法人向けのIoTデータ通信SIMやノーコードIoTプラットフォーム「MEEQ(ミーク)」を提供するミークは、2025年4月9日、IoT関連で2つの新サービスを提供開始した。IoTセンサーが計測する温度や湿度などの状態変化を検知/通知するサービス、IoTデバイスの死活監視を行うサービスの2つだ。新設した「MEEQ APPS」カテゴリのサービスとしてラインアップされる。
これらの新サービスは、ミークがファミリーマートとの取り組みで開発した機能をサービスメニュー化したもの。記者説明会では、サービスの概要や開発背景が説明された。
IoTデータの変化や通信途絶を検知/通知する新サービス
ミークではこれまで、法人向けIoTデータ通信に特化した「MEEQ SIM」や、IoTデータを蓄積する「MEEQデータプラットフォーム」、そのデータを自動処理する「MEEQ AI」といったサービスを提供してきた。
今回は、それらで取得したIoTデータを活用する新たなサービスカテゴリ「MEEQ APPS」を新設。その第一弾として、2つの機能(サービス)を提供開始した。
1つめの「データモニタリング」は、センサーからIoTストレージに収集するデータを監視し、あらかじめ指定した条件(しきい値)に合致した場合に通知(メール、webhookに対応)を行う機能だ。たとえば、製造設備の温度や湿度、電力消費量の監視など、幅広い用途に使える。
2つめの「デバイスヘルスチェック」は、IoTデバイスの死活監視機能である。センサーからのデータが、一定の時間途絶した場合に通知を行う。このサービスは通知数や設定数の制限を設けておらず、通信途絶が頻繁に発生するケースでも確実に異常検知できる点を特徴としている。
2つの機能のサービス価格(税込)はいずれも、初期費用が1万1000円、月額基本料が220円、1回ごとの実行料が0.275円、設定変更は1回あたり5500円。なお、これらの価格は契約回線数(SIM数)には依存しない。
また、SIMや閉域ネットワーク、IoTストレージ、データハブといった関連サービスの料金は別途かかる。これらを盛り込んだ最小構成時※注の利用料金は、初期費用が13万4750円、月額利用料が5万5724円と試算されている。
※注:センサー1台とSIM 1枚を使って「1時間に1回、10バイトのデータ送信」「1時間に1回、データモニタリング」「1日に1回、デバイスヘルスチェック」を実行する環境をベースに試算。
ファミリーマートの店舗設置機器向けサービスをベースに開発
ミークは、ソニーネットワークコミュニケーションズ(SNC)のMVNE事業部門がスピンアウトするかたちで2019年に設立された。2021年に法人向けIoT通信回線プラットフォーム「MEEQ」の提供を開始し、2022年に現在の「ミーク」に社名変更した。
現在、ミークのIoT基盤サービスは、ソニーグループのタクシー配車サービス「S.RIDE(エスライド)」のタクシー~サーバー間通信、競馬テレビ中継向けに各馬の位置情報をトラッキングするシステム、バスや電車などのクレジットカードタッチ決済システムなどに利用されているという。3キャリアに対応したMEEQ SIMの閉域網接続によって、セキュアで低遅延、安定した通信ができる点を特徴としている。
今回提供を開始した新サービスは、ミークがファミリーマートとの取り組みを通じて開発した機能をベースに、一般向けサービスとして展開するものだという。ミークでは2024年5月、ファミリーマートとの資本業務提携を発表している。
ファミリーマートでは、コンビニエンスストア店舗の節電/省エネ化を目的として、東日本を中心とした約1100店舗に「CO2換気制御機器」を導入している。これは、店舗内のセンサーで計測したCO2濃度に基づいて換気扇のオン/オフを自動制御するもので、店舗全体の電気使用量をおよそ2%程度の節電につながるという。
このCO2換気制御機器の正常動作を確認するために、MEEQのSIMやIoTストレージを活用した、稼働状況の可視化機能や通知機能が開発、導入されている(現在はおよそ450店舗で導入)。これが、今回提供を開始した2つのサービスのベースとなった。
ミークによると、コンビニエンスストアの既存システム/ネットワークに新たなシステム(CO2換気制御機器)の通信を統合するのは簡単なことではなく、低コストのIoT SIMを使って手軽に“外付け”できることから、ミークのサービスが選ばれたという。
ミークでは、今後も顧客の多様なニーズに対応するべく、MEEQ APPSの機能を順次拡張していく方針だと発表している。
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