どちらも、前機種よりさらに薄くなったため、シュッとした感じに見えます。カラーリングも、FAやMAよりもクリーム色っぽくなり、FEはアールを効かせたデザインに、FE2はドライブ部分が優しい見た目に、それぞれ変わりました。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今夏に発売予定となっている「PasocomMini PC-8801mkIISR」を前に、特別企画として「PC-8801シリーズを振り返る」をお送りします。第5回目は、画面をテレビに出力できるようになった88こと、PC-8801FEとPC-8801FE2を取り上げました。

歴代のPC-8801シリーズを振り返る 連載一覧

 1980年代には数多くのマイコンやパソコンが登場しましたが、その中でも一際目立っていたのがNECから登場した「PC-8801」シリーズではないでしょうか。1981年に誕生した初代のPC-8801から始まり、PC-8801mkII、PC-8801mkIISR、PC-8801mkIITR、PC-8801mkIIFR、PC-8801mkIIMR、PC-8801FH、PC-8801MH、PC-8801FA、PC-8801MA、PC-8801FE、PC-8801MA2、PC-8801FE2、そしてPC-8801MCと、最終的には全部で14機種が発売されています。

 1985年にPC-8801mkIISRを発売したNECは、同年11月にPC-8801mkIIFRとMRを、さらに1986年11月にはPC-8801FHとMH、そして1987年10月はPC-8801FAとMAを、それぞれ発表しました。ほぼ1年おきにPC-88シリーズのラインアップを更新してきたのですが、1988年にはPC-8801FEとPC-8801MA2、1989年にはPC-8801MCとPC-8801FE2を市場へと投入しました。このうち、今回取り上げたPC-8801FEとPC-8801FE2は改めて調べたところ、前者は発表されたのが10月27日から29日かけて品川パシフィックホテルで開催されたNECパーソナルフェア’88にて、後者は10月13日発表されたとのことでした。

PC-8801FEの広告では、イメージキャラクターを斉藤夕貴さんが担当していました。同時に発売されたPC-8801MAとのセットで広告が掲載されていましたが、PC-8801FEがメインで、PC-8801MA2は右下に写真がそっと置かれていたという感じです。

 この2機種はどちらも入門機という位置づけだったため、設定された価格も88シリーズとしては一番安く、PC-8801FEが129,000円、PC-8801FE2が119,000円となっています。どちらも、拡張スロットは専用のサウンドボードIIスロットのみでしたが、ゲーム目的で使うのであれば確かにそれ以外のパワーアップは行わないと思われるので、価格のために拡張スロットをゼロにしたのは正解だったかもしれません。

PC-8801FE2では、PC-8801FEの時から立場が逆転。同時に発売されたPC-8801MCがページのほとんどを占めて、PC-8801FE2はほんの少しだけという広告となっていました。PC-8801MCのイメージキャラクターとしては、松下進さんの描いたキャラが使われていますが、PC-8801FE2に関しては特に定められていません。右側の斉藤さんは、「スペースボールベアーズコンテスト」に関係しての掲載で、「スペースボールベアーズ」とはPC-8801FE2に付属していたデモディスクで遊べる、ブロック崩しのようなゲームです。

 本体スペックですが、PC-8801FEはPC-8801FHからほとんど変わっていません。違っているのは、マウスポートが正面に移動したこととモード切換スイッチがセットアップモードに組み込まれたこと、そしてビデオ出力端子が備わったことです。FHから消えたものとしては正面のディップスイッチやヘッドフォン端子、背面の拡張スロットとデジタルRGB端子、CMT端子がありました。FE2はこれに加えて、クロック切換もセットアップモードに収録され、ハード的なスイッチは正面からは無くなっています。さらに、メインメモリアクセスがノーウエイトになったことで、FEよりも速度が約20%向上しました。

FEもFE2も背面は同じで、右からプリンタポート、RS-232Cコネクタ、アナログRGB端子、ビデオ出力、オーディオ出力(左右)、オーディオ入力(左右)、その上にサービスコンセントと電源がありました。この写真は、FE2の背面です。

 FEは、正面から見るとFHには存在していた機種名の書かれたスペースが減り、このあたりも含めてFH比25%の省スペースを実現しています。FE2は、奥行きが2mm縮んだ以外は7kgという重量含めてFEとほぼ同じで、歴代を通して一番軽いPC-88シリーズでもありました。

 キーボードはPC-8801FHなどと同じ形状ですが、クリック音のしない新しいバージョンになっています。以前のPC-88シリーズに付属していたキーボードのように、カーソルキーが横一列に並んでいて不便な操作を強いられる、ということはないので、BASICにてプログラムを入力するような場合でも、快適に操作ができました。なお、フロッピーディスクを入れずに電源をオンにすると「タダシイディスクヲソウニュウシテクダサイ」と表示されますが、セットアップモードで“システムの立ち上げ”をROMにすれば、N88-BASICを使用することが可能です。

FEでは左から、キーボードコネクタ、リセットボタン、クロック切換スイッチ、マウスコネクタ、ボリュームつまみ、電源スイッチですが、FE2では左からキーボードコネクタ、リセットボタン、マウスコネクタ、ボリュームつまみ、電源スイッチとなっています。

 FEは1988年、FE2は1989年に登場したのですが、1989年にはX68000やFM TOWNS、PC-98シリーズなど、PC-88シリーズ以上に魅力を持つ機種が市場に出回っていたので、この時期にPC-88シリーズを買うかどうかで悩んだ人もいたのではないでしょうか。

 「PasocomMini PC-8801mkIISR」では、PC-8801FE2のメインメモリアクセスノーウエイトといった設定も仕込まれているのかどうか気になるところですが、残念ながら現時点では分かっていません。このあたりは時間と共に明らかになっていくと思いますので、続報を待ちたいと思います。

 次回は、PC-8801MAの後継機種となるPC-8801MA2と、PC-88シリーズの最後を飾ったラストエンペラーPC-8801MCを取り上げる予定です。



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