食品メーカー最大手、ネスレの米国部門ネスレUSAは、原材料価格の高騰を理由に一部のチョコレート製品の価格を引き上げる。甘いお菓子が、消費者にとって割高な状態が続くことを示している。
ブルームバーグ・ニュースが確認したメモによると、ネスレUSAは6月23日から「トールハウス」チョコレートチップクッキーや製菓用ココア、ファッジキットの価格を引き上げる。
事情に詳しい関係者によると、同社は昨年末に一部の原材料サプライヤーに対し、価格引き下げや払い戻しの提供、場合によっては供給契約の取り消しを要請する書簡を送付した。しかし、一部サプライヤーは要請を拒否したと、関係者は非公開情報だとして匿名を条件に語った。
書簡はサプライヤーごとに、砂糖やコーヒーなど同社が購入する幾つもの製品に関する要求を詳細に記していたと、関係者は述べた。
食料品全般の価格上昇が落ち着く中でも、チョコレートや一部の食品の値上がりは続いている。昨年終盤には供給不足によりカカオ豆先物相場が記録的な高水準に達し、各メーカーは製品価格の引き上げを余儀なくされた。
ネスレと競合他社は、過去1年間でカカオ豆やコーヒー豆のコスト急騰に直面し、利益率確保のために価格を引き上げた。こうした値上げは、ネスレが先月発表した1-3月(第1四半期)決算で売上高が予想を上回る伸びとなった主な要因だ。
ローラン・フレイシェ最高経営責任者(CEO)は決算発表の電話会見で、「競争の激しい環境下で消費者の反応を念頭に置きつつ、コストをカバーするために可能な限りの価格」設定を行っていると説明していた。
原題:Nestle to Raise Prices of Some US Chocolate on High Cocoa Costs(抜粋)