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【インタビュー】コジプロの開発陣が答える「デススト2」のヒミツ。「DEATH STRANDING 2」開発者Q&Aセッションレポート – GAME Watch


 6月26日に発売を予定しているプレイステーション 5用アクション「DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH(デス・ストランディング2)」(以下、「DS2」)。4月下旬に実施された本作のプレビューイベントにて、本作の開発陣4名による国内メディア合同のQ&Aセッションが行なわれた。

 このセッションでは、Kojima Productionsの新川洋司氏(アートディレクター、キャラクター&メカデザイン)、吉池博明氏(リードレベルデザイナー)、内田貴之氏(テクニカルアートディレクター、リードエンバイロメントアーティスト)、酒本海旗男氏(チーフテクノロジーオフィサー、テクニカルディレクター)が、イベントに参加したメディアから事前に提出された質問に回答した。

セッションが行なわれたコジプロ社内のラウンジ

 これまで明かされていなかった貴重な情報が、開発者自ら語られたのでその模様をレポートしていく。なおこのセッションは事前に公開された「プレオーダートレイラー」や、イベントに参加したメディアが事前にゲームを体験したことを踏まえての内容が含まれるため、同時公開のプレビュー記事も併せて読んでいただきたい。

【DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH | プレオーダートレイラー】

「DS2」は“ルート選択の楽しさ”を徹底強化。配送、戦闘、環境変化などの要素に多数の選択の余地を設ける

――今回の「DS2」は、前作を踏襲した地続きのゲーム性かと思います。細かな部分が進化していますが、どのような狙いでシステムを構築したのでしょうか。

吉池氏:前作では地点[A]から地点[B]への配送で、道中の自然地形が脅威になったり、荷物を奪う敵と遭遇したりして、その困難に対して荷物をいかに安全に運ぶかというゲーム性を構築していました。本作では小島(秀夫)監督から「(本作は)戦闘を強化したい」というオーダーがあり、さらに前作におけるユーザーさんの反応などを踏まえ、強化すべきポイントとして“ルート選択の楽しさ”にフォーカスし、ゲームシステムを考えていきました。

 前作の戦闘は“いかにうまく逃げるか”ということをゲームデザインの中心としていましたが、本作では戦闘に入ったときにステルスしながら抜けていく、あるいは積極的にコンバットをしながら抜けていく、あるいは戦わないのであれば人が通れない険しい地形を乗り越えて抜ける、という3つの選択ができることを楽しめるよう、ミッションや敵の拠点を設計しています。

 他にも「選択」はゲームデザインのキーワードとしていて、サムの見た目の変更や、装備のカスタマイズ、あるいは「APASエンハンスメント」のようなサムのスキルなどの選択肢を設け、さらにゲーム中で発生する自然現象や時間の経過によるアクシデントも発生するので、それに対してプレーヤーは自身の持つスキルやツールを駆使したり、あるいはSSS(ソーシャル・ストランド・システム)で繋がった他のプレーヤーの助けを受けたりするなどして、状況に対する選択を繰り返しながらゴールを目指すことシステムを構築しています。

――本格的に現世代のプレイステーション5限定のタイトルとなりましたが、グラフィックスはどのような進化を目指したのでしょうか。

内田氏:まず「デススト2」はストーリーが作品の主軸となる要素でもあるので、前作よりもキャラクターの表現を豊かにするため、主要キャラについては4Dスキャンを導入しました。また筋肉の動きや表情に対してデフォメーションを施すことで、前作以上にキャラクターの動きや表情がプレーヤーの感情に訴えかけるようになりました。

 またオープンワールドにTOD(タイム・オブ・デイ)を取り入れたことで昼夜の変化が発生するので、場面によるライティングのリアリティは前作では感じられなかったものとなっています。特にゲームの場合は、その精密なシミレーションをリアルタイムで行なうことが難しいので、基礎研究を重ね問題点を緻密に洗い出したことにより、ゲーム冒頭のような風景を表現することができました。

――本作には「DHVマゼラン」をはじめとする新しいメカやガジェットがたくさん登場し、加えて個性豊かなキャラクターやクリーチャーも登場しますが、それぞれどのようなコンセプトを持ってデザインされたのでしょうか。また、小島監督からはどのようなイメージを伝えられていましたか?

