるキャンペーンも実施中。訪れるたびに新しい発見があるのも嬉しい。

 さらに、「炎のゴブレット」お披露目セレモニーも実施され、チョコレートプラネットのお二人や加藤史帆さん、阿部詩選手といった多彩なゲストが登場。三大魔法学校にちなんだ衣装やトークで会場を盛り上げ、展示への期待感をより一層高めてくれた。

 細部に宿るクラフトマンシップ、映画と同じ光と音で再現される名シーン、そして新しい魔法の発見。スタジオツアー東京の「炎のゴブレット」は、単なる映画の追体験ではなく、訪れるたびに新たな感動に出会える“魔法の現場”そのものだ。

 スタジオツアー東京は、オープン以来、常に新しい展示や企画を追加し続けており、何度訪れても新鮮な驚きと楽しさに出会える場所だ。今回の特別企画も、まさにその象徴と言えるだろう。懐かしい人も、初めて映画に触れる人も、20周年をきっかけに、魔法界の扉を再び開いてみてはどうだろうか。



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