
2025年秋に登場すると目されるiPhone 17の値上げが検討されていると、アメリカ経済紙のThe Wall Street Journal(WSJ)が報じています。ただし、Appleは価格引き上げの理由として中国からの輸入品に対するアメリカの関税を挙げることを避け、代わりに新機能やデザイン変更を理由として提示する方針のようです。
Exclusive | Apple Considers Raising iPhone Prices, Without Blaming Tariffs – WSJ
https://www.wsj.com/tech/apple-iphone-price-increase-2eaebb14
WSJ: Apple Weighing Price Hikes for iPhone 17 Lineup Without Blaming Tariffs – MacRumors
https://www.macrumors.com/2025/05/12/apple-considering-price-increases-iphone-17/
アメリカと中国はスイス・ジュネーブで行った貿易協議で、相互の関税率を一定期間引き下げることで合意しましたが、トランプ大統領が合成麻薬流入を理由に発動した20%の追加関税はまだ残っており、この対象にはスマートフォンも含まれています。Appleのティム・クックCEOは、現在の関税政策により今四半期だけで9億ドル(約1300億円)の追加コストが発生し、その後さらに増加すると述べています。
この状況に対応するため、Appleは米国向けの生産をインドにシフトしており、クックCEOは2025年第2四半期(4~6月)にアメリカへ出荷されるiPhoneの過半数がインド製になると述べています。
2027年までにiPhoneの50%がインドで生産されるようになる可能性 – GIGAZINE
一方で、iPhone 16 ProやiPhone 16 Pro Maxといった収益性の高いハイエンドモデルについては、中国の工場が依然として生産の大部分を担当するとのこと。インドの工場もProモデルの生産は可能ですが、中国のスケールでの大量生産をサポートするためのインフラと技術的能力はまだ十分ではないとされています。
こうした背景の中で、トランプ関税がiPhoneの価格に与える影響は大きく、値上げは避けられないとみられています。
しかし、Appleは値上げの理由をトランプ関税のせいであると見なされないように注意を払っているとのこと。WSJは、2025年4月にAmazonが金額に関税の値上げ分を併記しようとしたところ、ホワイトハウスからの圧力がかかって撤回した事例を紹介し、「Appleは最悪の選択肢として、関税ではなく新機能やデザインの変更で値上げせざるを得なくなったことにするだろう」と述べています。
Amazonは金額に関税の値上げ分を併記する予定だったが圧力に屈して撤回した – GIGAZINE
Appleは実質的には関税による追加コストを消費者に転嫁することになりますが、公式には「新機能やデザイン変更」という別の理由を前面に出して、政治的な摩擦を避けようとしているというわけです。
なお、iPhoneの価格引き上げに対する市場の反応はさまざまで、「インフレで既に家計が厳しい状況で、画期的な機能がなければ現在の端末を長く使うか旧モデルを購入する消費者が増えるだろう」という懸念や、「安い競合製品へシフトする可能性」を指摘する声もあります。
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