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概要
この記事では、原田駿氏が広告代理店「電通」から独立する過程やその活動について詳しく述べています。転職活動を通じて、自らの市場価値を確認し、「広告代理店営業(プロデューサー)」としての強みを再認識した結果、最終的に独立を選択しました。自身のキャリアやその中での自己分析、選択肢の整理、自己の価値の把握といったプロセスが強調されています。
要約(箇条書き)
- 原田氏が電通からの独立を決意した経緯を説明。
- 転職活動において4つの選択肢(スタートアップ、国内マーケティング、コンサルティング、グローバル企業)を考慮。
- 自己価値の客観視を行うために、様々なビジネスSNS(ビズリーチ、LinkedIn、YOUTRUST)を活用。
- 自己分析を通じて、仕事の楽しさややりがいを再確認。
- コミュニケーション能力やプロジェクトマネジメント力の重要性を強調。
- 最終的に独立を選んだ理由、特に自身のビジネスをコントロールしたいという思いを述べる。
- 経済的なリスクはあれど、自分の価値をダイレクトに顧客に届けたいという想いから独立を選択。
- 営業スキルはビジネスの多様な領域で活かせる強力な武器であると結論付け。
- 今後の行動として、自分の市場価値を探ることを推奨。
この内容を通じて、キャリアの選択肢や自己分析の重要性、独立の魅力が伝えられています。
はじめまして、または前回の記事を読んでいただいた方はありがとうございます。今回は、実際の転職(独立)活動のプロセスや、その中で明確になった「広告代理店営業(プロデューサー)職種の強み」について具体的にお話ししようと思います。特に関係会社様や広告業界のことを深く知りたい方、キャリアに悩む方の少しでも参考になれば幸いです。
自己紹介の記事はこちら!
(たくさんのスキ、お問い合わせ、励みになります。ありがとうございます!)
転職活動で出現した「4つの選択肢」
自己紹介記事でも書かせていただいた通り、私は広告代理店の営業(プロデューサー)としてさまざまなキャンペーンや事業開発、ブランディング、PRも含めたトータルコミュニケーションなどに関わらせてもらいながらキャリアを積んできました。入社時にこんなことできたらいいなと夢想していたことが着実にさまざまな形で実現されてきたなかで、「今後どう成長していくのか」「さらにどんな領域で自分の価値を高められるのか」「どんな老後を過ごすのか」「死ぬ時にどんな自分でいたいか」をずっと考えていました。
するとやはり、先の理想と今の立ち位置とは乖離があるなという結論になり、どんな道を進むにせよ、まずは自分の市場価値を確かめてみようと思ったんです。ちょうど少し前にTVCMもやられていましたよね。
必ずしも転職を前提としなくても、相対的な自分の価値の可視化は大切ですね。
最初は独立を考えていなかったため、まずはひっそりとステルス転職活動をスタートしたのですが、早速いろいろな素敵な出会いがありました。実際にオファーや面談を希望された中には以下のような企業・職種が!
それぞれお話いただいた概要と求められたこと、魅力を感じた内容を比較整理してみます。
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同業種のスタートアップ
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「広告代理店×スタートアップ」で、スピード感のあるサービス開発やデジタルマーケティング、今後さらなる拡大を目指す企業。
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代理店とは違う小回りのきくチーム編成、オーナーシップの強さが求められるとともに、国内最大手の代理店で大所帯チームを率いてきたプランニング、ディレクションスキルを発揮して欲しいと。
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自分で組織をつくるやりがいと、電通を超える報酬提示がありました。
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国内マーケター職(CMO/CRO含む)
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代理店営業から事業会社側のマーケティング担当、マーケティングトップになるという選択肢。
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さまざまな経験やアイデア、このブランドであればもっとこうすれば売れる、などの話を具体的に当事者の方々と情報交換としてするなかで、「原田さん、それはマーケターとしてウチに来て思う通りに実現して欲しい」というお話をいただきました。
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自分で製品企画・マーケティングプランの立案・実行・検証まで回し、成果をダイレクトに見る経験を積めると感じました。
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コンサルティング会社
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この領域からの企業様からのお問い合わせが当時一番多かったかもしれません。名高いAやBやDからはじまる企業からお話をいただくことも。
