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概要
2025年3月期の鈴茂器工(6405)の決算発表が行われ、売上高は過去最高を記録したものの、株価は下落している。国内売上の大幅減少や、来期の予想が微増であることが影響している。中期経営計画「NEXT_2028」も発表され、成長に向けた様々な戦略が示されたが、不安要素も残る。
要約の箇条書き
- 売上高:155億68百万円(前年比 +7.3%)
- 営業利益:18億90百万円(+28.1%)
- 純利益:14億62百万円(+28.2%)
- 決算は過去最高だが、株価は反応が悪く下落中。
- 主な要因:
- 4Qの国内売上高が大幅下落
- 来期予想が微増
- 国内:入れ替え需要の反動、値上げの効果の反動
- 海外:アメリカでの在庫積み上げ
- 市場構成比率:国内68.1%、海外31.9%
- 中期経営計画「NEXT_2028」:
- 売上高は178億7,000万円(前年同期比 +15%)と予想。
- 海外事業の拡大と成長投資を強調。
- 日本の寿司ロボット市場は成長を続けるが、海外展開の課題も指摘。
- 新規事業のスタートと体制整備が必要。
- 懸念事項:コメ価格の高騰が設備投資計画に影響を与える可能性。
- 株主還元:総還元性向30%以上を目指す。
2025年5月13日、鈴茂器工(6405)が発表した2025年3月期本決算と中期経営計画「NEXT_2028」の決算説明会の資料が出てきたので個人投資用でメモ。決算発表から翌営業日以降株価は下落中。
6405 鈴茂器工
2025年12月期第1四半期決算
-
売上高:155億68百万円(前年比 +7.3%)
-
営業利益:18億90百万円(+28.1%)
-
純利益:14億62百万円(+28.2%)
いずれも過去最高水準で一見して「好決算」。
しかし、株価は真逆の反応。

株価下落の大きな要因は4Qの国内売上高の大幅下落と来期予想が微増だった。ちなみに国内と海外の売上構成比率は国内 : 68.1%、海外 : 31.9% ( 7 : 3 )。
国内の下落要因
昨年度の値上げの効果の反動
さらに大手のお客様の入れ替え需要の反動
海外の下落要因
第 4 四半期にアメリカの在庫を積み上げ
国内大手の入れ替え需要の反動と海外の在庫積み上げはわかるものの、昨年度の値上げ効果の反動は怪しい。これまでは値上げしても需要があり売上げに直結してきてた。
決算短信には「コメの価格高騰による事業者の設備投資計画の中止や延期」とあったのでそれが大きな要因とみてる。

スーパーマーケット
健全に伸長
レストラン・食堂
健全に伸長
寿司
昨年度の一巡したお客様の入れ替え需要の反動減
ホテル・旅館・給食
割合は低いが唯一BtoCの最終消費者が目にするのでブランドイメージ向上という意味で売上の伸長に非常に価値がある
まぁ、いいんじゃないですかね。
寿司ロボットの耐用年数と入れ替えサイクルだけ後でIRに確認するか。

北米
海外の売上のうちの 44.5%で堅調
東アジア
若干中国景気等々の影響があり減少
欧州
大型機の需要が伸長
北米は関税政策と景気後退の懸念はあるがそのまま伸び続けるんじゃないですかね🍙
海外事業の懸念材料と対策↓


販管費内訳
・売上の大幅な伸長
・採用人数の増加による人件費が上昇。
・新規事業の開始に伴い、外部委託費が増加。
・Webサイトのリニューアル
・基幹システムの刷新(販売管理・サービス支援システム)によりシステム関連費用が増加。
・ただし、売上伸長に対して販管費の伸びは健全な範囲内に抑制されている。
全体として、成長投資に伴うコスト増で、利益とのバランスは保たれていると評価。個人的にWEBサイトのリニューアル後のデザインは微妙。

【売上高予想】178億7,000万円(前年同期比 +15%)
【営業利益予想】20億円(前年同期比 +5.8%)
【純利益予想】15億円(前年同期比 +2.2%)
海外での大幅な売上拡大
健全な利益確保を前提
売上高の成長は良さそうだけど営業利益と純利益がもう少し欲しい印象。EPSが2.45円なのはしょぼい気がする🤔
📍中期経営計画「NEXT_2028」

