
ドナルド・トランプ氏がアメリカ合衆国第47代大統領に就任した直後、GoogleはGoogleマップで「メキシコ湾」の表記を「アメリカ湾」に変更しました。この表記変更について、メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領が、Googleを訴えたことが明らかになっています。
Mexico says it’s suing Google for labeling Gulf of Mexico as Trump-preferred Gulf of America – CBS News
https://www.cbsnews.com/news/mexico-sues-google-gulf-of-mexico-gulf-of-america-label/
Mexico is suing Google over how it’s labeling the Gulf of Mexico | The Verge
https://www.theverge.com/news/664796/mexico-lawsuit-google-gulf-of-mexico-america
2025年1月20日にトランプ大統領が誕生してから、同氏は複数の地名を改称する大統領令に署名。そのひとつが「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に改称するというものでした。これに合わせて、GoogleはGoogleマップでの「メキシコ湾」の表記を「アメリカ湾」に変更。ただしこれはアメリカからGoogleマップにアクセスした場合のみで、メキシコからGoogleマップにアクセスした場合はこれまで通り「メキシコ湾」と表示され、アメリカおよびメキシコ以外の地域からアクセスした場合は「メキシコ湾(アメリカ湾)」と併記されます。
Googleマップが「アメリカ湾」へ表記を変更、ただしメキシコでは「メキシコ湾」表記を継続 – GIGAZINE
これに対して、シェインバウム大統領がGoogleに抗議の書簡を送付したことが明らかになりました。メキシコは「アメリカ湾」という表記は、アメリカ大陸棚上の湾岸部分にのみ適用されるべきだと主張しています。
Googleマップで「メキシコ湾」が「アメリカ湾」に変更される件にメキシコの大統領が抗議、「アメリカ」を「メキシカン・アメリカ」に変更することも提案 – GIGAZINE
しかし、Googleの政府関係・公共政策担当ヴァイスプレジデントを務めるクリス・ターナー氏が、メキシコ政府に対して「方針変更の予定はない」と回答したことが明らかになっていました。
さらに2025年5月8日(木)には、トランプ大統領によるアメリカ湾への名称変更を法制化する法案が、アメリカの下院で可決されています。これにより、連邦政府機関は名称変更に伴う地図の更新が義務付けられました。
その翌日となる2025年5月9日(金)、シェインバウム大統領がGoogleを訴えたことを明かしています。シェインバウム大統領は記者会見の中で、「州名、山名、湖名の変更については、私たちは何も言えません。ですから、アメリカの領土に相当する部分については、彼らがどう呼ぼうと自由です。しかし、メキシコに相当する部分は改名することができません。キューバに相当する部分も同様です。私たちはGoogleにただ『アメリカ政府の発布した命令に従う』ことを要求しています。アメリカにはメキシコ湾全体に名称を付ける権限はありません。なぜなら、それは国際的な帰属だからです」と言及しています。
以下がシェインバウム大統領による記者会見の映像です。
Más de 5 mil participantes inscritos en México Canta. Conferencia presidenta Sheinbaum – YouTube

CBS NewsはGoogleにコメントを要請していますが、記事作成時点で返答は得られていません。
なお、トランプ政権は非政府機関に対しても「メキシコ湾」を「アメリカ湾」と表記することを求めています。しかし、AP通信がこの名称変更に従わなかったため、トランプ政権は同メディアの記者によるホワイトハウスの一部施設へのアクセスを禁止しています。ただし、連邦裁判所はトランプ政権に対してアクセス制限の解除を命じました。
なお、Apple純正の地図サービスである「マップ」でもメキシコ湾の表記が「アメリカ湾」に変更されています。
Apple純正「マップ」でもメキシコ湾が「アメリカ湾」表記に変更へ – GIGAZINE
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