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広告・マーケだけでなく、経営全般に関わる課題解決に対してノウハウやスキルを高められる環境です。総合広告代理店でのトップランカーに、ぜひ来て新しい風を吹かせてもらいたいという話をいただきました。
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コンサルティング会社は広告会社ほど細かく職能で担当を分けないため、広い守備範囲と営業で培った課題ヒアリング能力や提案力を活かせるかもしれないと思いました。
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マーケティングに強いグローバル企業
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毎日お世話になっているグローバル企業マーケティング担当や、リーダーとしての即戦力ポジションです。
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外資系や海外事業を多く手がける事業会社で、最先端のマーケ手法やグローバル視点を学ぶことができます。その中で日々エージェンシーとやり取りする窓口のトップとして来て欲しいと。
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英語を使いながら新しい環境で働くことで、これまでとは異なる方向性でのスキルアップができるのではと考えました。
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結果的に、実際に複数の選択肢に臆せず飛び込んでみたことで自分の興味・関心がどこに強く惹かれるかを明確にすることができました。
(いろいろ親身にお話を聞いてくださったにもかかわらず、結果的にお断りすることになった企業様、この場を借りてお詫び申し上げます。)
「自分の価値」を客観視する
転職サイトや日々さまざまな事象で更新されるビジネスSNSを活用するのも大きなポイントでした。信頼できる転職エージェントと話す中でのおすすめもあり、特に使ったのは以下の3つです。
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ビズリーチ
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TVCMでおなじみ。ハイクラス求人やプロフェッショナル人材向け求人が多い印象。
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登録後に複数のヘッドハンター/企業様とつながり、幅広い求人情報を得られました。そのうち何名かは今でも情報交換を続けています。
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LinkedIn
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海外企業とのつながりや、スタートアップ、マーケティング・コンサル領域での人脈形成にも。
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プロフィールをしっかり書くと「こんな企業からスカウトが来るんだ」と発見にもなりますし、実際に言われると自分の可能性を信じやすいです。
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SNSでは他者様の情報発信を仮に自分に置き換えてみることで、自分らしさの探索ができます。
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いまでもLinkedIn経由でお仕事の相談をいただきます。それくらいビジネスの機会に優れたSNSだと思います。(内容に吟味は必要だと思います)
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YOUTRUST
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スタートアップ系・IT企業の求人情報が特に充実な印象。
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カジュアル面談やリアルな社内雰囲気を知る機会も多く、転職検討中の候補者同士の情報交換にも活用可能です。
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Linkedin同様、お仕事のご相談をここでいただくこともあります。
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これらを使って積極的に「求人希望のマーケットのど真ん中に飛び込む」ことで、自分の相対的な価値や評価がどのくらいなのかが見えてきました。(当然、ステルス転職なので当時の本職の業務時間外の時間を活用しての活動です)
結果として、とても良いお言葉を頂戴して実際にオファーをいただいた企業様もあれば、反対にあまり評価されない職種/領域もあったり。そうした感覚のズレを客観的に見て是正することで、広告営業としての相対的な価値や強み、自分のスキルや成長路線の中で足りない部分を実感できたように思えます。
自分の現在位置/なりたい自分像は明確か?
