アップルのシリコン設計チームは同社初のスマートグラスや、より高性能なパソコン「Mac」、人工知能(AI)サーバーなど、将来のデバイス向けに新しいチップの開発を進めている。関係者が明らかにした。スマートグラス市場ではメタ・プラットフォームズが展開する「レイバン」ブランドが先行している。
アップル本社(カリフォルニア州)の担当者はコメントを控えた。

メタのスマートグラス「レイバン・メタ」
Photographer: David Paul Morris/Bloomberg
スマートグラス用プロセッサーはApple Watchの省電力チップをベースに、一部部品を除くことで電力効率を高めた設計になっている。スマートグラスに搭載される複数のカメラを制御するように設計され、量産は2026年末から27年をめどに予定されている。製造は台湾積体電路製造(TSMC)が担う。
アップルは当初、AR(拡張現実)を活用して現実世界にメディアや通知を重ねるスマートグラスを目指していたが、ARの実用化は依然長期を要するため、現在は非AR型のスマートグラス開発にも注力している。
アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、メタに対抗してスマートグラス市場で主導権を握ることを目指していると、ブルームバーグ・ニュースが過去に報じている。しかしメタもディスプレー搭載のプレミアムモデル投入、さらに2027年のARメガネ発売を計画している。アップルは現在のところ、周囲の環境をカメラでスキャンし、AIでユーザーを支援する方式を模索しており、AI技術の向上が鍵とされている。

AirPods と Apple Watch
Photographer: Nic Coury/Bloomberg
過去のブルームバーグ・ニュース報道によれば、アップルはAirPodsやApple Watchにカメラを搭載し、AIデバイスとして進化させる構想も進めている。そのための半導体や部品は、2027年前後の完成を目指している。
iPhoneにはすでに、コンサートのポスターをスキャンして予定をカレンダーに追加するなどの「Visual Intelligence」機能が実装されている。さらにMac向けには「M6」や「M7」といった新プロセッサーに加え、さらに高性能のチップ開発も進行中で、早ければ年内に「M5」がiPad ProやMacBook Proに搭載される可能性がある。
AIサーバー用のチップは、Apple Intelligenceのリクエストを処理しユーザーのデバイスに情報を提供する専用プロセッサーとして、初の試みとなる。ウェブメディアのジ・インフォメーションが報じたところによれば、このプロジェクトはブロードコムと共同開発した部品を用いる。完成は27年までに見込まれている。アップルはこの取り組みの一環として、別のタイプの半導体も検討しており、その一つは現行「M3ウルトラ」に比べて、メインのプロセッシングコアおよびグラフィックスコアの数を2倍、4倍、あるいは8倍に増強したものの開発を検討している。
原題:Apple Is Developing Specialized Chips for Glasses and AI Servers(抜粋)
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