エウレカは13日、マッチングアプリ「ペアーズ」の新たな事業戦略に関する記者説明会を開催した。ペアーズの海外展開やオフラインでの恋愛機会の提供、安心安全への取り組みなどが語られた。
4人に1人がマッチングアプリを利用
こども家庭庁の調査によると、既婚者の4人に1人がマッチングアプリを通じて相手と出会っているという、同社 代表取締役CEOの山本竜馬氏は、この調査を「誇りに思っている1つの数字」として取り上げ、出会いの手段としてマッチングアプリが一般化してきているとアピール。晩婚化や未婚化、恋愛離れなどが社会問題になっているなかで、マッチングアプリがこれらの社会課題解決の一助になるという世間の認識も高まってきているとした。たとえば、同社と東京都が意見交換したり、東京都自身がマッチングアプリを開発、提供したりしており、マッチングアプリ自体の認知も広がってきていると説明する。
業界大手のペアーズも、幅広いユーザーに利用されており、累計登録者数が2500万を突破している。数多くのマッチングアプリがあるなかでも、外部機関の安心安全基準を満たしていたり、業界に先駆けてマイナンバーカードのICチップ読み取りによる本人、年齢確認に対応していたりするなど、安全面についての取り組みも強化している。
同社は、この先「誰もが出会うべき人と出会える世界に挑戦する」とし、4つの枠組みで事業を展開していくという。
オフラインの価値を提案
2つ目の枠組みは「オフラインの価値」。同社 ビジネスディベロップメント ダイレクターの本多由美氏は、2023年からさまざまな企業との取り組みを実施していると話す。たとえば、KDDIとはオンライン専用ブランド「povo2.0」でデータ通信とセットになったトッピングを展開したり、DAZNと連携しJリーグの開幕戦にユーザーを招待したりしている。本多氏は「オンラインで閉じずにオフラインでの施策を実施し、オフラインの恋愛ポイントにも注目している」と説明する。
企業との連携だけでなく、コンビニエンスストアなどで購入できるプリペイドカードや福利厚生としての提供、地方自治体との施策など、ユーザーの身近なところに対しての施策も実施。このほか、他社が主催する街コンへの集客支援や“カラオケ好き”のマッチングイベントをカラオケ店で実施するなど、オフラインでの恋愛機会に対するアプローチを引き続き進めていく。
安心安全への取り組み
機能面の充実だけでなく、ロマンス詐欺などからユーザーを守るための取り組みも進めている。
たとえば、不正ユーザーの検知や排除をすべく、本人確認の強化や悪質利用者をAIや目視で確認し排除する取り組みを進めているほか、実際にユーザーが被害に遭わないように不正ユーザーの啓発活動を実施している。
本人確認では、ユーザーの顔写真と本人確認書類を用いるeKYCやマイナンバーカードのICチップ読み取りによる本人確認を実施。啓発活動では、NPO団体や警察との取り組みや、デジタルプラットフォーム事業者と連携した安全啓発活動も今後進めていく。
ロマンス詐欺の啓発活動は警察でも
会場では、ロマンス詐欺の啓発活動事例として、ソフトバンクと香川県警察が連携し開発された「SNS型投資・ロマンス詐欺被害仮想体験ツール」が紹介されていた(エウレカは直接関わっていないプロダクト)。SNS型のロマンス詐欺を実際に体験できるもので、ユーザーからの声かけに対して生成AIを活用した返信でやりとりし、最終的に金銭を要求されたり投資を呼びかけられたりする流れを体験できる。
筆者も実際に「急ぎの振込をしなければならないが、銀行のオンラインバンキングがメンテナンス中」というもっともらしい理由で、代わりに振り込むように要求された。
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