米銀大手シティグループは米経済が減速し企業の業績見通しが引き下げられても、投資家は米国から資金を引き揚げるべきではないとの考えだ。アジアのウェルスマネジメント幹部が明らかにした。
「米市場の完全撤退を顧客に推奨しない」とシティグループで南アジアのウェルスマネジメントを率いるイェオ・ウェンシアン氏は7日、シンガポールで開かれたブルームバーグのイベントでインタビューに答えた。
イェオ氏は一方で、今はリスクを追加すべき時期ではないとも指摘。今年の株価下落を受けた「押し目買い」は控えるべきだとし、債券やマネー・マーケット・ファンド(MMF)に資産をシフトするポートフォリオ調整を推奨した。「針路を変更せず、投資を続けるべきだ」と述べた。

動画:シンガポールのイベントに登壇したシティグループのイェオ・ウェンシアン氏
出所:ブルームバーグ
米経済の減速懸念を背景に、アナリストは企業の業績予想を引き下げている。モルガン・スタンレーの分析では、S&P500種株価指数に採用された企業を対象にしたアナリストの業績修正幅(上方修正と下方修正の比率)は、リセッション(景気後退)ではないにもかかわらず極端なダウンサイドを示している。
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イェオ氏は2024年にDBSグループ・ホールディングスからシティに移籍し、グローバルウェルス責任者アンディ・ジーク氏の直属で、南アジアとアラブ首長国連邦(UAE)のリテールウェルス業務を統括している。
ジーク氏が23年にバンク・オブ・アメリカ(BofA)から移籍して以降、シティはウェルス戦略を刷新し、収益と利益を押し上げている。同部門の1-3月(第1四半期)収入は24%増加した。
シティは25年末までに2万人の人員削減を予定しているが、アジアではプライベートバンカーと投資アドバイザーを今年10%以上増やす方針だ。同行が力を入れているのは、富裕層を対象とした次世代への資産継承だ。スイスのUBSグループは今後30年間で83兆ドル(約1京2003兆円)余りの資産が相続されると予測している。
イェオ氏は25年通期の業績に強気の姿勢を維持している。「ダイナミックで変動も大きいだろう」と述べ、追い風が吹いていると指摘。「実際のところ、年末までの期間を非常に前向きかつ楽観的にみている」と語った。
原題:Citigroup’s Yeo Urges Investors to Stick With US, Avoid New Risk(抜粋)
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