土曜日, 5月 17, 2025
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3万円の価値はある?進化版ゲームコントローラー「Backbone Pro」徹底レビュー


 1つであらゆるデバイスのゲームに対応できるコントローラーを目指して作られたのが、「Backbone Pro」だ。実際、この製品はさまざまな場面で幅広く使えるが、価格は170ドル(日本では税込2万9700円)とかなりお高めになっている。


Backbone Pro
Backbone Pro

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 筆者が評価で使ったのは「iPhone」版のアプリだったが、「Android」にも対応している。

 初代の製品である「Backbone One」(現在も入手可能)は、スマートフォンに装着して使う設計になっており、ワイヤレス接続機能やバッテリーを内蔵する必要はなかった。一方、Backbone ProはBluetoothとバッテリーを内蔵しており、一般的なBluetoothコントローラーと同じように単体でも使用できる。Backbone Proは、初代と同じ使い方を新たに「ハンドヘルドモード」と名付け、Bluetooth接続で単体で使用する「ワイヤレスモード」とは区別している。

 これが、この2つのコントローラーの大きな違いだ。Backbone Proでは設計が大きく変更されており、新機能に対応するとともに、高級感が上がっている。古いiPhoneを使っている人には残念だが、この製品はUSB-Cにしか対応しておらず、Lightningコネクタ版は存在しない(このため、ハンドヘルドモードは「iPhone 15」以降でしか使用できない)。

 Backbone Proの発売に合わせて専用アプリもアップデートされ、「Backbone+」のサブスクリプションサービスでしか利用できなかった一部機能も無料で利用できるようになったため、コントローラー自体の価値も上がった。

 Backboneの最高経営責任者(CEO)を務めるManeet Khaira氏は、発表前のブリーフィングで、同社のゲーミングに対する取り組みの哲学について以下のように語った。「私たちは将来的に、(中略)デバイスを1台買うだけで、どの画面でもゲームを遊べる世界を作ろうとしている。それが実現すれば、ゲーム機を持っていない子供でも、家のテレビで『フォートナイト』をプレイできるかもしれない。家電量販店で買ったテレビでもゲームができるようになるのだから。私たちのゴールは、あらゆる画面で使える1つのデバイスを作って、どの画面でもゲームをプレイできるようにすることだ。そうすれば、もっと多くの人がゲームを遊べるようになり、ゲーム市場も拡大する」

 ただし、同氏が夢見る世界を実現できるかどうかはソフトウェア次第であり、ゲームランチャーやゲームサービスが群雄割拠する中、一番難しいのがその部分だ。Backbone Proは優れたハードウェアだが、競合するコントローラーはいくらでもある。

オーソドックスで手に馴染むデザイン

 第1世代のスマートフォン用コントローラー(Backbone Oneを含む)が抱えていた問題の1つは、できる限り小さく設計されていたことだ。そのため、使った時の感触や機能が犠牲になることが多かった。Backbone Proも小さめに作られてはいるが、プレイヤーが求めている多くの要素が復活している。これには、しっかり握れるグリップや、フルサイズのサムスティック、背面ボタン、ホールエフェクト式のトリガーボタンなどが含まれる。

 Backboneはまた、ABXYボタンの接点をカーボンピル式に変更し、Backbone Oneのクリック感のあるボタンから、より静かで滑らかな押し心地のボタンに切り替えた。こちらのボタンの方がストロークが深いため、若干応答が悪くなったようにも感じたが、筆者はボタンを強く押すタイプであるため、しばらく使っているうちに慣れてしまった。ローカルでプレイしたゲーム(スマートフォン用の「Carrion」や「Hades」などのアクションゲームをプレイした)では遅延はほとんど感じなかったが、ワイヤレス接続では、時々ラグを感じた(Macでプレイした「Lies of P」や、iPadでプレイした「Dead Cells」など)。Bluetooth接続ではラグが大きく改善されるが、完璧とは言えない。ただし、もしそれが問題になるようなら、有線接続するという選択肢もある。

 グリップはしっかりしていて握りやすい。グリップの表面はBackbone Oneのものよりも若干ざらつき感が強いが、Xboxのワイヤレスコントローラーほどではなく、コントローラーの他の部分よりも少し素材が柔らかく感じられる。全体的に言えば、ゲームを長時間プレイしてもかなり快適に遊べた。

 筆者は、この左右のショルダーボタンはあまり好きになれなかった。コントローラーやボタンのサイズの問題で、意識せずにボタンを押すのが難しく、背面ボタンの方が使いやすく感じた。背面ボタンは誤作動を防ぐために少し押しにくくなっているが、力が弱い薬指でも押せる程度だったため、筆者はソフトウェアでボタンのレイアウトを変更して、デフォルトでこのボタンを使用するように設定した。

 とは言え、この背面ボタンはBackbone Oneのものよりも少し大きく(これはトリガーボタンについても言える)、クリック感がやや強い。トリガーボタンについても、良いところと悪いところの両方を感じた。トリガーボタンの引き幅はかなり大きめで、エイムに使う際にはよいのだが、射撃のトリガーとして使う場合は反応が悪くなってしまう。アプリでトリガーストップの位置やデッドゾーンの範囲を仮想的に設定できるのだが(ジョイスティックのデッドゾーンも設定できる)、物理的なストッパ―があるわけではないため、筆者にとっては完全な解決策にはならなかった。しかし、ある程度使い心地をコントロールする手段はある。

