モンスターを捕まえて育てる人気ゲーム『パルワールド』の開発元Pocketpairは、『ポケモン』シリーズと似すぎていると指摘された要素を削除する一方で、ゲームのさらなる進化を目指すと明らかにした──。
2024年に早期アクセス版が登場し、瞬く間に人気作となったアクションRPG『パルワールド』。しかし、ポケモンに酷似した作品内容から「これは任天堂が黙っていないだろう」と多くのゲーマーが予想した通り、リリースから約8カ月後、任天堂と株式会社ポケモンは同作を特許侵害で提訴した。
現在、その訴訟の影響はゲームプレイそのものにも及び始めている。開発元のPocketpairは2024年11月と2025年5月のアップデートで、ポケモンの「モンスターボール」に酷似した捕獲アイテム「パルスフィア」や、ポケモンに乗って滑空するシステムに似た「パルに乗って空を滑空する」機能を削除した。
Pocketpairは公式ブログの投稿「訴訟問題と『パルワールド』の今後について」で、これらの変更が任天堂らとの「訴訟の影響によるもの」だとはっきり認めている。
さらに同社は、「Pocketpairの全員が、このような調整を行う必要があったことに落胆しており、多くのプレイヤーが同じように感じていることを私たちは十分に理解しています。残念ながら、他の選択肢では、プレイヤーのゲーム体験がさらに損なわれることになったため、この変更が必要であると判断しました」と胸の内を明かした。
任天堂から現時点でコメントを得られていない。
とはいえ、訴訟問題を抱えながらも『パルワールド』の提供は続いており、現在PlayStation 5、Xboxシリーズ、PCでプレイ可能であり、スマートフォン版も引き続き開発中とのことだ。
「パロディ」か「特許侵害」か、法廷での攻防
『パルワールド』が直面している訴訟問題の核心は、このゲームが果たして「ポケモン」のパロディとして法的に保護されるのかどうかという点にある。これが、訴訟が著作権侵害ではなくゲームのメカニクスに焦点を当てた特許侵害となっている理由かもしれない。
ゲーム業界の法規制や訴訟問題に詳しい専門家である、Games Frayのフロリアン・ミューラー氏は、この問題についてSNSで積極的に見解を発信している。ミューラー氏によれば、Pocketpairが今回行った変更は、任天堂側の訴訟理由を大きく揺さぶる効果があるという。
同氏はX(旧Twitter)への投稿で次のように分析する。「今回の修正はPocketpairがアメリカ市場での訴訟リスクを回避するための非常に効果的な『抜け道』となるでしょう。今回の修正で当面の訴訟リスクを避けつつ、長期的には特許そのものを無効にできれば、削除したゲーム要素を再導入することも可能になるかもしれません」
さらにミューラー氏は、任天堂の今回の訴訟行為を「弱い者いじめ」と批判し、次のように続けた。
「今回任天堂が問題としている特許自体、画期的な技術的進歩をカバーしているとは言えません。こうした訴訟がまかり通れば、ゲーム業界全体に深刻な悪影響を及ぼします。任天堂の保有する米国特許は約2000件ですが、ソニーは4万7000件、マイクロソフトに至っては5万3000件も持っています。もしこれらの企業まで任天堂のように訴訟攻撃を繰り出したら、一体どうなるか考えてみてください」
コンセントに挿して充電器にもなるAnkerのモバイルバッテリー(価格をAmazonでチェック)
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
Views: 2