土曜日, 6月 7, 2025
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ホームマーケティング 1 Hotel @Brooklyn, New York北川旭洋

[10] 1 Hotel @Brooklyn, New York北川旭洋

🧠 概要:

概要

本記事は、ニューヨーク・ブルックリンにある「1 Hotel」の特集を通じて、サステナブル・ラグジュアリーライフスタイルがどのように進化し、消費者のニーズに応えているかを考察しています。また、1 Hotelsの歴史や成り立ち、投資と持続可能性の関係についても触れています。特に、環境に優しいデザインが如何にして顧客体験に結びつくかが強調されています。

要約の箇条書き

  • 滞在時期: 2023年6月に1 Hotel @Brooklynに滞在。
  • サステナビリティのトレンド: ホテル業界では環境配慮が新しいライフスタイルの一部として拡大。
  • ホテル業界の課題: ホテルは水光熱やフードロスの大きな問題を抱えている。
  • 具体的施策: シーツ交換の選択制やプラスチックアメニティの排除などで環境配慮を実施。
  • 競合分析: FairmountやSix Sensesは長年にわたりサステナブル・ラグジュアリーを推進。
  • 1 Hotelsの成り立ち: 2015年に設立。環境に配慮したデザインで顧客体験を強調し、現在11店舗営業中。
  • Starwoodの歴史: Starwoodは1969年創業で、多くのホテルブランドを取り込む。2015年にMarriottに買収され、Starwoodの名前が再活用された。
  • 顧客への価値提供: サステナビリティを「感じられる」体験としてストーリーテリングし、顧客に伝える。
  • 投資の難しさ: サステナブルなデザインにはコストがかかるため、投資家の理解が必要。
  • グローバルな展開: 1 Hotelsは中国の三亜にも展開中、ブランドのスケーラビリティを探求。

このように、サステナブルデザインが高級ホテル業界において重要な役割を果たしつつ、顧客にエコ意識を促すことができることを強調しています。

[10] 1 Hotel @Brooklyn, New York北川旭洋

滞在時期:2023年6月

サステナブル・ラグジュアリーライフスタイル

ホテルに限らず様々な業界において、環境に配慮したデザインやコンセプトを、ブランドがライフスタイルとしてプロデュースし、プレミアム単価を大衆から獲得するようになったのは、2010年代の新しいトレンドだと認識しています。

そもそもホテルは、つけっぱなしの水光熱、大量のフードロス、過度な清掃・洗濯など、お世辞にも環境に優しいビジネスではありません。
なので「環境にいい事をしている=プレミアム価格につながる」以前の目的で、ホテルブランドによってはシーツ交換の選択制や、トイレットペーパーの使い切り推奨、プラスティックアメニティの排除など、様々なスケールや見せ方で環境を配慮する施策は存在してきました。

カナダ発のFairmountやタイ発のSix Sensesにおいては、サステナビリティも突き詰めれば、ライフスタイルとなる事、ラグジュアリーカテゴリーの中でも好戦する武器となる事を見据え、30年も前からこの領域を「サステナブル・ラグジュアリーライフスタイルブランド」としてリードして来たように窺えます。

比較的、1 Hotelsは2015年に誕生した新生児ですが、環境に配慮したデザインやライフスタイルを、わかりやすく顧客体験化し、プレミアム単価の獲得に繋げています。これをテンポよくチェーン展開するのは、相当容易ではないものの、現在11店営業、加えて10店以上が開業準備中となっています。

1 Hotels Brooklyn Bridge のお部屋

日本においても、森トラストに誘致され、2025年後半に東京・赤坂エリアにて開業を控えています。

Starwood について

1 HotelsのルーツはStarwoodにあります。業界人ならば誰しもが耳にしたことのあるStarwood。Marriottに買収されたり、蘇ったり、歴史も長く、複雑な印象があるので、このブログを機に紐解いてみます。

(「不動産を保有するStarwood Capital Group」と「不動産の運営をするStarwood Hotels & Resorts Worldwide」と2社を深掘りすると更に面白いのですが、従来の趣旨から大分脱線するので、それはまた別の機会に)

元々Starwoodは1969年に不動産信託として創業されています。

一方で不動産投資家としてキャリアを積んだ、バリー・スターンリヒトという人物が登場します。Starwoodの名前に拘り、彼は1991年にStarwood Capital Groupを設立し、1994年にStarwoodを買収・統合します。