転職活動と並行して行ったのは、自分自身の徹底的な自己分析です。人生でそう何度も経験するものでもないので、とことん納得のいく決断を導き出そうと学生時代の就職活動以来にやってみました。たとえば、「どんな環境に身を置くとワクワクするのか?」「どんな瞬間に自分はこの仕事が楽しい、やりがいがあると思うのか?」など。
自己内だけで悶々とすることに限界を感じた私は、プロの方をアサインして徹底的に言語化した意見をぶつけ合って、自らという存在を具体的にしてみました。
例えば下記みたいな要素です。(実際には100個くらい書き出して整理しました)
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出し合うアイデアが輝く瞬間を見ることが好きだ
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提案をまとめる中で「これはクライアントの課題解決につながるはずだ」と確信を得たとき。また、その提案の反応が想像以上に喜ばしいものであったときにワクワクする
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成果がすぐにわかる施策(SNS広告やWebサイト施策など)だけでなく、目で見えるものを突合して、効果のわかりづらいものを定量・定性面で話し合い、クライアントと同じ方向を見据えられたことを肌で感じたときに血が通う感覚がする
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自らチーム編成をすること、責任を正しく負える立場によって鼓舞される
営業(プロデューサー)としてこれまでやってきた仕事の中で、特に楽しく集中できた場面を振り返ると、「相手の課題をお伺いして、解決策を形にするプロセス」「チーム編成から自らが責任をもってアサインし、提案に全面の責任が背負わされるとき」に強いモチベーションがあるんだな、と再認識できたんです。
これは、読んでいただいている皆様で一人一人異なるかと思うので、いかなる方向に進んだとしても、まずは生きとし生けるビジネスマンは日々振り返りの中でもみなさま徹底的にやってみることをおすすめいたします。
強かったのは、「コミュニケーションをデザインする力」
反面、この職業をとことん突き詰めた先について程度見えてたことがあります。転職活動や自己分析を通じて浮かび上がったことでいうと、特に現在もつもののなかで以下の要素の再現性・汎用性が高いということでした。これは広告プロデューサーのみなさまには当てはまるのではないでしょうか。
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ヒアリング力(コンサルティング能力)
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最終的なゴールを見定める中で、クライアントが抱える問題や要望を潜在/顕在いずれにおいても明らかにする力。
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これはどのビジネス領域においても重宝される。
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この分野だけでさまざまな企業様で講習、講義をさせていただくこともあります。
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提案力・プレゼンテーション力
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アイデアを受け手が納得する形に考え、まとめ、伝えるスキル。
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わかりやすい資料作成や、ロジックの組み立ても含みます。
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この部分は、営業の方によって、ご自身で大枠やられる方と他のスタッフをアサインしてディレクションする立場とで方針は分かれます。(比較的私は自分で提案の全体を構築するタイプでした)
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折衝・ネゴシエーション力
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広告にはつきものの、各所との交渉などは、ビジネスには必ずある交渉事。
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本来全く違う方向を向いた方々を一つの道に照らし、アウトプットとしてクライアントの期待を超えるクォリティを自身の中に落とし込み、コストとスケジュールをはめにいくのは意外ととても難しいことです。
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詳細は記事内では明かせませんが、Win-Winの落としどころを探ること、交渉というのは想像力と創造力が必要なんですね。
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ゴールイマジネーション力/プロジェクトマネジメント力
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そもそものゴールを設定し、クライアントの期待を超え続けるマネジメント力のことです。
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多くのステークホルダーを巻き込み、期限・予算内での調整することはAIが先行している時代だからこそ求められる能力。最終的にAIが窓口の代理すらも務める未来はあるかもしれませんが、人が最終的な決定権をもつ中で、代替はしばらくはないものと想像しています。
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タスク管理やリソース調整、チームマネジメントは、あらゆる分野/仕事で必要不可欠となります。
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上記分析の先に、自らが考える広告営業の将来像を垣間見た気がしました。 まず、広告代理店営業の難しい部分であり、やりがいの一つは、「スケジュール」「クォリティ」「コスト」の3点を高次元にまで高めてソリューションとしてのパッケージをつくり上げ、クライアントにお買い上げいただくこと。 そして、そもそも難解であるエンドユーザーのインサイト(深層心理)を想像して解き明かし、広告やPRやデジタル、時にはアプリやシステム開発にも踏み込んだトータルプランニングを実現することの難易度の高さ。 本来排反しあってもおかしくない事象たちをときには二枚舌と言われる内容、折衷点を最初から見据えて各ステークホルダーを調整し、高いモチベーションにコントロールすることは、意外とAI時代だからこそ必要とされるのではないか?(最短距離で正解にいこうとするAIがあって、人は心とホルモンの生き物なので、心を通わせて、社会的な側面がありはじめていろいろなものが有機的に機能するものだと考えます)
「この強みを最大限活かしたとき、自分のキャリアは?」と考えた結果、転職で組織に所属するよりも、“法人”として自らの城を立ち上げ、多くの仲間といくつものプロジェクトに関われる働き方にワクワクを感じるようになりました。
