バッファローが、創業50周年を記念して限定50台の「スケルトンハードディスク HD-SKL」の抽選販売を2025年5月1日に開始した。4TBの容量で、透明な「スケルトンウィンドウ」を通じて磁気ヘッドの動作を視覚的に確認できるこのモデルは、1998年にキャンペーン向けに登場した初代「スケルトンハードディスク」、1999年にIEEE1394接続になり500台限定販売された2代目スケルトンハードディスクこと「DIL-SKL」に続く3代目となる。これまでとは違い、アルミ切削筐体と専用アプリ「SeekWizard」を採用している。
バッファローで今回の企画を担当した根本将幸氏、開発担当の浜武大輔氏と、広報の杉江和美氏(以下敬称略)に話を伺った。
50周年記念プロダクトについて
すまさ 50周年という節目ということもあると思いますが、今回のバッファロー50周年記念プロダクトについて教えてください。同時に公開された創立50周年特設ページなどにも気合いが入っていますよね。
杉江今回は製品としてスケルトンハードディスクの限定モデルを出します……というところが大きいですが、ほかにも特設ページは、もちろん名古屋駅でサイネージ広告を展開したり、日本経済新聞の一面に広告を掲載したりしています。お客様や取引先様に「50年今までありがとう。これからもよろしくね」という感謝をお伝えできればと考えています。
今回スペシャルなモデルとなるスケルトンハードディスクを販売することで、お客様へより楽しんでもらえたら嬉しいです。
バッファロー50周年を記念して名古屋駅にてサイネージ広告を展開中です🐮↓写真撮ってきました📸
・JR名古屋駅中央コンコース 全100面
・太閤通口”銀の時計”前
・桜通口エスカレーター 一部
名駅にお立ち寄りの際はぜひご覧ください🐃期間:5月11日(日)まで
※駅及び駅員への問合せはご遠慮くださいpic.twitter.com/KJZ6vEODQ9— バッファロー【公式】 (@BUFFALO_jp_info)May 8, 2025
根本前回は40周年モデルとして、赤い無線LANルーターや赤い外付けHDDを販売しましたが、50周年でも何かやろうという動きがありました。そこで今回は「スケルトンハードディスク」をバッファロー50周年のプロダクトとして再び取り組むというテーマから決まりました。50台という台数についてもこのタイミングで決まっています。
すまさまずはスケルトンハードディスクをやるというところから決まったのですね。その後どのようにして企画は進んだのでしょうか?
根本まずデザインを作り、それを実現するために各部門が開発に取り組みました。特に機構設計部門が工夫をしてくれたおかげで実現できた物もあり、がんばってくれたと思います。
すまさ1998年にキャンペーンでプレゼントした初代スケルトンハードディスクや、1999年に500台限定で販売した2代目のDIL-SKLのデザインでそのまま復刻するということはしなかったのですか?
根本50周年を背負っているプロダクトなので、過去と未来を繋ぎ挑戦する製品を作りたいという思いがありました。ただ単にそのままのデザインで復刻をすると過去を見るような会社になってしまうので、テーマとしては先代のスケルトンハードディスクを引き継ぎつつ、今出すのであればどういうものが良いのかデザインチームも含め多くの社内のメンバーと一緒に取り組みました。
開発時のエピソード
すまさ開発時のエピソードについて教えてください。先代のスケルトンハードディスクの時はHDDのトップカバーを外してもそれなりに動いていたという話は聞いたことがありますが……。
浜武まず、通常のオフィス環境で試したところ、トップカバーを外して戻すだけで動作しなくなってしまいました。そこで、社内にHDDの製造で使用される相当の清浄度となるクリーンベンチを設置して開発を進めることにしました。
実際に製品となる50台については弊社の協力工場にあるクリーンルームで製造されます。
根本初代の時とは1プラッタあたりの記録密度が違いますから難易度がかなり上がっていると感じました。同じアプローチで製品化する場合、これ以上記憶容量が上がると実現が困難になるかもしれませんね。
すまさオフィス環境ではすぐ動かなくなってしまうのですね。今まで以上にホコリ対策が重要になりそうです。
根本実はホコリ対策として、クリアパネルについては二重になっています。HDDのトップカバーをまるでくりぬいたように見えるように仕上げています。
すまさこのクリアパネルの素材は普通のアクリル板なのでしょうか?