1️⃣ 「Growth 2025」振り返り

✅ 既存マーケットの拡大・深掘りを推進
→ 特に米飯加工機械の販売が海外で大きく拡大
⚠️ 新たな成長分野の構築
→ M&A・アライアンスを活用し、日本システムプロジェクトと提携
→ 米飯加工機械以外の分野での事業展開を開始
⚠️ 積極的な成長投資の実行
→ 新工場の建設に着手
→ 人材・システム・研究開発に大規模投資
✅ 企業価値(時価総額)を約3倍に拡大
→ 社会的価値向上とともに、事業成長を実現
「⚠️ 新たな成長分野の構築」と「⚠️ 積極的な成長投資の実行」は種を蒔いただけでまだ結果が出てない状態。

【国内事業】
• 寿司ロボット市場は成熟期ながらも成長継続
→ 台数ベースで約1.3倍の販売拡大
• Fuwarica(ご飯盛付けロボット)の顧客層が拡大
→ ファミレス・ラーメン店・焼肉店などに導入が進み、台数が大幅増
• 食品工場向けの大型機分野で業界トップ製品を製造・販売
→ 大手コンビニベンダー向けの開発販売で高評価を獲得
【海外事業】
• 北米:外部連携と販売サービス拠点の拡大、新たな米飯加工品を提案
→ 2000年3月期比で3.7倍の売上成長
• アジア:日系企業進出支援や現地企業向け商品・品質コンサルを展開
→ 2000年3月期比で1.6倍の売上成長
• 欧州:販売店再編により現地大手と提携し市場拡大を推進
→ 2.1倍の売上成長
既存のロボット製品に関しては申し分ない結果だったと評価できる。

■ Growth 2025の振り返りにおける課題
• 一定の成果は出たが、当初目標には未達
• 海外展開が受動的であり、成長は市場任せの側面が強かった
• 潜在需要に対する戦略的アプローチが不十分
• 省人・省力化に対する提案力が不充分で、顧客の課題に対応出来てない
• 従来の「機械提案中心」から脱却できていない
• グローバル対応の人材・管理体制の整備が未完成
• バリューチェーン(開発・販売・サービス)の体制整備が遅れた
この課題はかなり重要と思ってて、現状だと日本食ブームがたまたま当たった機器販売会社に留まってる。まだまだ日本食は伸びるとは思うがこの課題感が4Qの結果にも現れ始めてないか少し不安。
2️⃣ 基本方針・業績指標

海外売り上げ202%が実現すればかなりいい感じ。伸び代はまだまだあるので不可能ではないと思う。次の決算からは国内はある程度停滞するとして、海外の内容を重視した方が良さそう。
3️⃣ 事業戦略

小型機(寿司ロボット)
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国内:シェア80%以上を確保、入れ替え需要が中心。
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海外:シェア約40%、市場は成長途上で潜在需要が大きい。→ 新規需要の開拓が主軸。
小型機(ご飯盛付けロボット「Fuwarica」)
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国内外での展開を推進。
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特に海外の日系企業に大きな潜在需要。
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中計期間中に新規需要を開拓予定。
大型機(食品工場向け)
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国内:シェアはまだ10%、人手不足と市場拡大を背景に大幅な伸長余地あり。
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海外:寿司・おにぎり・弁当需要の拡大が期待される。
非製品領域(ホール・キッチン向け)
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現時点では挑戦段階。
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ハード+システム・ソフトを融合した製品拡大を計画。
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国内外で新たな需要を獲得する意向。
全体として、国内はシェア維持・入れ替え対応、海外は新規需要開拓が主軸という感じ。非製品領域は子会社化した日本システムプロジェクト(赤字)だからあまり期待していない。


要は海外次第ということだと認識。
グローバル人材をどう確保するのかもIRで聞いた方が良さそう。
4️⃣ その他の戦略
生産体制

資本・財務戦略

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資本効率の向上
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営業キャッシュフローの約半分を通常・成長投資に充当。
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株主還元として総還元性向30%以上を目指す(前中期経営計画からの継続)。
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財務基盤の健全化にも継続的に取り組む。
💬 まとめ・感想メモ
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鈴茂器工は“変革の布石”を打った段階で、成果が実際に利益に表れるのはもう少し後。
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コメ価格の高騰による影響は限定的と個人的には思う。
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これまでは国内業績中心で、次から海外業績を見ていく。
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代表取締役社長に変わって初めての決算で社長が諸般の事情により欠席というのは印象悪い。今後の活躍期待。
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IRで聞きたいこと
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