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シンガーソングライター兼漫画家「城戸胎生」は、見つかるべき“異能”である – KAI-YOU



異能の持ち主がいる

シンガーソングライター/漫画家の城戸胎生(きどたいせい)さんは、その肩書きの通り、音楽活動と漫画執筆の両方を自ら手がけている。

1曲につき1作の漫画を描き上げるという異色のスタイルで活動し、楽曲とMVと読み切りの漫画がリンクするような作品世界をたった一人でつくり上げている。

最も再生されている城戸胎生さんの楽曲「エルザ」MV

それぞれの楽曲のクレジットには「原作/作詞/作曲/編曲/歌唱/映像:城戸胎生」とある。

はっきり言って、これだけ多方面なクリエイティブを一人でこなすというのは、尋常ではない。相当なスキルである。

城戸胎生さんの漫画『エルザ』 城戸胎生さんの漫画『エルザ』/画像はXより

漫画は小学館の漫画アプリ「サンデーうぇぶり」にて、2025年4月時点で『リンダ』『ウザ』『ジェーン』『マドンナ』の4作が掲載されている。YouTubeには同じタイトルを冠した4曲を公開。そのほか、Xに投稿された漫画『エルザ』『メイ』を原作にした同名の楽曲なども発表されている。

文:柴 那典 編集:都築陵佑

音楽、歌唱、漫画、映像すべて自ら手がけるマルチクリエイター・城戸胎生

もちろん、音楽だけでなくイラストや映像も自ら手がけるインターネット発のマルチクリエイターというのは、昨今のシーンにおいては異例な存在ではない。

たとえば、ジャケットやアートワークのイラストを自ら描いている米津玄師さんはその代表格と言えるだろう。Vaundyさんを筆頭に、自らの作品のデザインや映像をディレクション/セルフプロデュースするアーティストも少なくない。

VOCALOID(ボーカロイド、以下ボカロ)シーンを見ても、たとえば「きゅうくらりん」で脚光を浴びたいよわさんのように、楽曲とサムネイルに使用するイラスト、それを用いたアニメーションのMVを自ら手がけるクリエイターは他にもいる。

それでも、城戸胎生さんのスタイルと作品性はとてもユニークだと思う。

城戸胎生さんは、2001年10月12日生まれ。中学生のころに米津玄師さんの作品に出会い、同一人物が音楽と絵どちらも手がけていることに衝撃を受け、そのスタイルに感化されたことが、現在の活動の原点にあるという。

音楽活動のスタートは2017年、高校生の時だ。音楽と絵を一人でつくる「ボカロP・テラ」として、インターネット上での活動をはじめた。

ボカロP・テラ時代の楽曲「草々不一」

そこから徐々に絵の才能が開花し、評価を集めたことから、2020年にはボカロPではなく「イラストレーター」に活動の主軸を移行(2024年に同名義での活動を引退)。

並行して、2021年からは「シンガーソングライター・城戸胎生」の活動をスタート。作詞・作曲・編曲とイラスト・映像に加え、歌唱も一人で担うスタイルで音楽活動を再開させた。

そして、2024年からは前述したような、音楽と漫画をメディアミックスするスタイルでの創作に取り組み、現在に至っている。

「漫画を読む→楽曲を聴く」という導線を持つ特異性

このようなメディアミックスのあり方も、とても興味深い。

もちろん、メディアミックス自体は、特に城戸胎生さんの出自であるボカロ文化においては一般的だ。楽曲から派生して小説やアニメや漫画が展開するという例は数多く存在する。逆に、「小説を音楽にするユニット」としてJ-POPを代表する存在になった、YOASOBI(コンポーザーのAyaseさんはボカロP)のような例もある。

そういう文脈の中で、城戸胎生さんの表現が持つ特異性は、漫画に情念が宿っていることだ。そこに体重が乗っている

読み切り作品としてのクオリティの高い構成力、踏み込んだストーリー性を持つ漫画作品を発表し、それを“セルフメディアミックス”する形で楽曲を発表しているのである。

音楽と漫画のどちらが“主”でどちらが“従”であるかを明示しているわけではない。しかし明らかに言えるのは、漫画がそれ単体で楽しめるものであるということだ。

写実的なタッチの絵柄、毒やエグ味のあるキャラクター、いじめなど思春期の陰惨なモチーフ、セクシャルな描写も盛り込みつつ独特の読後感を残す作風には、読んでいて自然と惹き込まれるものがある。

城戸胎生さんの楽曲「ウザ」MV

そしてその余韻を感じつつMVを再生し楽曲を聴くと、主人公の葛藤や感情の揺れがより臨場感を持って伝わってくる。こういう類の体感は他にない。というのも、ボカロ文化と漫画のメディアミックスの関係性は、そのほとんどが“コミカライズ”によるものだからだ。

黒うさPさんの「千本桜」にしてもじんさんの「カゲロウプロジェクト」にしてもChinozoさんの「グッバイ宣言」にしても同様である。

最初に楽曲があり、(しばしばそれをもとに小説が書かれ)その後漫画化する。ストーリーをボカロP自身が手がけるパターンもあるが、漫画はその原案をもとに別のクリエイターがコミカライズするケースがほとんどだ。

そして人気曲だからこそ漫画化の企画が動き出すわけで、多くの読者は漫画を読んでいる時点で、モチーフとなった楽曲のことを知っている。つまり体験としては「楽曲→漫画」となるのが通例だ。

しかし、城戸胎生さんの場合は「漫画→楽曲」という導線が存在する

サンデーうぇぶりに掲載されている漫画のラストページには「当漫画を原作としたオリジナル楽曲」「作者『城戸胎生』本人が制作・歌唱を手がけたMVを公開中!」として、YouTubeに飛ぶQRコードが掲示されている。そしてYouTubeのコメント欄には、明らかに漫画を読んだ後に楽曲を聴いたリスナーの感想も並んでいる。

単にマルチクリエイターというだけでなく、こうした導線でのメディア横断的な体験を生み出しているところに唯一無二の個性がある。

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