米銀最大手JPモルガン・チェースは21日、顧客に地政学的リスクに関する助言を提供する専門部署「地政学センター」を新設し、ロシア・ウクライナ情勢、中東、世界的な軍拡に関する調査リポートを公開した。
ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、地政学リスクを「自身のキャリアで最も大きな懸念」と位置付けている。
今後は四半期ごとにリポートを発表し、ポピュリズムや人工知能(AI)などの重要テーマを取り上げる予定。責任者らはイベントに登壇し、顧客向けセッションを通じて実務的な視点から洞察を共有するという。
同イニシアチブの責任者として今年JPモルガンに加わったデレク・チョレット氏は「フォーチュン100のような大企業から中堅企業まで、地政学は利益や見通しに大きな影響を与えている」と述べ、「幅広い枠組みを示しながら、混沌と不透明な世界情勢を読み解くための実践的な知見も提供したい」と説明した。
ウォール街の金融機関は近年、元軍人やホワイトハウス職員、外交官、情報機関出身者をチームに加え、グローバルな緊張に対応する体制を強化してきた。
例えば、シティグループは今月、第1次トランプ政権の米通商代表部(USTR)代表を務めたロバート・ライトハイザー氏をシニアアドバイザーに起用。JPモルガンも昨年、米統合参謀本部議長を務めたマーク・ミリー退役大将を上級顧問に迎えている。
ダイモン氏が地政学的な課題に初めて言及したのは、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2022年。最近では第2次世界大戦以降で最も危険かつ複雑な時代と表現しており、19日の投資家デーでも地政学リスクは「非常に非常に非常に高い」と強調した。
ダイモン氏は21日に発表されたリポートに添えたメッセージで「われわれは再び歴史の転換点に差し掛かっている」と記した。
「新型コロナウイルス後の世界は、グローバルな競争と相互依存、急速な技術変化、経済の不安定性、地域紛争、地政学的な対立、民主主義制度への圧力の高まりといった新たな力がせめぎ合う時代だ。われわれにとって最大のリスクは地政学リスクだ」と強調した。
原題:JPMorgan Opens Geopolitics Arm as Dimon Warns of ‘Hinge Point’(抜粋)
🧠 編集部の感想:
JPモルガンが地政学センターを新設することで、顧客に特化した情報提供を強化するのは重要なステップです。ダイモンCEOが指摘するように、地政学リスクが企業に与える影響は増しており、その認識を高めることは必要不可欠です。新しいリポートがどのように具体的な洞察を提供するのか、今後の展開に注目したいです。
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