Epic GamesのCEOであるTim Sweeney氏は、5月4日にYouTubeにて公開されたLex Fridman氏のポッドキャスト番組に出演し、Unreal Engine 6(以下、UE6)の展望を語った。Tim氏によると、「デモ版は少なくとも2年先になる」という。海外メディアCreative Bloqなどが伝えている。
Unreal Engineはこれまで業界で多く使われてきたゲームエンジン。2022年に正式リリースした「Unreal Engine 5」(以下、UE5)は仮想ポリゴンシステムであるNaniteや光源システムのLumenなどによって、一定のパフォーマンスを保ちつつよりフォトリアルなゲーム開発が可能となった。

そして今回Tim氏はポッドキャスト番組にて、UE5の後継バージョンとなる“UE6”について言及。同氏によるとUE6では、現在別々に開発されている、Unreal Engine 5と『Fortnite』向けのコンテンツ制作ツール「Unreal Editor for Fortnite(UEFN)」との統合がおこなわれるという。リリース版では後方互換性を保ちながら、機能を徐々に追加していく構想とのこと。すでに開発が進んでいるものの、デモ版のリリースに少なくとも2年以上見込まれている段階だそうだ。
なお現在UE6に関わる取り組みは、すべてUEFNの環境内でおこなわれているという。今後『Fortnite』向けのコンテンツクリエイターとともにメタバースでの活用事例を通じて検証と改善を重ね、UEユーザー向けにも展開されていく計画とのこと。なおUEではプログラミング言語としてC++が用いられるのに対して、UEFNでは独自のプログラミング言語Verseが採用されており、現状ではプログラミング機能が限られた状態となっている。そのためVerseに機能追加をおこない、UEユーザーが求める高度なAPI機能が十分に揃った最終形として、UE6が構想されているそうだ。Verseによるより簡単なプログラミング環境とあわせて、大規模なシミュレーションに対応できる拡張性も実現する、“良いとこどり(the aim for UE6 is to bring the best of both worlds together )”のゲームエンジンとして構想されているという。
またUE6では最終的には開発したゲームを、『Fortnite』内の「島」として配信するか、スタンドアロンなゲームとして配信するか、あるいはその両方でリリースするかを選べるという。なおその際には、スタンドアロンなゲームとして販売する場合でも、『Fortnite』の島での収益化も受けられるように制度が整備される予定だという。また一度ゲームを作れば、あらゆるプラットフォームに展開できるようなゲームエンジンを目指しているとのこと。
このほかTim氏によると、UE5が抱えている課題への対処として、UE6ではCPUのマルチスレッドアーキテクチャを採用するとも説明。マルチコアCPUの性能を最大限に引き出すとしている。
UE5での課題の解消も目指しつつ、UEFNとの統合がおこなわれるというUE6。デモ版まで2年以上、リリースも数年後とのことで正式な披露はしばらく先となりそうなものの、開発が進められているようだ。近年UEはスタジオ規模を問わず採用例が多く、業界を代表するゲームエンジンとなっている。Nintendo Switch 2向けのサポートも表明されており、今後のシェア拡大も予想されるところ。将来UEFNとの統合を経たUE6が、業界にどのような影響をもたらすのかも注目される。
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