JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、インフレや信用スプレッド、地政学リスクなど複数の懸念材料を指摘した上で、そうしたリスクを軽視する市場の慢心に警鐘を鳴らした。
ダイモン氏は、インフレの高止まりやスタグフレーションに陥る可能性は市場の想定以上に高いと指摘。米国の資産価格は依然として割高な水準にあるとし、信用スプレッドは景気低迷の可能性を十分に織り込んでいないとの見方を示した。
JPモルガンのダイモンCEO
Source: Bloomberg
同行が19日開催した投資家デーで同氏は「現在の信用市場はリスクが大きい」と発言。「深刻な景気悪化を経験していない人々は、信用市場で何が起こり得るかについて理解していない」と述べた。
二転三転するトランプ政権の関税政策を受け、市場にはリセッション(景気後退)懸念や米国資産に対する不安が広がった。ただ、トランプ氏が各国・地域との交渉進展を強調すると市場は反発に転じた。ムーディーズ・レーティングスは16日に米国の信用格付けを最上位から引き下げたが、週明け19日のS&P500種株価指数は下落後に持ち直し、小幅ながら6営業日続伸となった。
「関税の影響がまだ表面化していないため、人々は楽観的になっている」とダイモン氏は指摘。「市場は10%下落したが、その後10%戻した。これは極端なまでの慢心の表れだ」と語った。
トランプ政権は関税を巡り、日本や韓国、インド、欧州連合(EU)など引き続き交渉を行っている。ダイモン氏は、関税は一時的に引き下げられているとはいえ、依然として「極端な水準」にあると述べた。
同氏は、各国・地域の対応は不透明であり、米国内での製造業復活にも時間を要すると指摘。企業の業績見通しは下方修正される公算が大きいとの見解を示した。
原題:JPMorgan’s Dimon Warns of Complacency Amid Mounting Risks (1)(抜粋)
🧠 編集部の感想:
ダイモンCEOの警告には重みがあります。市場の楽観主義がリスクを無視している点が懸念されます。これからの不透明な経済情勢に備える必要があると強く感じました。
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