 左側のグリップにはBluetoothのペアリングボタンとアナログオーディオジャックがあり、右側のグリップには充電用のUSB-Cポートが付いている。このコネクターを使えば、コントローラーのバッテリーだけでなく、スマートフォンも同時に充電することができ、その場合でもコントローラーのバッテリーは徐々に充電される(Backboneはバッテリー持続時間を最大40時間としているが、最初に充電したときには、なぜかそれよりもずっと早く電池が消耗した。現在は、バッテリーの減りはもっとゆっくりになっている)。しかし、Backbone Oneと同じように、このUSB-Cポートをオーディオやビデオの出力や、データの入出力に使うことはできない。

 スマートフォンを接続したままコントローラーを別のデバイスとペアリングすることも可能で、その場合は、どちらのデバイスを操作するかを選択できる。とは言え、スマートフォンでのプロファイルの設定が終わったら、おそらくスマートフォンは取り外したくなるだろう(スマートフォンなしでもコントローラー単体でプロファイルを切り替えられれば嬉しいのだが)。例えば筆者は、タッチスクリーンでBackboneのアプリを起動すると、Bluetooth接続が解除されてしまうことに気付いた。もしスマートフォンに装着したまま別のデバイスでコントローラーを使いたいなら、2つ目のデバイスはUSBで接続した方がいいだろう。

ソフトウェアとサブスクリプション

 Backboneの無料アプリは、モバイルコントローラー向けとしては筆者が見てきた中で最高レベルの機能を持っており、よくあるボタンのマッピング変更機能(iPhoneではシステム設定で対応する必要がある)以外にもいろいろな機能がある。サブスクリプションのBackbone+に加入すると、さらにストリーミングやチャットが使えるようになり、特典や割引が利用できる。サブスクリプションの特典には、レトロゲームやエミュレーターが新たに追加された。

 新しいアプリでは、Backbone+に加入しなくてもUSB-C経由で他のデバイスに接続できるようになったほか、Pro専用の機能として、ボタンのマッピングや、デッドゾーンやトリガーストップをゲームごとに設定できるゲームプロファイルを無料で利用できる。

 それに加えて、アプリにさまざまなデバイスの接続情報を保存しておき、簡単に切り替えることができる(Backboneはこの機能を「FlowState」と呼んでいる)。これは、Pro専用の機能の中で特に素晴らしいものの1つだ。例えば、「iPad」と一度ペアリングしたら、それ以降は、デバイスのリストから選択するだけですぐにiPadに接続して操作できるようになる。また、スマートフォンで使いたいプロファイルを選択したあと、コントローラーからスマートフォンを外すこともできる。

 これは筆者がこれまでに見てきた中でも指折りのシームレスな仕組みだが、そううまくはいかない場合もある。これは、Appleデバイスの設定方法や、一部のサービスの仕組みがそもそも複雑すぎるためだ。例えば、「Xbox Cloud Gaming」をプレイするためのウェブアプリのショートカットや、「Geforce Now」の面倒なログインプロセスなどがそれにあたる。

 筆者はこのアプリをおおむね気に入っているが、昨日は、自動再生されるゲームのサムネイルをスクロールしながら見ている時に、音声出力をオフにするオプションが欲しいと切実に思ったものだった。しかし、時には自分の願いが叶うこともある。同社はすでにアプリをアップデートし、自動再生をオフにできるようになった。

 互換性の実際の内容が分かりにくいケースもある。例えばBackboneは、このデバイスはXboxに対応していると主張しているが、XboxではBluetooth接続は使用できない。このため、「リモートプレイ」機能やCloud Gamingを使う必要があるのだが、これらを使ってゲームをプレイするのは現実的ではない場合もある。例えば筆者のネットワーク構成(二重NAT構成)ではXboxのリモートプレイ機能は利用できず、Cloud Gamingはうまくいかない場合がある(「Blue Prince」のような軽いゲームでさえ、しばらくは快適だが徐々にパフォーマンスが落ち始めるし、「Clair Obscur: Expedition 33」のようなゲームはほとんど動かない)。どちらもBackboneの責任ではないが、Backbone Proの利用体験に影響を与えることは確かだ。

 この製品は、スマートフォンに装着するタイプのコントローラーに魅力を感じる人や、Bluetooth接続でゲームをしているが、もっと持ち運びやすいコントローラーが欲しいという人には魅力的だろうが、数分の1の価格でいくらでも他の選択肢が見つかることを考えれば、予算重視の人には向かない。ただし、Bluetoothでコントローラーが接続できる複数のデバイスでゲームをプレイしている人にとっては、Backbone Proは今手に入る中では最もスマートな選択肢かもしれない。

Backbone Pro

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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🧠 編集部の感想:
「Backbone Pro」のレビューを読み、非常に高機能なコントローラーであることに感心しました。しかし、3万円という価格は、他の選択肢と比較すると高額に感じられます。ゲーム体験を向上させるための投資としては魅力的ですが、自分の使用スタイルに合ったコストパフォーマンスを考慮する必要があります。

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