新川氏:いつもそうなんですけど、監督からは毎回新しいものを求められます。見た目として何をどう新しくするかは難しいところで、例えばメカなら今回「ゴーストメック」という敵がいるんですが、単なるキャラクターとしてではなく、そのバックグラウンドを含めたコンセプトデザインを重要視しています。

 マゼラン号については、前作で巨大なトレーラーに乗って移動する案があって、それが実現できなかったため今回はぜひやりたいということで、同様にトレーラーの案もありましたが、ストーリーやゲームデザインに合わせて「タール潜航艇」というデザインを作りました。

 デザイン全体のコンセプトとしては、現実感のあるリアルではなく、ゲームの中で見てリアリティを感じられるかに重きを置いて、プレーヤーがそこにインタラクションしたときにどう帰ってくるかを考慮しながらデザインすることを心がけています。

――フラジャイルのマスクが手の形をしていたのが印象的でしたが、このデザインはどのような意図があるのでしょう。

新川氏:あの手の形をしたマスクについては、ちょうどコロナ禍のときに監督からのオーダーで、「フラジャイルの首に手を付けたい」というメールが届きました。前作の「FRAGILE EXPRES」のロゴにあった骨の手の柄を描いたら「違う」と言われて、監督自身がフラジャイル役のレア(・セドゥ)さんの顔と手のマスクのラフを描いてきて、それをほぼそのままデザインに落とし込みました。監督の発想が斜め上を行っているので、それをどう咀嚼するかが毎回面白くて難しいところではあります。

――自然現象やそれがもたらす地形変化が、プレイ体験における前作からの大きな変化と感じられましたが、レベルデザインにどのような工夫や挑戦をされたのでしょうか。

吉池氏:先ほどお話しした通り、本作は選択が楽しい内容にするということで、環境が動的に変化していくことは特に重要なゲームデザインでした。TODもその一環ですし、自然災害もとにかくいろんなことが起きてほしいというのが要望でした。

 リアルタイムで増水する河川も前作からやりたいと思っていたけどできなかったので、今回何とか実現できましたし、砂嵐もどこか特定の場所に発生するだけでは面白くないので、向こうからやってくるものに巻き込まれる体験が得られるように、天候と同様に砂嵐が発生してそれが移動して消えていくようにしました。逆に砂嵐が来ることを認識できれば、意識して回避することもできるんです。

 いろんな要素で環境が変化することにより、プレーヤー一人一人の体験ができるデザインは強く意識していて、ここでこんな綺麗な風景が見られたとか、こんな出来事があったみたいなことをフォトモードで撮影して、SNSで共有していただければ嬉しいです。

――フィールドは複雑な地形も多いですが、プレーヤーがほどよく迷いながら自分なりの解決を見つけられるような導線を感じました。ゲームのプレイしやすさという部分にはどのように注力されましたか?

吉池氏:遊びやすさという部分では、テストプレイをしてくれた方々が頑張ってくれた結果というのが大きいです。もちろん最初に計算して設計しているんですが、あちこちのわからないと感じる点を洗い出してもらって、それを地道に潰していった結果ではないでしょうか。

 フィールドに関してもう一つこだわった点として、各地域にいるキャラクターをもう少し深掘りしようということで、キャラクターごとの設定をしっかり決めて、彼らが住んでいる地域でデス・ストランディングに巻き込まれたら一体どんなふうに困っていて、サムにどんなことを頼みたいのかをイメージしながら、ミッションや荷物の内容を決めていったんです。サムが彼らのためにどんな配達をするのか、動機付けの設定はこだわったところですね。

――様々な土地を行き交う本作において、その世界観の違いを描くうえでどういったところにこだわりをもって取り組みましたか?

