主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は、世界経済における「過度な不均衡」に対処すると表明した。中国を念頭に置いた取り組みであることは明らかだが、ブルームバーグ・ニュースが確認した共同声明の草案に国名は記載されていない。
草案では、「非市場的な政策および慣行」が世界経済の安全保障を損なうとの認識を共有する必要があると指摘。「共通のルールを順守せず、透明性に欠く者によって引き起こされる害に対処するため、公平な競争環境の重要性と広範な協調的アプローチをとること」で一致したとしている。
カナダのアルバータ州バンフで3日間にわたって開催されているG7財務相・中央銀行総裁会議の共同声明として準備された草案の一部だ。
草案では「市場の集中状況および国際的なサプライチェーンの強靭(きょうじん)性」についての分析を求めている。
また、いわゆる「デミニミス」配送として知られる国際的な低価格配送の増加にも言及。アパレルのSHEIN(シーイン)やPDDホールディングスの「Temu」といった主に中国のオンライン小売業者からのものだ。こうした配送は税関および税収のシステムに過度な負担をかける可能性があり、麻薬を含む違法物質の密輸に利用される恐れがあると指摘している。
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一方、草案ではトランプ米政権の貿易関税を巡る同盟国間の対立や深い意見の相違についてはほとんど触れられていない。1年前にイタリアで開かれた会合では、「自由で公正かつルールに基づく多国間体制」へのコミットメントが改めて示されたが、バンフではその表現が「共通の政策目標の追求」へと弱められた。
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原題:G-7 Draft Text Warns of ‘Excessive Imbalances’ in Global Economy(抜粋)
🧠 編集部の感想:
このG7草案では、過度な不均衡が世界経済に及ぼす影響を懸念しているが、具体的な対策には踏み込んでいないのが気になる。特に中国を念頭に置いた議論が明白で、国際的な競争環境の公平性が重視されている。しかし、関税問題には触れないことで、意見の対立を避けようとする姿勢が見え隠れしている。
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