ソフトバンクで代表取締役社長執行役員兼CEOを務める宮川潤一氏は5月8日の決算会見で、NTTドコモとKDDIが値上げを表明したことを受けて「我々もそろそろ」とコメントした。
宮川社長の値上げに関する発言は下記の通り。
「これだけインフレが社会問題となっている中で、通信業界は世の中の流れに反してデフレが続いている業界です。これは業界全体の構造的な課題だと考えています。その中でも、私たちから見ると上位2社、NTTドコモさんとKDDI さんという『お兄さん2人』が先に値上げに踏み切ったことは、正直に言って1つのチャンスだと思っています」
「これまでは値下げが続き、デフレにあえぐ業界構造を何とか乗り越えようとコスト削減など企業努力を続けてきましたが、そろそろ限界が近づきつつあります。業界の健全な成長のためにも、価格の見直しは必要なタイミングです」
「方向性としては(2社と)同じ流れでいきたいのですが、いつが最適なタイミングかを見極めて行動に移したいと考えています」
2社の値上げ「WinWinではない」
一方で宮川社長は、DAZNを無料とする「ドコモMAX」や、衛星との直接通信や混雑時の有線接続を付加価値として値上げに理解を求めるKDDIのプランについて「お客様もユーザーもWinWinにならない」と否定的な見解も示した。

宮川社長
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「業界では値上げ時に『付加価値』と称して複雑なメニューを増やし、かえって分かりづらくなるパターンが続いています。私たちもどんな付加価値を付けて値上げに踏み切るのか、2〜3 のアイデアが頭をよぎっていますが、まだ公表する段階ではありませんので、その点はご理解ください」
「当然ながら、今後も業界が永続的に発展していくためには、世の中のインフレ率・デフレ率に合わせた構造でなければなりません。取引先企業やその従業員の方々の状況を想像すると、値上げが正しい方向です。一方で、私たちは競争もしています。現時点で獲得が好調な当社としては、中長期的に見て収益性が高まる構造を目指しつつ、獲得競争でも負けたくありません。そのため、最適なタイミングを事業戦略として計算していきます」
「他社の商品を批判するわけではありませんが、『要らないものが付いてきて値上がりした』『優先接続ができると言いながら他のお客さまが犠牲になっている』といった構造の値上げでは、お客さまも企業もWinWinにはなりません」
「本当にお客さまが納得できるサービスとは何か。私たち自身が納得した上で次のアクションに移りたいと思います。同じ商品を作ることは当然できますが、それで満足していただけるとは思っていません。もう少し時間をかけ、じっくりと戦略を練ってまいります」
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