

サービス業で働く人々のうち、女性管理職の比率が約2割にとどまる沖縄。そんななか、「社会に『居場所』が欲しい」と一念発起し、30代半ばで正社員となった女性がいる。仕事と子育てを両立する一方で、親族からの非難や男性同僚からの攻撃もあったというが――そのキャリアヒストリーを紹介しよう。※本稿は、著者名『地方で拓く女性のキャリア 中小企業のリーダーに学ぶ』(光文社新書)の一部を抜粋・編集したものです。
子育てとの両立を考え
無理のない仕事を選んだ
那覇から北へ車で約1時間。名護市の中心部に本社をおく前田産業ホテルズを目指した。同社は、沖縄北部を中心に5つのホテル、マルシェを経営する。
創業の地は、名護市の中心部から車で3分ほどのホテルゆがふいんおきなわ。名護湾に面し、眼前には真っ青な海が広がる。斜め前には日本ハムが毎年キャンプを行う野球スタジアムを望む。
話を聞いたのは、財務・管理部次長の山田リサさん。
30代半ばで同社に転職して経理財務畑でキャリアを積み、2023年次長に昇進した。オーシャン・ビューの光まぶしい会議室で聞いたキャリアヒストリーは、実に骨太のものだった。
「妻でもない、母でもない、社会のなかで居場所が欲しい」
山田さんは30歳を超えたころ、こんなヒリヒリする思いを抱えるようになった。20代で結婚し、3人の子どもに恵まれてからは非常勤として働いてきた。
経理という手に職がありながらも、子育てとの両立を考えて無理なく続けられる職場を選んできたのだ。
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