国際総合物流の日新は12日夜、創業家ら経営陣が参加する買収(MBO)により非公開化を目指すと正式に発表した。米投資ファンドべインキャピタルが日新株の公開買い付け(TOB)を実施する。買い付け総額は1100億円を超える見込み。
発表資料によると、日新は同日の取締役会で株式の非公開化・上場廃止を前提にベインが実施するTOBへの賛同表明を決めた。一般株主にはTOBへの応募を推奨する。TOB価格は1株8100円で、9日の終値(5350円)に対して51%のプレミアムが付く形となる。
TOBは13日から7月8日まで実施。買い付け株数の下限は60.35%とし、上限は設けない。ベインは買い付け予定数を約1385万株としており、総額で1122億円となる。
物流業界では、2024年に導入されたトラック運転手の時間外労働規制を契機に再編の機運が高まり、昨年以降買収提案が飛び交っている。一方、再編の流れからは距離を置き、MBOなどで独自に成長を模索する動きもある。日新は物流に関してベインが持つノウハウや資金力を得て、成長分野への投資に集中する。
ベインは創業家である筒井一族や筒井家の一部関連会社と個別に公開買付応募契約を結んだ。日新の筒井雅洋社長と筒井昌隆専務はともに創業家出身。

ブルームバーグは9日の取引終了後、日新がMBOにより非公開化する方針であることを報じた。日新の株価は週明け12日、朝方から買い気配を切り上げ、前営業日の終値から制限値幅いっぱいの1000円(19%)とストップ高で取引を終了した。