根本実はアクリルではなくちょっと特別なパネルを採用しています。もちろん実際に購入して調査すれば分かってしまうのですが……。
すまさなるほど……まず当選しなければいけないわけですね(笑)。採用されているHDDのスペックやメーカーを教えてもらうことはできますか?
根本HDDメーカーさんの都合もあるので非公開となりますが、最終的にこのモデルのこの容量のドライブでなければ実現できなかったレベルでした。
浜武スペックとしては1プラッタあたり2TBのドライブを採用しています。
すまさHDDから先の構成はSATAー>USB変換基板を経由してPCへ接続するかと思いますが、接続端子がUSB 3.2 Gen 1 Micro-Bなので、この基板はHD-LE-Bシリーズをベースにしているのでしょうか?
浜武ご推察の通りです。
根本50周年で50台限定のプロダクトなので、作れる物は何かというところからの逆算ですね。
すまさデザイン的に変換基板からHDDまで角度がついて曲がっているわけですが、ライザーケーブルのような物を間に使用しているのでしょうか?
根本これはこだわりなのですが、赤色のSATAケーブルとSATA用電源ケーブルを採用しています。黒にして目立たせなくするという手もあったのですが、あえてこの色にしました。
ただ、汎用品でこの長さというものは市場にないため特注で作っています。
すまさ製造時にクリーンルームを使うとは言え、耐久性については気になるところです。実際のところどうなのでしょう?
根本社内の品質基準については、先代のスケルトンハードディスクが発売された時と比べて厳しくなっています。
浜武今回のスケルトンハードディスクは現在バッファローで発売するために必要な品質基準を満たしています。たとえばEMI(電波干渉)やESD(静電気放電)といった各種試験もパスしました。
根本数カ月間、製品相当のサンプルでリードライトを行なうランニング試験を行なっています。これは現在も続いているのですが、まだ一度もエラーは出ていません。
すまさ品質としてはほかのバッファロー製品と同じレベルという認識で問題なさそうですね。しかし保証期間が1カ月と短いところはなぜなのでしょうか?
根本社内でもかなり議論はあったのですが、先代のスケルトンハードディスクの保証期間も1カ月でしたので、そこを参考にしました。特殊な仕様や製造工程というところもありますが、コンセプトや体験を楽しむ物ですよというメッセージに近いですね。
すまさほかにもこだわりのポイントはありますか?
根本カラーリングやデザインですね。1978年に発売された糸ドライブプレーヤー「3533」をオマージュしたカラーリングを採用しています。ほかにもパッケージもこだわっており、特別なパッケージデザインを使用しています。
応募状況について
すまさ今回は50台の狭き門なのですが、現時点(取材日の5月9日)ではどれくらいなのでしょうか?
杉江具体的な数は申し上げられないのですが、公開初日から多くの方に応募をいただいております。
根本自分たちでも欲しいものを作ってきたつもりなので、蓋を開けてみたらこんなに応募してくれた方がいらしたことにほっとしました。冷静に考えて4TBで10万円ですからね。
最後に
すまさ最後にこれだけは言っておきたいということはありますか?
浜武先代から約25年ぶりということもあり、ほぼ一から開発をスタートしたところが大変でした。開発中に何度も諦めかけたこともありましたが、上長からの鋭いアドバイスで解決できたこともありました。今回スケルトンハードディスクのプロジェクトに携わることができ自分自身とても達成感がありました。是非応募してお手にとっていただきたいです。
根本本当に多くの方に応募いただき、たくさんの方に支えられているなと改めて感じました。
会社の取り組みを見てくれている人がいるということに少し気が引き締まる思いもありましたね。
コスパの観点で言えば4TBのHDDに10万円というのはナシじゃないですか。でもこの提案で多くの方が応募していただいたということに元気づけられました。
杉江50年間今まで支えていただいたことに感謝と今回のスケルトンハードディスクについてご興味がある方は是非応募いただきたいなと思っています。
今後のバッファローもお客様に寄り添った商品を作っていきますのでこれからもよろしくお願いいたします。
すまさ本日はありがとうございました。
こちらの「スケルトンハードディスク HD-SKL」は2025年5月25日23時59分まで応募受付している。欲しい!と思った読者は応募を忘れないよう気をつけほしい。
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