結果、最近では自らの職能をプロデューサーや営業だけではなく、広義の「広告やPRなどあらゆる手法を組み合わせたゴールファーストなソリューション開発(Integrated Marketing Communication:通称IMC、もしくはホリスティックコミュニケーションと呼びます)」と「ステークホルダーを束ねあげるコミュニケーションスキル」を総称して「統合コミュニケーションデザイナー」と呼称させていただくようになりました。
転職 or 独立?迷った末に決め手となったこと
正直にいうと、転職もかなり魅力的でした。特にスタートアップのマーケティングポジションなどは「楽しそう!」「成長環境もありそう!」とワクワクしましたし、コンサル企業からのオファーも「安定とキャリアアップ」を同時に得られる気がして、その先に進む自らの道に想いを馳せると心惹かれました。
しかし、最終的に「独立」という選択肢を選んだのは、以下のような理由からです。
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広告代理店の未来予測
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広告代理店のなかで、電通以外の会社に転職することには、ちょっと違和感を感じた瞬間もあった
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これからおそらく独立する人材は増えてくる。そうすると強い個人がまとまるアベンジャーズ型の組織が求められるのではないか。
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AIの出現により、今後も安泰な職能と危険な職能が入り乱れてくる中で、その環境をいち早く自らがコントロールする環境にベットするべきでは、と思った。
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自分でコントロールしたい
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仕事の進め方や提案内容、時間の使い方などを柔軟に設計できる。
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気になったテーマにすぐ挑戦でき、失敗も含めて自分の糧にできる。
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最近ではさまざまな補助金などもあり、中小企業が挑戦しやすい環境もある。
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価値をさまざまな領域でダイレクトに届けたい
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わたしがやりがいを感じるポイントの一つは「クライアントの課題を解決すること」「その先をともに拝見することができること」
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独立すれば、自分が直接クライアントとやり取りして、成果をリアルに感じやすいことも増えてくるはず。
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リファラルがリファラルを呼び、会社員時代に挑戦できなかった領域も含めてより広い顧客とコミュニケーションをとることができる。
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代理店時代のネットワークを活かせる
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クライアントやパートナー企業、先んじて独立された方々など、これまで培ったさまざまな繋がりを活かすことができる。
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独立前から相談いただく内容も存在したため、しばらくは十分に案件を回せると想像。
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もちろん、不安やリスクもあります。組織を離れることでの安定収入やサポート体制がなくなるわけですから、不安定さはとてつもなく大きいです。それでも、「自分でビジネスを動かす面白さ」「自分で自分の人生を歩む期待」がやや上回った、というのが正直なところですね。
【まとめ】営業(プロデューサー)でも独立は強い選択肢になる
「代理店から独立」と聞くと、クリエイティブ職や戦略プランナーがメインに思われがちですが、営業(プロデューサー)としての経験やスキルは、ビジネス全体を見渡してプロジェクトを動かす上で本当に強力な武器になります。そしてそれは、広告業界以外のさまざまな職種/領域から現在ご相談をいただいていることからも証明はできると言えそうです。
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ビジネスを大きくする、という点においてそれをプロデュースする能力は汎用的であり、相談いただく機会は多い。
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「ヒアリング力(コンサルティング能力)」や「交渉力」はあらゆる場面で活きる。
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「提案力」や「プロジェクトマネジメント力」は、昨今さまざまなサービスの開発もあり、少人数でも十分にサービス化できるし、そうした形態が今後は増えていくであろう。
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転職活動を通じて、自分の強みを外部の市場から客観的に把握できた。
これらのプロセスを経て、「営業としての独立もアリじゃん」と自信を持てるようになりました。もし同じようにキャリアに悩んでいる方がいたら、まずは転職サイトやSNSで「自分の市場価値を見てみる」ことはとってもおすすめです。想像もしていなかった考え方に出会って人生がぐぐっと変わる経験や、思いもよらない企業や人脈とつながれるかもしれません。
活動することは、誰にでもできます。その結果現在のお仕事を続けることも正解だと思います。その場合、その人生を選んだ、目的をもった、ということは人生にとって大きな糧になるような気がしてならないのです。
もちろん、こうしてを読んでいただいたこともご縁です。
ぜひ原田個人にもご相談ください。
次回予告
次回は、現在の自らのお仕事の内容を少しお話するにあたり、どうしても避けられない広告代理店のお仕事の進め方について。「広告代理店の中身をリアルに語る~営業 vs. ○○」というテーマで記事をお届けしようと思います。
現在のお仕事のこと、独立前に改めて振り返った代理店内の組織構造や、スタッフィングはどう決まるのか、プロジェクトはどう進んでいくのか?という連携のリアル、そして社内で感じていたギャップなどを深掘りしてみます。※ぶっちゃけ話をしたいわけではなく、だから現在はこういうことをしている、という繋げ方をしたいという意図です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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それでは、また次回の記事でお会いしましょう!
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