
米連邦準備制度理事会(FRB)の政策当局者の半数以上が10日に公の場で発言したが、利下げに近づいているとの認識を示した人は全くいなかった。
クリーブランド連銀のハマック総裁は、スタンフォード大学フーバー研究所での会合向けの講演原稿で、「通常なら私は行動に傾くが、今回に限っては行動を取らないことが、インフレ加速と労働市場減速のリスクのバランスを取る上で最善の選択となる可能性がある」と述べた。
ハマック総裁は、関税などの政策の影響を評価するにはより多くの時間が必要だと強調。「先行き不透明な中では、追加のデータを待つことが進路を判断する助けになる」と語った。またロイターとのインタビューでは、6月の次回政策会合より前に得られる新たな経済データはあまりないだろうと語った。
複数の当局者発言に共通したもう一つのテーマは、将来のインフレ期待を抑制することの重要性だった。
FRBのクーグラー理事、クック理事、ハマック氏、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁もこの点を強調。ウィリアムズ総裁はインフレ期待の安定が現代の中央銀行制度の「礎(いしずえ)」を成すと述べた。
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セントルイス連銀のムサレム総裁はスタンフォードでの講演に向けた準備原稿で、関税による物価上昇への影響が一時的であり、インフレ期待が安定し、経済活動が有意に鈍化すれば、利下げは適切となる可能性があるとの見解を示した。
その上で、「そうでない場合、私は関税に起因する価格調整が持続的なインフレにつながらないようにし、インフレ期待を引き続き安定させる政策の道筋に集中したい」と述べた。
同じくスタンフォードで発言したクック理事は、トランプ政権の貿易政策とそれに伴う不確実性が短期的に生産性の伸びを抑制すると予想。その結果、FRBが政策金利をより長期にわたり高水準に維持する可能性があると指摘した。
原題:Flock of Fed Speakers Show No Eagerness to Consider Rate Cuts(抜粋)
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