内田氏:難しい質問ですね……。まず意識としては、今回戦闘要素も強化しているんですが、ゲームの根本には配送という大きなテーマがありますので、風景の移り変わりがそのままユーザー体験に繋がる設計は監督からも厳命されていて、前作以上に情景のバリエーションを作ることには力を入れました。

 今回の舞台となるメキシコやオーストラリアの選定は、監督が描くストーリーの中で選ばれたロケーションですが、その中をどう描くかの選定は新川と私が担当して、まずはそのアートから詰めていきました。

 開発当初はコロナ禍でしたので、1年半ほどのリモート取材を行ないました。メキシコとオーストラリアの要所をGoogleマップで洗い出して、現地のコーディネーターにGO Proを持ってロケハンをしてもらい、その動画から“こことこことの詳細を取材してきてくれ”といった具体的な指示を入れる、三段構えのリモート取材を行なって、ゲームプレイ時にユーザーが自然を踏破する体感を得られそうなロケーションを選んで、それをベースに新川がタールが浸食した世界観のテイストを盛り込んだ「DS2」の風景に落とし込む作り方をしたんです。こうして完成した世界観は、ある意味こだわりを持って取り組んだ成果と言えるかもしれません。

――前作のPS4からPS5での開発となり、大きく変わったことはなんでしょうか?

酒本氏:正直すごく変わったことはほとんどないと思っています。弊社が絵として目指している方向性は前作とさほど変わっておらず、それに対するより高いクオリティが求められる部分の選択肢が増えたという感じです。

 PS5になって最も大きく変わったところは、ローディングが早くなったことで、演出の間に読み込みを挟めるようになり、結果としてユーザーの体感も変わって、これまで以上にゲームに没入しやすくなったことはあると思っています。

――前作からよりフォトリアルになった秘訣を教えてください。

酒本氏:先ほどのお話の通り、リアルで求められる部分はほぼ確立できていて、そのうちどの情報をどんな精度で、どういう手段で表現するかに落ち着いてくるのかなと思っています。そのうえでゲームとしてリアルタイムで動かさなければならなので、全てにおいて最高の手段を取れるわけではないと。「DS2」の世界観のもと、それをアーティストに細かくコントロールしてもらうことで、現在のクオリティが出せていると思います。

 前作でもアーティストがコントロールすることによるクオリティの向上が顕著だったので、今回はシェーダーをアーティストが作れるようにして、計算の根っこの部分はエンジニアが舵を切って、あまりにも物理現象から離れた状態にならないことを担保しつつ、アーティストのこだわりが組み合わさって、現状のクオリティが出ているのだと思っています。

――本作のキービジュアルにもいる成長したルーがとにかく可愛いです。今作におけるルーのキャラクターデザインのポイントを教えてください。

新川氏:他のキャラクターは実在する俳優さんをスキャンしてそれをブラッシュアップして、動きもアクターさんのモーションを使っていますが、ルーは赤ちゃんなので、スキャンもモーションキャプチャーもできませんから、最終的には全部手作りのキャラクターです。それも今までのノウハウがあるからできたことは間違いないですね。

 このゲームの最もキモとなる存在で、ルーが可愛く思えないとその後のストーリーが展開しないぐらいの重要なキャラクターですから、キャラモデル、モーション、フェイシャルの全てにおいて力を入れました。実際に可愛いと感じていただけたなら、それは凄くよかったと思います。

