アメリカ政府は中国に対する半導体輸出を厳しく制限していますが、この圧力の高まりと符合するように、台湾からマレーシアへの半導体輸出が増加しており、これはマレーシアが密輸拠点となりつつあることを意味している可能性があると、IT系ニュースサイトのTom’s Hardwareが指摘しました。

Massive 366% chip shipment surge to Malaysia amid increased Nvidia AI GPU smuggling curbs, ahead of looming sectoral tariffs | Tom’s Hardware
https://www.tomshardware.com/tech-industry/artificial-intelligence/massive-366-percent-chip-shipment-surge-to-malaysia-amid-increased-nvidia-ai-gpu-smuggling-curbs-ahead-of-looming-sectoral-tariffs


台湾の国際貿易局によると、2025年3月のマレーシアへのコンピューターシステム製品の輸出額は18億7389万ドル(約2660億円)で、2024年3月の4億192万ドル(約570億円)から前年同月比366%増、2023年3月の340万ドル(約4億8400万円)と比べると5万5000%超の増加と、驚異的な伸びを記録しているとのこと。


アメリカ政府は、2025年1月に「AI拡散規則」を打ち出しており、5月15日の施行が目前に迫っているため、駆け込み需要でAIハードウェアの輸入額が急増すること自体はそれほど不自然ではないと、Tom’s Hardwareは述べています。事実、アメリカ政府が中国への高性能なCPUとGPUの販売を制限した直後である2023年12月にも、台湾からマレーシアに向かうコンピューターシステムは急増しています。

しかし、マレーシア企業はAIサーバーだけでなく台湾からの部品購入も加速させており、その中には中国への密輸が取り沙汰されているNVIDIAの「H100」を始めとするAIアクセラレーターも含まれる可能性があるとのこと。

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2025年3月に、NVIDIA製チップを中国に密輸しようとした容疑者がシンガポールで逮捕される事件が起きたばかりでもあることなどから、Tom’s Hardwareは「台湾からマレーシアへの半導体出荷の急増は、マレーシアがクラウドAIデータセンター市場への参入を試みているのか、それとも中国への規制対象部品のさらなる密輸の中継地となっているのか、という疑問を引き起こしています」と指摘しました。

この推測には注意点もあります。台湾当局はHSコード(国際統一商品分類)に基づいて輸出品目を細かく集計していますが、公開データでは品目が細分化されていないため、マレーシアに輸出される「コンピューターシステム」には安価なノートPCから高価なAIサーバーまですべて含まれてしまっています。

Tom’s Hardwareは「HSコードではAIサーバーと安価なノートパソコンを区別することはできませんが、アメリカが中国への先進AI用GPUの輸出を制限した直後から、台湾からマレーシアへのコンピュータシステムの輸出が加速し始めたことは明らかです。また、アメリカ政府は最近、マレーシア政府に同国から中国に輸出されるハイテク製品に対する監視を強化するよう要請しており、これは『NVIDIAのハイエンドGPUが中国に流れている』という疑念があることを示唆しています」と述べました。

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