
4月14日、金融セクターに特化した投資ファンド、ありあけキャピタルが、滋賀銀行株を大量保有していることが明らかになった。千葉銀行と千葉興業銀行の統合協議を後押しし、地銀再編の“仕掛け人”として注目を集める同ファンドが、次に照準を定めたのが滋賀銀行だ。その真意はどこにあるのか。大量保有の判明後、田中克典代表や周辺関係者への取材を通じて、狙いの核心に迫る。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
5カ月前にある“予兆”も!
滋賀銀株取得の狙いは?
地銀業界に再び波紋が広がった。4月14日、投資ファンドのありあけキャピタルが関東財務局に大量保有報告書を提出し、滋賀銀行の株式を5.3%保有していることが明らかになったのだ。
ありあけキャピタルは、ゴールドマン・サックス証券で銀行アナリストを務めた田中克典氏が率いる、金融セクター特化型の投資ファンドである。
地銀関係者が同ファンドの動向に神経をとがらせるのには理由がある。千葉興業銀行を巡る一件だ。
ありあけキャピタルは2022年半ばから同行への投資を開始し、今年1月には議決権ベースで19.9%を取得して筆頭株主に。さらに先月には、その保有株を千葉銀行に売却した。これを契機に、両行の経営統合に向けた協議入りを後押ししたとみられている(『千葉銀&千葉興銀の再編仕掛け人、ありあけキャピタル代表を直撃!千葉興銀株の取得から売却までの経緯を激白』を参照)。
そんな地銀再編の仕掛け人が、新たに照準を定めたのが滋賀銀行だったのだ。業界関係者が警戒感を募らせるのも無理はない。
では、ありあけキャピタルの狙いは何か。
実は、同ファンドが滋賀銀行株を取得しているとの観測は、すでに5カ月前から市場でささやかれていた。どのような兆候があったのか。そして、それが意味するものとは。
今回の大量保有報告書の提出を受けて、ダイヤモンド編集部は田中氏および周辺関係者への取材を敢行。次ページでは、ありあけキャピタルの投資の真意、そしてその動きが地銀業界に与えるインパクトを掘り下げていく。