その後バリー率いるStarwoodは、Westin HotelsやSheratonなどの歴史あるホテルブランドを買収し、W Hotelなど新しいブランドも立ち上げながら、20数年で業界トップクラスのホテルグループに成長していきます。

2015年にはMarriott InternationalがStarwoodを買収したことで、世界一の規模を誇るホテルグループが確立されました。それまでMarriottとStarwoodは、世界的なホテルグループとして、Hilton、IHG、Hyatt、Accor等と肩を並べていた為、この2社の統合は圧倒的すぎて、当時の業界には相当な電撃が走ったと想像しています。(この当時私はホテルスクールの学生でしたが、学校中がドンチャン騒ぎしていました。)

売却後にバリーは、SH Hotel & Resortsという会社を立ち上げ、1 HotelsやTreehouse Hotelsを展開していきます。そしてSH Hotels & Resortsは10周年を迎えた今年、Starwood Hotelsにリブランドを発表。Starwoodの名前がまた復活したのです。

1 Hotels Brooklyn Bridge のロビー
天井が高さと緑が混ざり、心地よい

お金がかかったサステナビリティを、どう顧客に届けるか

世の大半のホテルビジネスは自己資金ではない為、不動産投資家を必要とするシビアな不動産ビジネスでもあります。つまり、デザインやコンセプトに関しては常に投資回収率を問われるものです。

例えば1 Hotelsの様な、産業廃棄物を再生して作られている外装・内装を、耐久性や費用対効果の観点でお勧めする設計士はまず存在しないでしょう。全客室の壁に作り込まれたウォーターステーションも、設計コスト、運営の手間(これもコスト)から考え、普通は即却下されるアイデアです。

創業者がどんなに「顧客はサステナビリティを感じて、高単価を払う」と信じていても、基本的に不動産投資家達は「コストパフォーマンス」の一点張り。特にサステナビリティ消費のトレンドが始まったばかりの当時、サステナビリティを追求したホテルの投資利回りを、データを持って正当化する事は難関だったと思います。

再生木材をふんだんに使った家具・内装
客室内の飲料水システム

幸いにも1 Hotelsは、Starwood Capitalというオーナー&オペレーター型のストラクチャーを生かし、自社資金で新しい領域に踏み込む事ができたのだと思います。バリーの経歴を信頼して集まってくる桁外れの資金が、そもそもの前提ですが。

とはいえ、お金をかけたサステナビリティ・ポイント、運営非効率的なサステナビリティ・ポイントを漏れなく、顧客に価値が伝わるようストーリーテリングしているのが、1 Hotelsの商売巧さです。

例えば、コストの高い銅をたくさん使っている外観や階段の付近には、根源である鉱石をインスタレーションかのように積み上げられています。
メンテナンスや耐久性の観点からも普通は選ばない木製のウォーターステーションには、「かつてニューヨークの建物屋上で使われていた貯水槽のミニチュア」というストーリーを記載しています。
環境配慮へのこだわりを誇らしげに話すスタッフにチェックインされ、ホテル滞在における主要のタッチポイントに散りばめられた「自然」に触れ、顧客はものすごくサステナブルな滞在をしている感覚に辿り着くのです。

鉱石でできた階段
エントランスやジムなどの共用部にあるウォータータワー
石のDo Not Disturbサインは初めて見た
再利用の麻、藁、木材を感じるインテリア
シャワーの長時間利用を抑制する砂時計
蛇口が全て統一されていて特徴的
DUMBOの立地を生かした屋上プールでは、マンハッタンのスカイラインが楽しめる

中国・三亜バージョン

中国の海南島にある1 Hotel Sanyaは滞在が短かったので、おまけ程度に写真を記載します。地球の反対側でもしっかりと1 Hotelsを感じ取りました。
「コンセプトにこだわりながらも、スケールするホテルブランド」という難しいテーマを探るに当たっては、目が離せないブランドです。

1 Hotels Sanya エントランス
インパクトある木材インスタレーションは亜熱帯特有のマングローブの様
自然感たっぷりの朝食会場
特徴的なインフィニティープール
1 Hotels Sanya のお部屋
一枚板のデスク
ここにも砂時計シャワー
石(China Ver.)



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