サム達の拠点となるタール潜航艇「DHVマゼラン」は“あのメカ”がイメージ!? デザインの副作用により、PVの衝撃のシーンが生まれた

――本作ではサム達の拠点として、DHVマゼランが登場しました。こちらのデザインのポイントを教えてください。

新川氏:監督のオーダーが「タール潜航艇」を描いてくれというものでしたので、潜水艦のようなイメージのラフをいくつか描いて見てもらったら、現在の形にも近い“とあるメカ”(笑)を見せられて、それを参考にデザインをしたんです。PVにも出てきたこのマゼランと巨人が合体するシーンは、ゲームを作っていく過程で生まれたんですが、この形だからこそ副作用としてこのシーンが生まれたのは間違いなく、そういう不思議なデザインになったと思います。

「DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH | プレオーダートレイラー」より

 あとは船って硬いものなので、動きがなかなか出しにくいことがありました。最初の頃に“タールに潜行してBTを狩る”という設定があり、機体後方の箱状のものは狩ったBTを入れるカーゴで、クレーンがあるのはそれを引き上げて後ろのカーゴに入れるというデザインとして成立させたものなんです。またこの箱を動かすことで、硬い船でも表情が出せるのではないかと考えて、PVにもあった合体後のシーンを見ていただくと、それが活かされているのがわかるかもしれません。

「DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH | プレオーダートレイラー」より

――前作に引き続き武器のデザインが非常に個性的ですが、何かこだわりのようなものはありますか?

新川氏:荷物を運ぶゲームなので、何を持っていくかも選択肢となります。このため“武器も荷物の一つ”として捉える必要があり、武器だけど、折りたたむことによって箱状になって荷物になることが最大のこだわりでしょうか。実際にデザインをしているウェポン担当のアーティストも、機構的にもリアルな武器を作っているので、実物を作っても折りたためるようになっているんです。CGだとどうしても嘘があって、容積が変わったりするんですが、そこに破綻がない作り方をしているのもこだわりと言えるかもしれません。

――センサーなど、ボタンの配置が前作から一部変わっていたのはなぜでしょうか。

吉池氏:本作では監督の意向の一つに“戦闘の強化”がありまして、それによりゲームデザインが変わるので、それに適したキーアサインにする必要があり、それに伴って変更となった部分があります。

――前作から継承している細かな操作系やアクションが進化し、かゆいところに手が届くように作られていました。こうした部分はかなり気を使ってデザインされたのでしょうか。

吉池氏:これはプレーヤー担当の開発が苦労していたところですね。UIもそうですけど、戦闘が主体のゲームではレスポンスが大事なんですが、「DS」のゲーム性においては荷物に振られるリアルさが大事で、この両者を同居させるのは非常に難儀です。開発中のすったもんだのやり取りを繰り返した結果として、現在のところまで何とかチューニングできた手応えは感じています。その一つがバックパックの荷下ろしで、監督がステルスに特化したアクションも入れたいということで、戦闘で荷物の影響を受けない状況を作るために、バックパックの荷下ろしをできるようにしたんです。こうした仕組みも、選択肢の幅を設けるためのゲームデザインですね。

――4段階の難易度の差はどのように調整しているのでしょうか。

吉池氏:4段階の中で「Normal」に関しては小島監督が一番遊んでほしいチューニングで、監督自身が何周もプレイして細かく調整しています。それをベースに最も易しい「Story」は、ゲームは二の次でとにかくストーリーを一番に楽しみたいという人に向けたもので、前作でストーリーを見たいのにゲームが進められないという声に応えるために準備した難易度です。

 次の「Casual」はゲームがあまり得意ではないけど、ストーリーだけでなくゲーム自体も楽しみたい、敵には手軽に勝ちたいという人にオススメの難易度です。そしてガチでゲームを楽しみたいという人向けに「Brutal」(英語で「残忍な」という意味)という最高難易度を用意しました。これは開発メンバーも人によっては大変と感じるぐらいの高難度に設定しています。ただし難易度が高いと「いいね」による配達人グレードの評価効率が高く、より早く評価が上がるようになるので、腕に自信がある人はこちらで楽しんでいただくといいかもしれません。

――ありがとうございました。



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